第6話「一回戦、開始」
やっと主人公が圧縮してくれました。
タイトル詐欺は終わりです(((o(*゜▽゜*)o)))
そして宣言通り一時間後試合は執り行られる。
かけも行われているのも合わさって、観客の歓声はいっそ喧しいとも言える。
場所は大きな闘技場にグループの参加者をすべて詰め込み、各参加者の対戦相手が戦闘不能、もしくは棄権により勝敗が決定する。
闘技場内には10人の参加者。5人勝ち抜けで終了。つまりは少し変わったサバイバル戦だ。
なので他の参加者の攻撃も勝敗に関わってくる。
そして開始のコールが鳴り響く。
『それでは第1回戦、開始っ!!』
幼女の号令を皮切りに参加者たちが勢いよく戦い出す。
一方俺は、というと
「で、攻撃はしないんですか?シスイさん。」
「だからさぁ、勝つ気は無いって言わなかったっけ?しないから安心して重くんは攻撃してくれ。」
周りから飛んでくる魔法や、刃物を自然に避け、余裕そうに言う。
どこまでも舐めやがって。
俺はその言葉を聞き、全力でシスイに近づく。
度々飛んでくる刃物類は走る速度を変えることで避けていく。
そして拳に、火を纏い全力で繰り出す。
しかし・・・
「熱っつ!?なんでだし!」
俺は悲鳴をあげつつもシスイに拳を届かせる。
シスイは事も無げに片手で拳を受け、拳の炎を消す。
「いや、だって火だよ?自明の理じゃないか。少しクッションを置くことを考えようか。」
シスイはそのまま片手でまるで重力が働いていないかの動きで俺を放り出す。
クッション・・・
俺はまず拳の周りに水を、纏いその上に火を纏う。
うん。熱くない。
「へぇ、聞いただけで実践か。若いっていいなぁ」
シスイは感心したように呟く。
そして俺は熱くないことを確認したのでそのまま火と水を身体中に纏う。さらに風魔法で、自分ではなく、シスイの周りに触れれば鎌鼬によって切り刻む竜巻を作り出す。
「うーん。応用はできるのにイメージ力が足りないなぁ・・・」
シスイは平然と竜巻の中から出てくる。
ローブにさえ傷は付いていない。
周りの何人かの参加者が鎌鼬の餌食になったが、それはご愁傷さま、と言わざるを得ない。
しかし俺は出てくるのを予想し、作り出してからすぐに竜巻へと走り出していた。
ついでに追い風を申し訳程度に作り出し、スピードを上げる。そして、気合いを入れて体当たりを行う。
「おお、出てくるのを予想してからの体当たりか。狙いとしては良かったね」
そういってシスイは俺に手を伸ばし、纏っている魔法を全て消し飛ばされた。
「ただ、それは相手が格下の時だ。」
そういってシスイは突風を起こし、またもや俺を吹き飛ばす。
「舐めてんのかよっ・・・!」
シスイはなんでもない顔で
「だって弱いし。殺す気でおいで」
ちら、と周りを見ると俺らの他には参加者がいない。いつの間にか勝ち抜けしていたようだ。
俺は電力を集めるイメージをして手の中に稲妻を作り出す。そして自分の周りの宙に言われた通り火の玉を作り出す。
「ああ。光魔法も使えるのか。そして多重展開も出来ると。順調に魔法が使えるようになってる。」
感電するかと思ったが、放電も俺の操る範囲になるらしいので感電はしない。
「調子に、乗るなぁ!」
俺は気合いとともに稲妻をシスイに投げつける。
「ちょっとそれは観客が危ないな・・・」
シスイは稲妻を事も無げに手で掴んだ。
稲妻を剣のようにして横に一閃、周りの火の玉を切り、消滅させる。
そして稲妻を握り潰し俺の魔法はは存在が元からなかったかのように消されてしまう。
「イメージが足りない。もっとなにか威力とかしっかりイメージをしないと実践では使えないぞ?せっかくの固有スキルを使ってくれよ」
しっかりとしたイメージ・・・
腹が立つが俺は言う通りにしっかりとしたイメージを行う。
