テンプレじゃない空間
「ここは...?」
そう呟くと、有賀皇翔は、周囲を見渡した。そうすると、まず見えたのは地平線。次に感じたのは、周囲には何も無いこと。
そして、上下左右すらあやふやになりそうな、なんとも言えない空間。
「なんとなく分かった。あれだね?テンプレってやつだね?」
そしてどこを見ても、灰色の空間に一人ぽつんといる皇翔。
「って、真っ白じゃないのかよ!というかなんでここだけテンプレじゃないの?!」
「だってさ〜、そのテンプレだっけ〜?と全く同じにしたらさ〜、詰まんないでしょ〜?」
「はい?」
いきなり聞こえてきた声に、驚きの声をあげる皇翔。
そして勢いよく、それはもう勢いが良すぎて、逆に相手が少し引くぐらいの速度で振り向いた皇翔が見たのは、灰色の髪に、灰色の目をした、気持ち12歳程度の、美形の少年だった。
「ええっと...」
あまりの急展開に固まる皇翔。
「ふふふ〜、結構混乱してるみたいだから、まずは自己紹介するよ〜?
僕は世界を創った神...を創った神、原神だよ〜。宜しくね〜?」
「...はい?!」
そしてより固まる皇翔。
数十秒後...
「...まず何箇所か突っ込ませてください。」
「いいよ〜?何を聞きたいんだい?」
「まずここどこ?!で、なんで僕はここにいるの?!そしてなんで色だけテンプレじゃないの?!ていうかなんで僕はそんな偉い人?神?に会ってるの?!」
ここまで一息にそう言うと、原神と名乗った少年は、
「うん、そうだね〜。まずここはね〜、僕の神域〜。」
と、極めてマイペースに質問を返し始めた。
「で、なんでここに君がいるのかだったね〜。それはね〜、君が死んだからだよ〜?そして何「待て待て待て待て」...どうしたの〜?」
「僕が死んだって、どういう事?」
「そのまんまだよ〜?君は修学旅行中、通り魔に刺されて、そのままぽっくり逝ったんだよー?」
その言葉に、皇翔は、ますます混乱した。
何せ、修学旅行中だった記憶はある。但し、そこから先の記憶が無いからだ。
「ああ、死んだ時の記憶は消しといてあげたよ〜?何せ、発狂して取り乱すのだけは勘弁して欲しかったからね〜。君、周りの人が通り魔を取り押さえるまでザクザク刺されてたからね〜。」
「それはなんというか...、ありがとうございます?」
そうは言ったものの、内心驚愕していた。
何せ、本当にその記憶が無いのだ。
そして目の前の少年は、それを何でもないかなように、それこそ、片手間で終わらせる労力すら必要ないと言わんばかりの軽い口調で言い切ったからだ。
(本当に神なんだな…。)
無意識に、皇翔はそう思った。
「話を続けるよ〜。なんでテンプレみたいに真っ白じゃないのかだったね〜?それはね〜...完全に僕の趣味!」
腰に手を当てて、清々しい笑顔でそう言った。
ご丁寧に、背後には『ドーーン』という文字がエフェクトと共に現れていた。
「なんか、凄いな…。」
と、皇翔は頬を引き攣らせながらそう言った。
「僕が創造した空間なんだから、このくらい余裕余裕〜。
話を戻すね〜。なんで君が僕に会ってるのか、ぶっちゃけここからが本題だよ〜。」
そう、口調はさっきまでと変わらないのに、どこか真剣味を帯びた雰囲気でそう言った。
皇翔は、そんな雰囲気を感じ取り、気持ちを引き締めて言葉を待った。
どうも、frithでーす。
これくらいの内容でも、結構時間を取るものですねー。
自分がこの小説で目指しているものは、「微妙なテンプレ外し」です。
テンプレだとつまらない。だけどテンプレじゃ無くなると途端に難しくなる。
ならば、微妙に外していけー!とばかりに書いていきたいと思います。
まだ定期更新の目処は立ちませんが、生暖かい目で見守ってくれると幸いです。
感想、批判、評価待っています。