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13ゴリ ヤった

「最低限なものは揃えてありますんで、ご自身で必要なもんはご自身で集めてってください。

ドアが壊れたとか、天井…はもともとあってないもんですが、そーですね、隣人間のトラブルなんかはできる限り

ご自身で対応していただければと思います。オバケとかは、まぁ隣人と同じですね。これもご自身で対応してください。」


「いや、お化けは隣人ちゃいますやろ。」

っちゅーか、幽霊とかの概念もちゃんとあんのかい。異世界やろココ。

「まぁ、他に不都合とかありましたら連絡くれればいいと思います。ボクの名刺渡しときますね。手作りなんです。」

と、カバのジェイドさんは名刺を手渡してくれる。

スペルで『J-bo』と書かれとる。ジェーボやんけ。

英語苦手なんかな?見かけによらず…と言うほどキチっとしとる感じもせんかった。

上はちゃんとスーツを着とるのに下は破れたジーンズ。本人的にはダメージ加工でオシャレなもんやと思うとるんやろうけど

途中から狂暴な犬か何かに噛み千切られてなくなっとるみたいな有様は、びんぼっちゃまを思わせるな。

破れたところからブリーフまでこんにちわしとるし。あかんやろそれ。

「…生前は不動産業とかしてはったんですか?」

「いえいえ、もともとはタイルとかトイレとか、その辺の業種です。転生してからホトトギスさんの手伝いをしている中で

色々と日常的な側面に携わった職業に手を染めているのですよ。」

「言い回しが悪徳企業っぽいわ。」

そうツッコミをするとジェイドさんは「座布団1枚!」とヘラヘラと笑った。

別にうまい事を言うたつもりはないから、逆に恥ずかしい。



ジェーボ…ジェイドさんは、身の丈にあっとらんお辞儀をして

部屋をあとにした。


部屋。

遂に、マドロミ・ルームを脱して自分の居室を手に入れた。

今回の巨大ミミズの一件の報酬との事やった。

もともと、かなり大きい問題となっとったらしく、この事件の解決は14さんをはじめ

ギルドの住民連中としても大助かりだったんだとか。


部屋にはベッドがあった。

マドロミんとこにもあったが、ちゃんと俺サイズのベッドや。

ほんでクローゼットが置いてあったが、まぁ、今んとこクローゼットを活用する程着るもんはない。

この前サイママからもらったハマダ―ファッションは紫粘液で半分溶けてしまったから、また調達しにいかなあかん。

今度はもうちょいええもんを貰いいたいところやな。


「まぁ!!」

俺の肩からクーペが大きい声を出した。

銀色の髪の毛から短い両手両足をはやして、クーペはフワフワ宙を舞う。

「とりあえず…」

と俺は好き放題、部屋ん中を飛び回るチビを捕まえベッドに座らせ、

俺も目線のあうように床にドカっと座る。

そんでも結局、見下ろすような形になってしまう。

「俺はオーカワや。」

「オーカ…ヤ?」

「オーカワや。」

「おーや。」

「おー、か、わ、や!」

「か、わ、や。」

誰が便所や!

人のあだ名ってやつはよう分からんエピソードやニュアンスで適当に生まれるけど

厠は嫌やなぁ。

昔っからそんな名前のやつは、まさにクソ程おったけどな。

「まぁ!」

「結局そこに着地すんのやな。まぁ、厠とかウンコマンよりはマシやな…。」

「まぁ!クーペ!」

クーペはそう声を張りながら指をさす。誰に?俺にや。

「いや、俺はクーペやない。クーペはお前や。」

「クーペ!…クーペ!!」

今度は自分と俺に指さしてそう叫ぶ。

「ちゃうちゃう。お前がクーペで、俺がくー・・・」

こんがらがってきおった。なんやこの遊びは!

何やねんこの茶番。

「まぁ、なんでもええわい。」

お手上げのポーズをして見せるとクーペはちょっとキョトンとしたが、キャッキャとまた笑って見せおった。


まぁ、子供なんてこんなもんやろな。おもろければええねん。





「あら、ゴリラさんおはようございます。」

「オーカワです。」

「あらあら、オーカワゴリラさんおはようございます。」

「ちゃいます。オーカワ・コーサクです。大丈夫なんですか?やっぱどっかぶつけはったんですか?」

ひょっとして、紫の粘液で脳を焼かれて愛する俺との思い出を抹消されてしまったのか!

なんて可哀そうなネネ様!

これはアレやな!俺の熱い愛と情熱で思い出させる為、人生を賭けて一生寄り添うしかあらへんな!

大丈夫、俺の準備はできとります!

