勇者パーティを追放された嫌われ闇魔導師の俺、エリクサーの泉を見つけて回復をダメージにする能力で無双状態⁉︎
俺は闇魔導師ディア。
世界でも数少ない闇魔法の使い手だ。
かつてはその希少さを見込まれて勇者レフにパーティに誘われたこともあった。
自分の実力では足を引っ張るだけだからと断ったが、
どうしても入ってほしいと頼み込まれ渋々パーティに加入。
しかし結局足手まといだと言われてクビになってしまった。
そりゃあそうだ。ただでさえ闇魔法は戦術に組み込みづらい効能が多いのに、俺はまだ基礎的な呪文しか扱えないのだ。
具体的にいえば、
・魔法発動後、周囲が暗くなり敵味方の視界をさえぎる。
・光属性および聖属性の魔法や装備の効果が激減。
・ポーション等の回復薬の回復量がそのままダメージになる。
悪いことずくめだ。
特に2つ目は勇者パーティでは致命的。
むしろこんな俺をよく3ヶ月も使ってくれたよ。
唯一の利点は風呂に入らなくて済むことだろう。
闇魔導士にそんな決まりはないのだが俺は風呂が嫌いなので入らない口実にできる。
おっと、話がそれてしまった。
「これからどうするかな……」
夜空を見上げて考える。
俺は闇魔導師という職業柄身体に闇が染みついている。
そのせいで昔から家族や村人には嫌われ続け、パーティを組んでくれる人もほとんどいなかった。
おそらくこれからもそうだろう。
そんなわけで今はあてもなく一人旅をしている。
このままあてもなく歩き続けて野垂れ死ぬのを待つか。それもいいかもしれない。
「キャーーーーッ」
なんだ今の悲鳴は!?
悲鳴の聞こえた場所へ急ぐ。
そこには下衆な笑みを浮かべたならず者の大男が3人。
そしてフードを深く被っておびえている少女。
「さあ、とっととそのビンの中身をよこすんだ!」
「だ、ダメです…この薬は……、あっ、だ、だれか…!助けてください!」
「大丈夫か?」
俺は少女を助けにかけよった。
ここで逃げるほど俺は落ちぶれてはいない。
「なんだてめえ?このガキを助けようってのかぁ?」
「この町で俺たちに逆らった奴はどうなるか…教えてやらねえとなあ??かかれっ!」
「おうっ!」ドガッ
「てえいっ!」ズガアッ
「うりゃあ!」ドゴオッ
「う、うわあっ!」
な、何て凄まじい威力の攻撃だ!
一撃で体力のほとんどが削られてしまった…!
こいつら…ただの高身長デブに見えて勇者パーティに匹敵する実力を有している…!
あと1発でも攻撃をくらったら死んでしまう…!
こうなったら呪文で応戦するしかない。
「……『一寸の闇』‼︎」
「うっ、なっ、なんだ?周りが暗くなったぞ!」
「こいつは珍しいな、闇魔法じゃねえか!でもよ、ダメージは大したことねえぜ?」
「はっ、なんだよこけおどしかよ!そんなもんは俺たちには通用しねえぜ!!」
「さあてとどめだっ!」ギュインッ
男は武器を振り上げた。
くっ、万事休すか…。
思わず目を瞑り歯を食いしばる。
せめて、最後に女の子1人くらい守ってから、死にたかったが…。
………
……
…
「あれ?」
こない。
とどめの攻撃が、こない…?
いったいどういうことだ…?
ふと、見上げると、
なんともショッキングなことに、
大男3人の身体は
ドロドロに
溶けていた。
「ねえ、大丈夫?」
さっきの少女だ。
「……何があったんだ…?あいつらの身体が溶けて……まさか君が…?」
「ええ、あなたが闇魔法を使ったから、とっさにやつらにこれをかけたの」
そういって少女が出したのは
高級そうなラベルの瓶。
これは、まさか?
「え、完全回復薬??」
続きません