不幸の真実
本日2話目
今日は学校が休みです。
「まず初めに、君ってさ、地味に不幸だったよね〜?」
なぜ今それを聞くのかという疑問を口に出さず、首を縦に振る皇翔。
「やっぱりそうだったか〜...。あ〜、気分悪くするかもしれないけどさ〜、どんくらい不幸だったか教えて貰ってもいいかな〜?」
そう言われ、ここ1週間のことを思い出し...
「ドアとかタンスの角とかに足の小指を5回くらいぶつけて、犬のフンを2回くらい踏んで、バナナの皮で3回くらい滑ったかな?」
そう、皇翔は結構な頻度でこのように微妙に不幸な出来事が起こっているのだ。
さらに、
「...で、さっき死んだと。
...ん?一つ質問してもいい?」
「ん〜?良いよ〜?」
「僕って死んだんだよね?なんで悲しいとかそういった感情が出てこないの?」
「ああ、それはね〜、記憶を消す時に、間違ってその時に感じていた一部の感情が消えちゃったんだよね〜。」
その言葉を聞き、瞬間的に声を荒らげそうになったが、まだ話は終わってないと言わんばかりの神の視線に、渋々言葉を飲み込んだ。。
「大丈夫だよ〜、今はまだだけど〜、回復するから少しだけ我慢してね〜?」
その言葉に、渋々ながら、本当に渋々と皇翔は引き下がった。
「で、話を戻すね〜。なんでどのくらい不幸な出来事があったか聞いたのか疑問に思ってるでしょ〜?」
確に皇翔は、それを疑問に思っていた。
なぜそんなことを聞くのか、もしかしたら、何か知っているのか。
そう思い、神に聞いてみると、
「うん、知ってるよ〜。というか、それが問題なんだよね〜。」
そう返してきた。
続けて、
「じゃあ逆に聞くけど〜、君はどうしてそんなに不幸だったのかわかる〜?」
と、逆に質問を返してきた。
「単なる不幸体質だったんじゃないの?」
そう答えると、神は心底申し訳なさそうな顔をして、その回答に答えた。
「違うんだよ〜。実はね〜、地球を管理してる神が〜、神の規定第12条『神は下界の人間の運命や因果、又はそれに準ずるモノに干渉してはならない』っていうのをガッツリ無視して、君の『運命や因果、又はそれに準ずるモノ』に干渉してたんだよね〜。」
「え、ちょっと待って。僕ってそんな重要そうな、神の規定なんて聞いてよかったの?それに運命とかに干渉したってどういう事?」
「大丈夫だよー。これは神の規定第36条『もし下界の人間に以上の事で干渉した場合、特別に第50条までを話すことを許可する』っていうので定められてるから〜。」
その言葉を聞き、皇翔は心底ホッとしたような顔をして、続きを促した。
「それでね〜、地球の神って結構な神格の運命と幸運を司る神でね〜、殊更運命とかの干渉は得意だったんだよね〜。そして〜、便宜上『幸運値』って呼ぶことにするけど〜、それを抜き取って〜、とある人物に付与してたんだ〜。」
とある人物と言われて、皇翔には、幼馴染みにして親友の顔が思い浮かんだ。
「大前神谷...」
大前神谷。スポーツ万能、成績優秀の文武両道で、何処のラブコメ主人公だと言いたいほどのイケメン、鈍感系を素で行く徹底っぷりがファンクラブを作らせた。
皇翔とは、赤ん坊の頃から家が近いこともあり、結構な頻度で遊んだりもしていた。
さらに、滅茶苦茶運がいい。
(ちなみに、皇翔と神谷が揃うと、皇翔を――不幸なので――陰、神谷を――滅茶苦茶幸運なので――陽とイメージして、『陰陽コンビ』と呼ばれていた。)
「そ〜、君の親友くんに、付与してたんだ〜。
しかも、君が不幸で神谷君が幸運っていうことに違和感を抱かせないように〜、運命を弄ったりもした徹底ぶりだよ〜。」
「何でそんなことを...?」
「さ〜?いくら原神って言っても、対象の心は読めないからね〜。」
そう言って、少し残念そうな顔をすると、
「まあ、そういう訳で、君は不幸だったんだよ〜。」
そう聞かされても、納得できるものではなかった。
皇翔は内心激しい怒りを覚えていた。
しかし、もっと大事なこと、自分がこれからどうなるのかを聞こうとすると、
「という訳で〜、君には異世界に行ってもらいま〜す。」
と、元の軽い口調でそう言った。
どうも、frithでーす。
お読みいただきありがとうございます。
何気に会話文って難しいですね。拙い語彙力ですが、こうした方がいいという意見があったら感想欄にてご指摘願います。
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