「妄想がだだもれなんだけど!アンタ、お姉ちゃんに変な事したら万力で締め上げて使い物にならなくしてやるからね!」

「小学生の悪戯か!」

「私は高校までやってた。」

「山田くんノノの単位もってって!」

ついでに生徒指導室行きや!

俺はクーペとノノを連れて、ネネ様を寝かせとった保健室に来とった。

別に怪我をしとったとかやないものの、それでも心配ではあったのと

ついでにノノを助けてきたっちゅう報告やった。


「ノノちゃんもおはよう。」

「おはよう。お姉ちゃん。大丈夫なの?」

「ノノちゃんの方こそ大丈夫だったの?心配したのよ。」

「心配かけてゴメンね。大丈夫だよ。」

テンプレのような姉妹愛を見とるけど、ネネさんはネネさんで居眠りして

ノノはノノで欲望のままにミミズ追っかけとっただけやからな。

ほんま自由な姉妹やな。どうでもええけどな。


「ところで、そちらの方は?」

「んま!」

ネネさんは俺の頭に乗っかるクーペを見つめ言いよる。

方…というほどの存在やないと思う。

クーペはキョトンとしたまま、指をしゃぶっとる赤ちゃんっぽいやん。赤ちゃんなんやけどな。

「クーペちゃんだよ。」とノノがそう紹介すると、クーペも「クーペ!!」とキャッキャとそう名乗る。

「え!?えぇ!?まってまって!!え!?クーペちゃん!?え?ひょっとして二人の!?あら、あらららら!!!」

ネネさんはここ一番狼狽える。

雪のように真っ白いウサギの肌が真っ赤になり、ワタワタの体毛もウニやハリネズミか何かみたいに

逆立っとる。

「まさか…まさかの!?え…二人の赤ちゃん!?」

「ちゃいます!!!」

「そんなわけないじゃん!!!」

「だって、その絵として、そうとしか見えないじゃん!!?紆余曲折あったとしか思えないじゃん!!

ゴリラが生意気なウサギ助けに行って、紆余曲折あって、ヤッたとしか思えないじゃん!!紆余曲折紆余曲折!!」

俺の目の前で清楚華憐なネネ様のキャラがぶっ飛ぶ。紆余曲折って便利な言葉やな。

本作品には盛大なキャラ崩壊が含まれます。悪しからず!悪しからず!

「またお姉ちゃんの発作が…。」

「発作!?」

「少女漫画とかBLとかTLとかアレとかソレとか見たり読んだりすると、爆発したりするの。」

「やったぁ??」

「まだそんな言葉覚えんでええぞクーペ。」

お前にはまだ早い。


少し…かなり骨が折れたが、俺とノノは爆発してまったネネさんにことの説明した。

目を開けたままイビキをかいとるネネさん(たまにかくらしい)が何があったのか、その紆余曲折の中身を説明した。

「なんだ、そうなんだ。ごめんなさい私ったら恥ずかしい。じゃぁ、二人でヤッたとかチョメチョメしたとかじゃないのね。」

「とりあえず、『ヤッた』というのは辞めてください。子供の前ですんでね。」

そうお願いすると、ネネさんはクーペの方を見て「あら、ごめんなさい。」と謝る。

「ゴリラと、とかおぞましい。」

「同意見や」

カップリングなんて出来たら破り捨てるわ!



「まぁ、大事ないみたいで一安心ですわ。」

「ありがとう。ゴリラ・コーサクさん」

「オーカワコーサクですけどね!」

やはり、粘液で俺との思い出が溶かされてしまったんやないですか?

俺と見た夕日も、夜空に瞬く星も、ポルシェ911(ナローボディタイプ)で駆け抜けた海沿いのハイウェイと耳に残るアース・ウィンド&ファイヤーも、

全部全部、地平線の彼方まで消えてしまったと言うんですか!

「それって全部、妄想でしょう?」

「ナローポルシェのいい感じに狭い空間で、肩と肩が擦れあうドキドキが…」

「スっきも!!!」

ノルマ達成おめっとございます!


「でも、困ったわ。農園壊滅しちゃったんでしょ?」

ネネさんはそう眉間に皺をよせる。

「それなら、大丈夫。ギルドのえっと…ホトトギス?フクロウ?の人が部屋はあるから使っていいって。」

巨大ミミズを鎮圧した件と、クーペの事を報告しに行った際も

それらに並べて、実はその話も議題に上がっとった。

せやから、14さんが話を回しとってくれた。

「マンボウ農園程の広さやないけど、他んとこにも畑はあるらしいんで、農業は可能らしいですわ。」

地下にもあるとか聞いたから、まぁ、とりあえず壊滅的な有様ではないやろう。

これに関しては14さんナイスって感じやわ。




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