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(旧)もれなく天使がついてきます!  作者: 咲 潤
第一章 ~ 運命の輪 ~
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―第18話― 教えて!カル先生☆

ベアル以外のみんなに挨拶を済ませた後、遊ぶために集めたのだが、クーガ達の意見として、旅に出るなら早い方がいいと言う事になり、遊びは諦めて家に戻って旅支度を始める俺とルー。


一緒についていく事になったカルは、小さい身体のどこにあるのか、タンス1つを軽く浮かせるパワーで、荷物運びに飛び回っている。


「こんなにチッコいのに頼りになるなぁ」


そんな感想が口をついたところで、ルーとカルの手が止まる。


「若様、ボクはこれでも精霊の端くれですから、手足が滑ったりしなければ、100キリくらいの物は軽々と運びますぜ?」


「そうそう、カルは、風の精霊だからね」


カルの軽口に、ルーが相槌を打つ。


キリとは、元居た世界でのキロの事らしい。


「へえ~、スゲェな!…風の精霊かぁ。…って事は、風の魔法は得意って感じなのかな?」


「魔法……って、法術のことかな?……それなら、カルはエキスパートですよ」


ニッコリ笑って、ルーが俺の言葉を察して答えてくれた。


この世界では魔法の事を法術って呼ぶんだな。


何かのゲームでもそんな呼び方してたな。


「風の属性なら、ボクは精霊だから霊術までは全て使えるよ」


「霊術?」


また新しい単語が出てきたぞ?


キョトンとした俺の顔を見て、カルがその小さい身体で大きく表現しながら、胸を張る仕草で応える。


「えっへん!…それでは、僭越ながらボクが若様に、この世界の法術をお教えしましょう!」


そう言って、3人は旅支度をしながら、たまにルーの訂正なども入りつつ、カルが法術を教えてくれた。


要点をかいつまんで説明すると、法術には属性と位の区別があるらしい。


属性はお決まりの地・水・火・風と光・暗の6属性に、さらに無属性を足した7つの属性がある。


そして、位と言うのが少しややこしくなるのだが、法術と言う言葉は、魔法の様なもの全般を指す総称でもあり、中位の術の総称でもある。


1番初歩の下位の術は念術。


この世界の生きとし生けるもの全てが使える、念力による物体移動などの無属性術だ。


これが法術の基本で、これができなければ物質を移動させる事も集めることも出来ないから、水の元素を集められなければ水が作れないのと同じく、どの法術も扱えない。


俺の居た世界では、現実で念力なんか使えたら、フツーにリアルチートものだけどな。


そして、中位の法術は、癒しの力の慈術と破壊の力の邪術の2種類に別れ、それぞれに無属性以外の6属性を有する術がある。


つまり、法術はまず、癒しの力を得るのか破壊の力を得るのかが先で、癒しの力を選べば6属性の力を用いて防御系バフや回復に特化した術を使用できるようになり、破壊の力を選んだ場合は6属性の力を用いての攻撃系バフや自然の力を利用した攻撃が出来る。


いわゆる、ゲームによくある僧侶と魔法使いの区分けみたいなものだ。


ちなみに、この星の生物は念術と法術までしか使いこなす事は出来ないとされているが、この世界の人類はゲームの僧侶と魔法使いの様に、聖神教職系と邪神教職系に分けられ、聖神教職系は慈術を、邪神教職系は邪術を使うと言う。


そんな中位術の上、この星の生物を超越した精霊や幻獣達が操るのが、上位の霊術だ。


ただし、霊術になると、中位の法術とは違って、無属性も含めた7属性が基礎となり、各属性の力の使い方次第で癒しの力も破壊の力も両方の効果を発揮させる事ができる。


これを修得するには、1つの属性を極めた存在が、他の属性の力を得ることを捨て、さらに元素の仕組みを理解して生成する事ができる事が第一条件とされ、その後、組成した元素をどう使うかによって、癒しや破壊の力に代えるやり方を覚えるのが流れなのだそうだ。


これは霊術を扱う存在自体に起因する理由でもあるのだが、精霊や幻獣達は、生まれながらにしてどれか1つの属性に特化した存在として産まれてくる。


つまり、精霊達は産まれながらにして修得するための第一条件をクリアしているのだそうだ。


そこで自動的に属性が基礎となってしまうのだが、例えばカルの様な存在なら、産まれた時点で親から第一条件の全てを無意識下の記憶に修められて産まれてくるらしく、元素とか学術的な事は何もわからないけど、風を吹かせようとしたら思っただけで吹かせられるのだとか。


言ってみれば、”血や細胞が記憶している”みたいなものだ。


法術と霊術との違いは、法術は大気に在る元素や分子を集めて力に代えるもので、大気に元素や分子の無い属性の術は発動できない。


対して霊術は物質そのものを操り、何もない所に元素を組成して力に代える事ができる為、仮に宇宙等の大気も何もない所でも元素を組成して水等を生み出す事ができる。


そして、さらに上の高位には、天術があり、天使や悪魔が使用することが出来る。


生命の根源、万物の根源を操り、物に命を与えたり、生き物を意のままに使役したり、天災地災を引き起こす事までできる。


最後に、超高位に在るのが神術である。


その名の通り、神々が使える術で、時間、空間、次元などの世界の理を操るとされている。


ちなみに、俺が使えるのはどんな術なのかと言うと。



「あはは!若様はまだまだ未熟だなあ!」


「仕方ないわ。お兄ちゃんはこの世界に来てまだ2日目だもん。これから鍛練あるのみよ!」


などと、カルに笑われルーに慰められる程度の術しか使えなかったのだった。

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