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4ゴリ ゴミ箱犬とギルド




二匹に案内され、森を歩いとると

気ぃつくとだんだん、人の手が加わった感じに道として通れるようになっとった。


「そりゃ勿論、みんなで開拓したからね。」

とダサいキツネは言う。

「開拓って、そんな勝手にそういう事してええもんなんか?国の偉い人とかに怒られんちゃう?」

っとか言うてみたが、そっかココ異世界やんな。

そもそも、国の偉い人、役所だとかが殴りこみに来たところで、俺達、動物のテリトリーやもんな。

そんな風に思えるあたり、俺もちょこっと自分がゴリラになってしまった事に諦めを感じ始めとるんかもな。


しかし、納得はしとらんからな!なんでゴリラやねん!よりにもよって!

嫌いやないけどね!!

「…モノローグで何か愚痴ってる。大人げないゴリラだ。いや、トロールかな。」

「水浴びすればよかったのに…」

言われて気ぃついた…。

「せやけど、カピカピになってきとるんけど大丈夫かな。」

カピカピパリパリとし始めとった。

どんな墨やねん。

「僕としては、ファッション誌に載せられるくらいにはいい感じだと思うんだけど?メンズファッション誌とかさ。

『俺の足跡を世界のセンスが追いかけるゴリ。』的な感じで。あ、僕これイケる気がする!」

「それ俺のモノマネのつもりかぃ!」




「ところで、どこ向かっとるん?」

しばらくゴンのセンスの欠片も感じられんモノマネを見ながら歩き(どっちかっていうと見せられとる感じ)

俺は聞いてみる。

さっきも言うたけどだいぶ、手が入ったであろう森ん中だ。

「家だよ。」

マドロミさんはそう短く教えてくれる。

ゴンとは打って変わって一言一言が短いなぁ。

「家、って誰のや?キツネの?それともマドロミさんの?」

「違う違う。家じゃなくてコロニーとかシェルターとか?みんなで身を寄せる拠点だよ。」

「…同じようなもんちゃう?」

「秘密基地」

「マドロミさん、現実的にセンスを感じないよ。秘密基地じゃなくて、なんていうかねギルドとか。」

「なんの拘りやねん。」

非科学的だの現実的だの忙しいやっちゃな…。

「とりあえず、そのギルドっちゅうとこに行くんやな。」

「そうだよ!」

嬉しそうに声を上げるゴン。ここ一番の笑顔やった。

笑顔やったらもっと可愛い女の子の笑顔が見たかったわ。

そう思うと腹が立って張り倒したい気分になった。

「だからって殴る!?」

「気ぃつけるわ!!」

しかし、多分これからもやる気がしたから謝らんかった。俺は正直やからな。

「ゴンさん。」

「ん?」

「今のは殴ったんじゃなくて、はたいたんだよ。」

「どうでもいいよ!!」

マドロミさんからの逆襲のつもりやったんやろうか?

「ゴリラに殴られると洒落にならないから、本当我慢してね。顔の形変わっちゃうからさ。」

「非現実的だ…。」マドロミさんはゴンの口調を真似る。

「これからは手加減するわ。」

「そうじゃないんだけど…あ、そうこうしてたら、ほらココだよ。この看板から先がギルドだよ。」

見ると、そこら辺から拾ってきた適当な木片にミミズののたくったような字が刻まれとる看板?が地面に突き刺してあった。



「k;お:qwねklvだ○%×$☆♭#▲!※hぱあjfhらさhfhtw!!!」

俺が看板に書いてある文字を凝視しとると、死角から何を言っとるのか分からん叫び声が聞こえた。

俺は咄嗟に得意のステップステップホップジャンプを鮮やかに重ね、木の上によじ登った。

物語の序盤に、老婆と可愛い村娘にキャッキャと追い掛け回されたという記憶が呼び覚まされた結果やった。

「オーカワさん、ゴリラみたいだ。」

「ゴリラですが何か!!」

徹頭徹尾、360度どっからどうみてもゴリラですが!?文句ありますか!?


「怒ってないで、降りてきてよ。」

「お前たちの所為だ!人間でもゴリラでもないもの連れてきた!」

「まぁ確かに、人間でもゴリラでもないんだけどさ…。」

自称ミュージカル映えする名演技な、茶番をはさみ目線を下ろすと…

なんかあった。いや、おった?