強大な力、全てを飲み込む業火。疾風の如く相手へと向かうイメージ。
俺は、人が呑み込めるほどの大きさの弾丸状の火魔法を行う。
これでは速度が足りない。大きければ魔法は消されてしまう。
俺は無意識に巨大な火の弾丸を“圧縮”し小さな、それでいて威力は桁違いの弾丸を作り出す。
弾丸には弾丸が回転するように周りに風魔法を付与し、空気抵抗をさらに抑える。
作った直後にふらつく感覚があるが恐らく魔力を使いすぎたのだろう。
「へぇ、それが君の固有スキルか・・・」
シスイはまたもや感心したようにうなづく。
しかし俺には何のことだかわからない。とにかくシスイにダメージを与える方法を考えるんだ。
1発では確実にダメージは入らない。
しかしこの作業をもう一度するのは魔力が足りない。一発の弾丸を敵に当てる。ここまで難しいことだっただろうか。
そして思いつく。さらに弾丸に付与するのは、闇魔法。一発の弾丸を増やすイメージを。
弾丸の幻影を生み出す魔法。
「これなら、どう・・・だ!」
全てをシスイに向けて撃ちだし、魔力が足りないのか、がくっと膝をつく。
「いい魔法だけど・・・まだ君には魔力量が足りない」
シスイは淡々と喋る。さっきまでの少しふざけた感じは全く無い。
「これは観客の皆様が危ないから・・・消すよ?」
シスイは何でもないことのように言い、弾丸を見据える。
「見せてあげよう。魔法というものを。」
なにをする気だ・・・?
先程のように握り潰す気か。いや、それでは魔法ではない。あれは衝撃を加えた瞬間、
中に込めた火の魔法がすべて放出するように出来ている。そう作ったのだ。
「ほいっと」
そういってシスイは巨大な水玉を出現させ、火の玉を包む。
「凍れ水の珠」
シスイが詠唱と取れないような一言を呟き、水玉が凍りつく。
そして氷の中の火の玉がひときわ強く輝き爆発する。
ガラスが割るような音とともに氷球は砕け散った。
「あーやっぱ抑えきれないかー」
砕け散った氷の粒は光を反射し、幻想的な光景を生み出し、観客からの大歓声を受ける。
そしてそのままシスイは出口へと向かう。俺はそれをただ呆然と見ているほかなかった。
「・・・及第点。これからも頑張ってね、重くん。」
シスイはそう言い残し去っていく。
『えー、この試合、ローブゥの棄権により、カサネの勝利とする!』
・・・ローブゥってなんだよ、偽名かよ・・・
『以上を持って第二トーナメント一回戦を終了する!』
こうして俺の第一回戦は終了した。
その後受付のお姉さんによくわからない水飲まされて元気になったがそういう薬だと思うことにする。決して危なくない・・・はず
俺の属するトーナメントで勝ち残ったのは、
路地裏にいそうな暗器使いのおっさん。
ボウガンを持ったチンピラ風の男。
なんか下着しか履いてない変態。
貴族みたいな服装のレイピア使い。
の4人だ。この際まともじゃないのは突っ込まない。
シスイにバカにされたことを除けば1回戦はかなりの収穫だ。
腹の立つことに、そこそこの魔法の使い方は教えて貰ってしまった。シュムにもかなり御世話になったが、全力で何打っても死なないシスイは格好の魔法の練習台になってくれた。
そのお陰でかなり魔法が使えるようになった、というのも悔しい。
そう言えば火の弾丸が小さくなったけど・・・あれが圧縮、なのだろうか。
威力をそのままに、質量を減らす魔法。
俺はどうもそれだけではない気がしてならない。しかし確かめる手段もない。
俺は諦めて次の試合のために集中することにした・・・
しかし主人公は圧縮についてあまり良くわかっていません。
あれやこれやを圧縮します(いつか)
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(((・ω・)))プルプル