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7ゴリ 紫は毒の色。






今朝、ギルドの広場には人だかりができとった。

大なり小なり、多種多様な転生動物の仲間達が壁に貼りだされた掲示板を見とる。


このお得な掲示板には毎朝、昨今のニュースや色んな予定表だとか、あとはサークルの配布物、作品の情報が掲載されとる。

まぁ、言うて最近は目新しいニュースなんてなかったから基本的には配布情報とかばっかやったらしいから

見に来とるやつは大抵、ヲタッキーな奴らばっかなんやけどな。俺もそいつらの界隈に含まれるからでっかい声では言えへんけどな。


っが、今回はいつもとは違って、悪いニュースが貼りだされとった。

「畑荒らし勃発!農家の転生動物大根乱!」という記事や。

おい、誰やこの記事書いたん?漢字間違うとるぞ。それともネタか?ツッコミ待ちか?

「あぁ、すいませんすいません。皆さん通して下さい。すいませんすいません。アイムソーリー髭ソーリー。」

ブツブツ言いながらちっちゃいスカンクのオッサンが群がる動物達の間を縫うように入ってきて、「大根」と書かれた部分を

バツで消して「根」を「混」と書き直していく。


スカンクのオッサンはそれが済むとまた、「アイムソーリーアイムソーリー。」とガスを撒き散らしながら

去っていきおった。絶対許さへんけどな!




そんな事があってのマンボウ農園。


畑は荒らされ、植えたばかりの苗は力なくくたびれて、吹き飛ばされ柵だとかも壊されとる感じで滅茶苦茶やった。

「なんやねんコレ!」

いの一番で俺は叫ぶ。


「叫んでないで手伝ってよ。使えないゴリラだね。」

「あらあら皆さん。おはようございます。」

荒野に降り立った天使の響きを感じた気がした。

前者?っは!知らんな。

っとかいう冗談はさておき、俺達三人はネネさんとノノのところまで駆け寄った。


「何があったん!?」

俺は腐って紫色になっとる野菜の苗を樽に入れていくネネさんを手伝いながら言う。

「知らないわよ!朝起きたらこんなんなってたんだから!ムカつく!」

「畑荒らしかしらねぇ。」

ご自慢の真っ白い顔を紅ショウガみたいに真っ赤にして怒るノノに対し、雀のさえずりのように穏やかな姉のネネさん。

事態はそんな穏やかではないんやけどな。

「オーカワさん、今朝のあれでしょ。掲示板のやつ。」

っと萎びた苗の残骸を拾いながらゴンは言う。

ネネさんの言う通り、例の畑荒らしってやつか。

「それもタダの畑荒らしじゃないよねコレ。」ゴンが持つ紫の苗をジっと睨みつけて、というかジト目をしてマドロミは「臭いし。」と

付け加える。付け加えんでええ。


「そうなのよね。まだ何とかなると思ったけど、臭いしねぇ」まさかのネネさんが同意する。

「うん。確かに臭いね。」ゴンも同意する。

「ゴリラと同じくらい臭い。」ノノも同意する。

「え、あぁ、確かに…言われてみれば、そんな気ぃも、しないこともない…。知らんけど。」自分で言うのも何だかかなり曖昧なリアクションを

してしまった。俺ってこんな優柔不断やったっけ??

