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明治製菓

作者: 若葉茂

 きのこの山を越えるとたけのこの里だった。夜更かしの底が、ホワイトチョコになった。子供たちが、つくしの子を眺めながら、チェルシーを口の中で転がしている。里の春だ。今年も娘たちの心を盗みに、あの大作家がキットカットして来た。

 それにしても、あの御仁、そのお菓子の名がカールだと何故分かったのだろう。この名前はもう里の者しか知らないはずなのに。村里の長は、蝶ネクタイをハテナの形にしている。村長の気持ちを忖度したのか、男は語り出した。


 もう十年以上前の話さ。グリコ・森永の企業秘密を暴こうってな。俺は一人で売り出そうと躍起になっている、まだ駆け出しの記者だった。青酸ソーダを混入されて、凄惨な目に遭ってよ。瀕死の重症でたどり着いたのが、このおらが村さ。薄れゆく意識の中で、犬が吠えていた。少女が駆けてよってきた。俺は顔が痙攣して、引きつりながら笑うことしかできなかった。少女はどこかに行ってしまった。袋を落として。

『どうやら年貢の納め時がきやがった』

目を閉じると声がした。

「お水」

 手が震えていた・・・・・・。

 震える手で水を飲ませてくれたその子の落とした袋に、カールという文字が描かれていたんだ。

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