「おえそいhrごいsふぉじゃいpfhg!!!!」

ゴンとマドロミさんの間に毛達磨が転がっとった。

その毛達磨から音声が流れる。

「流れるっていうか、喋ってるんだよ。」

「え?そうなん?」

木から滑るよう降りてきて、その毛達磨を凝視する。

なんか、ボロボロのファーべィ人形みたいなソレからは、コバエだかが集っとって、毛で覆われた身体の中では

よく見ると虫みたいなんが蠢いとる。よく見るべきやなかった。

(…汚い)

「p;じゃsふぉうじ@ぱ@いp!!」

甲高い声で一生懸命、早口で喋る。

「何コイツ!?その出来損ないの祟り神もどき、マジなんなん!?」

「チワワに転生した…トラッシュさんだよ。」

なんで急に鼻声になったんかと思ったら、ゴンは鼻をつまんで喋っとるらしかった。

その仕草からお察しの通りで、そんで件のトラッシュさんの姿を見てアホでも分かる通り、(っておい誰がアホや!?)

とんでもない悪臭を放っとった。

「いや、これチワワなん!?」

「そうだよチワワだよ?見たらわかるでしょ?」

「わかるかぃ!チワワってあのちっこくて可愛くて、うるさくって、人語はなしたら生意気そうなあのチワワやろ!?釘宮理恵とかが

声当ててそうな、あのチワワやろ?」

「なんでそこで釘宮理恵が出てくるのかはわかんないけど、そうだよチワワだよ。チワワのトラッシュさん。」

「トラッシュ…。安直やん。」

日本語で言うと、ゴミ。


「みんな親しみを込めて、ゴミとかカスとか排泄物とか、好きに呼んでる。」

っとマドロミさん。

それは親しみじゃなくて悪意を込めとるんやろ。

虐められとるんか?

「何喋ってるかわかんないからね。」

せやから、名前も他の自分らで勝手につけたらしい。安直やけどな。

「確かに、さっきっから記号で喋られとる気ぃしかせんしな。」

早口過ぎるからなんか、滑舌が悪すぎるんか、外国語でも喋っとるんか、そんな有様。

宇宙人やったりして。E.T.みたいな。


「おphkbわfpひ!!!ッぱs!!!?」

「ぶすぅー!!!?」


っとトラッシュさんが何か叫んどると、マドロミさんが珍しく顔をしかめて

トラッシュさんの横っ面を、ずっと持っとったらしいオッサン蛸で思いっきり殴り飛ばしおった。


トラッシュさんは、オッサン蛸と一緒に茂みの方へ吹き飛んでいった。


「なんで殴ったん?」

突然の事でビビったが、とりあえず聞いてみる。

「ギャンギャン五月蠅いから。」との事やった。短気か。

「マドロミさんは、音楽は好きだけど五月蠅いの嫌いだもんね。」

「そうなん?俺もファンクとか好きやで!」

「ファンクは聴かない。」

「………。」

人のテンション下げるの上手いな、この猫は。


「今日は何釣った?だの、自分にも分けてくれだの。いい加減名前覚えてくれだのと五月蠅かった。」

「え、マドロミさん、さっきの洗ってないチワワが何言うてたかわかんの?記号で喋ってるような内容やったのに!?」

正直、この物語で必要なのか?とも思うとったとこなんやけど!?

「…なんとなく。」

「ほえー。」

五か国語喋れる奴とかはやっぱ凄いと思うし尊敬もする。っが、今回に限って言えば別に尊敬はせぇへん。

だって、別に羨ましくもないからな。

っが、興味は湧くので

「他になんて言うとったん?」

聞いてみた。


「外から帰ったらちゃんと手を洗え。的な事を言ってた。」

俺は思う。お前が言うなっと。

「今度、トラッシュに会う事があったら、身体を洗えと言うてやろう。」

二度と会いたくはないけどな。


「あと、新人さん。ようこそギルドへ。って」

そっちのがメインやん!?

それを合図にしてか、周りのあちこちの木々や茂みから、おそらくは俺達と同じ「転生動物」の皆さんが顔を出した。

で、「うわ、ゴリラだ。」「すごい、ゴリラだ。」「ヤバい、チョベリバ!」っとまるで俺に対する凱旋が巻き起こった。

「いやー、みんな騒ぎ立てないでおくれ」っと俺は紳士に嗜める。

ゴリラは動物園での人気者やからな。

ジャングルの王者やからな!厚い胸板をグイっと張り、鼻息をブフゥンっと鳴らす。

人間の時の俺のカリスマ的オーラも相まって、五割り増しくらい勇ましく見えるんやないかな!フハハハ!!


「なんで緑色なんだ。」「汚い。」「センス無しゴリラ。」「木偶の棒ゴリラ」

口々に聞こえる陰口の数々。

陰口ならせめて本人の居ないところでせんかぃ!!

あと、木偶の棒はもう身体でかいんだから仕方ないやろ!!

「ダサいね。」

っとまた短くマドロミの駄猫が言う。

「元はと言えばお前の所為なんやけどな!」




久々に書きたくなったので、書きました。

明けましておめでとうございます。

丑年ですね。ドナドナですね。

こっから先、ド~ナっていくんでしょうね。・・・・・・なんてね。

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