「オーカワさん、ちゃんとお風呂入ってる?」

ゴンはそう指摘する。理由はないけどお前には言われたくない。

「入っとるわ!今朝もマドロミんとこで借りてきたわ!」

「ちゃんと石鹸使った?」

今度はマドロミが問い詰めてくる。

「使っとるわ!俺綺麗好きやぞ!?」

「ゴリラさん、ちゃんとお湯に浸かって100数えた?」

「ネネさんまで!?流石にそこまでは…」お婆ちゃんみたいです…。

「というか何で俺の風呂の話になってんねん!!」


「入っても取れない悪臭なのか。やっぱゴリラだな。スっきも!」

「ゴリラ関係あらへんやん!」憤慨する。

お前好っきゃなその「スっきも!」ってやつ。内心俺もそれ流行らせるん手伝ってやろうかと思ったわ。


「これ、全部じゃないけど苗、紫色に腐っちゃってる。毒を浴びたんだと思う。」

マドロミは弱弱しくなっとる紫の苗と、単純にへたっとる苗を拾ってきた。

「毒。それも結構強い毒。下手したら多分死ぬ。」

「ヤバいやん!」

「結構触っちゃったんですけど!?」

っと全員が絶句した。

そんな事を澄ました顔で言うなや。

「後で綺麗に手を洗えば大丈夫。」と言うので溜飲が下がる思いやったが、だけどマドロミが「多分だけど。」なんて

付け足すから信憑性がシナシナっと散っていく。

「お前はええんかい!?そんなもう抱きかかえるようにしてまって!」

持ち難いっちゅうのはわかるけど、それにしたって落ち着きすぎやろ。

心配してさっさと樽に捨てるように促したがマドロミは「慣れてるから。」とか言い出す。俺の心配を返せ。

せやな、俺らん中で普段一番汚いもん触るんお前やもんな。

コイツこそいっちゃん風呂ん中ぶちこまんといかんとちゃうん??

「じゃぁ、普通の畑荒らしじゃないって事になるのかな?イノシシとか、山から下りてきた猿とか、

ジャングルから迷い込んだオーカワさんとかじゃなくて。」

「ナチュラルに俺を混ぜんな。しばくぞ。」

そう言うて俺はゴンにジャブを放つ。

「そういう事になる。」

ネネさんが俺とゴンのやり取りを微笑ましく眺めとる中、マドロミは肯定する。

「人間でもないでしょ。ってことはやっぱり魔物とかの仕業じゃない。」

「十中八九。」とノノの意見にマドロミは短く頷く。

魔物…。俺はつい先日のゴブリンの事を思い出す。

えらい目にあったけど、あいつ等じゃぁないやろうな。



その日は、とりあえずダメになってしまった苗を片付けたり、荒れた畑を整えたりと

それはそれは大変でした。

勿論、今日もそれは終わらんかったので明日にまた持ち越した。

真っ暗になって、クタクタボロボロになった俺はまたマドロミんとこで寝にかかる。

固くて冷たい床に、申し訳程度の枕を置いてそこに頭を静めようとした瞬間の事やった。

「起きて!二人とも起きて!ヤバい!起きてったら!」

「あ?なんやねん?起きとるわい。」というか寝ようとしとったところやん?

「マドロミさん!起きてヤバいんだ!」

しかしマドロミは返事がない。ただの猫のようだ。ベッドの上に寝転がるマドロミを見ると寝息を立てながら、まるで漫画のような鼻提灯を膨らませとった。

「コイツ、目空けて寝とる!?どうでもええ設定知ってまったわ!」

なんで寝るときだけ目ん玉ギンギンに開いとるんや!怖いわ!

「そのまま抱えていこう!」

「ヤバいってなんや?しょうもない事やったら、しばく程度じゃ許さへんで!?ジャーマンスープレックスくらいは覚悟してもらうからな!」

俺は目ん玉お化けみたいな状態のマドロミを肩に担いだ。流石猫の首ねっこ、掴みやすいな。…ダジャレやないでな?


「マンボウ農園!!」

俺はその言葉に頭がすっきりした。










閲覧ありがとうございます。


キャラクター基本動物だけど、動物ってどんなの居たっけ?ってなって

出来れば変わったというか調べないとわかんない動物とか登場させてみたいですね。

今回、スカンクのオッサン登場したけど名前出してなかったなぁ…。

また今度でいいかな。


関係ない話しますが、

歩道橋に憧れています。

地元にもあるんですけど、自転車通勤なので使わないし小学生の頃もワタシの通学路には関係ないもので、滅多に使った事がないんです。

憧れるなぁ…。


ゴリラ「だからなんやねん!!」

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