第2話「ゴブリン村」
走る主人公。隠れる主人公。
ゴブリンがこちらを敵視する。その瞬間
「グギャァァア!」
叫び声をあげこちらへ走りよってくる。
そして目の前まで来て、持っていた棍棒を全力で振り下ろしてきた。
「!?」
俺は逃げ腰のまま後ろに下がるも、ゴブリンは更に攻撃を加えてくる。
そして足元に違和感を感じるのと、自分の視界が真横になったのはほぼ同時だった。
カバンの中身をぶちまけ、俺は盛大に尻餅をつく。
「グッギィィ!!」
振り下ろされる棍棒は俺の体の数センチ左に下ろされた。
俺はそれを転がりながらも避ける。
逃げろ、逃げろ。
頭の中で警報が鳴る。
しかし恐怖で腰が抜けた俺は逃げ出すことが出来ない。
手に触れたものは、先程転んだ時に中身をぶちまけた辞書。
「これでもっ、喰らえっ!」
俺は出せる力いっぱいで辞書をゴブリンに投げつける。
飛来する辞書に危機感を抱かなかったのか、それとも気付かなかったのか。
今となっては確認する手段はないが、それが俺の幸運だった。
投げた辞書はゴブリンの顔面に、キレイに当たり、ゴブリンは痛みで蹲っていた。
俺はぶちまけた荷物を手早く回収し、情けない足取りでゴブリンのいない方向へと、森の中へと逃げ込む。
逃げろ、逃げろ、逃げろ
繰り返し鳴り響く警報は限界のきている足を無制限に動かし続ける。
死にたくない。その一心で俺は薄暗い森の中を駆ける。
「明かり・・・!村か!」
俺は明かりに向かい気力を振り絞り光が指す方向へと向かう。
「グギャア?」
「グッググゥー!?」
「ゴブリンの村・・・!?」
俺はそれを確認した瞬間に近くの木々に身を隠す。
「死ぬ、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬっ・・・!」
木の陰に隠れつつ自分の相手、ゴブリンの武装を確認する
数にして約50匹、武装は弓、棍棒、剣、盾持ち剣
一匹でさえ倒せない俺に倒せるか?
無論、無理である。
とにかく逃げることが先決だ。逃げて、逃げて、人のいる安全圏まで逃げれば、まだ希望はある。
俺はそーっと移動を始める。
村からゴブリンに見つからないように、全速力で、なおかつ慎重に離れていく。
そして、その数秒後。俺は足元のなにかに躓き、俺は派手に転ぶ。
カタカタカタカタ!
木の板のぶつかり合う音がした。
その瞬間俺は何が起こったのかを理解し、青ざめた。
そう、罠だ・・・と。
案の定ゴブリンの村から慌ただしい物音が聞こえ、こちらへと向かってくる足音も聞こえる。
「なんで罠とかあるんだよっ!?」
俺は慎重さなど投げ捨て、本当に本気の全速力で森の中を駆ける。
「グキャァアァア!」
「グギャアァアアグァ!」
明確な殺意を後方から感じ俺は恐怖を感じる。
着々とにじり寄る「死」。
もうダメだとそう思い諦めた瞬間、目の前に冒険者とおぼわしき5人組を見つける。
「助けてっ!下さいっ!」
息も切れ切れに情けなくも俺は叫ぶ。
「あんちゃん。安心していいぞ」
いつの間にか目の前にいた冒険者のひとりがそう落ち着いた様子で言った。
「あれは、俺らが引き受けよう」
頼もしい発言を聞いて、
俺の意識は暗黒へと包まれた。
やっと助けが来たようです。
ブックマークとかくれると作者がフラダンスします。コメントでも小躍りとかしちゃいます。
まだまだ拙い作品ですが生暖かい目でご覧ください。