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俺の苦労がとどまるところを知らない  作者: 神田 ショウ
5/6

図書館で一週間すごしてました

今回は図書館に引きこもって知識を蓄えます。

地味に頑張ってますので生暖かい目で見てやってください。


 異世界に馴染むべく服装からということで、シャクティ衣服店にて色々と購入した翌日から一週間、強いては異世界に来て8日目の夕刻、幸助は今首都カルセノスの観光区にある、都立の図書館の一角で本を漁っては読んでという作業を繰り返している。

 ただ単に適当に読み漁っているわけではない。この世界の情報を本から辿るべく、それらしい本を見つけては、幸助の頭に情報を詰め込んでいる。

 本はいい。こんな何も知らないやつがほいほいと人に聞こうもんなら、怪しまれるし下手をすれば良いカモになる。その点、本は情報を与えてくれるだけだ。見返りとして、それなりの時間を要するが。

 それで、俺が図書館にいるのは、服を替えた次の日、サリアさんから教えてもらった道具屋に行ってみたんだ。目的は地図だったが、色々と便利そうなものがあったので物色していた。幾つか紹介しておこう。

 ・回復薬 HPを20%回復する。苦味があるが、体にいい。売り上げ一位。 一本銅貨20枚

 ・魔力回復薬 MPを20%回復する。甘みがあり、飲みやすい。高いが需要が高い。 一本銀貨3枚

 ・魔除けの像 魔物が寄り付かなくなる像。効果半径は30メートル。何を模っているのかは不明。 現品限り金貨5枚

 ・携帯調理セット 調理に必要な器具が揃えられている。 旅のお供に。 一セット銀貨1枚

 ・毒消し薬 毒を治す。鼻につくが効果はある。 一本銅貨30枚


 他にも色々売っていたが、とりあえずそう遠くない未来にお世話になりそうなアイテムをピックアップした。中でも魔除けの像というものは、値段はとんでもないのだが効果が凄まじい。ひっそりと片隅に置かれていて、一見謎の生き物にしか見えないが、何ともいえない不気味さが漂っていた。好んで買うやつは特殊なやつだと思う。でも効果が凄いというから何もいえない。

 ――まあ、それは置いといて目的の地図だが、ありました。普通に国土内の地図もあったし、カルセノスの詳細マップも売っていた。

 値段は国土内マップが銀貨1枚、カルセノスマップが銅貨60枚と、俺の懐のダメージも案外少ない値段だが、カルセノスマップだけで憩いの宿(リラクフォレスト)の一泊ができちゃうからな。俺の金銭感覚がヤバイのかもしれない。

 後々この街を出ることも考えて、銀貨1枚と銅貨60を支払って地図を2つ購入した。

 購入後、カルセノスマップをみたら図書館があるじゃないですか。と、いうことから現在に至ったわけだが、この図書館、意外と不便だった。

 まず、入場料が存在した。入場料は一人銅貨3枚。一度出るともう一度入る際に再度支払わなければならない。

 次に、本の貸し出しができない。さらに、一定の距離以上に離れると手元の本が消失し、その本は元の位置に戻る。要は盗難防止措置なのだろうが、この点は逆にわざと離れることによって、自分の出した本が戻ってくれるからわざわざ自分が戻しに行かなくてもいいというメリットもある。

 そして最後だが、ジャンル毎に分けられていない。魔法を知りたければ魔法コーナーへ、なんてことは無く、乱雑に並べられている中から探し出さなければならない。分けてくれよと思ったが、本の戻る現象が逆に仇となってできないのだろう。最初に適当にやってしまった所為だろうな。

 ――とまあ、図書館にいる経緯と特徴はこれぐらいにして、俺は図書館に来てから5日経っているが、未だに何処に何があるのかは分かっていないため、こうして文字通り漁っているのだが、やはり書物は役に立つことが書いてあった。


 まず、お金に関してだが、銅貨が一番安い。地球で言えば1枚当たり100円ぐらいだろうか。

 次に銀貨。銅貨100枚で銀貨1枚になるので、大体1万円ぐらいだ。

 更に銀貨より高いのが金貨。これもまた銀貨100枚で金貨1枚になるので、100万円ぐらいだろう。

 つまり、アレクが俺に持たせた金は2055万ということになる。一ヶ月を20万、銀貨20枚で過ごしたとしても100年位は過ごせる値段だ。かなり大金をもらってしまった事実に、数分硬直したよ。人間いきなり大金を手にすると、思考が止まるって本当なんだなと思った瞬間だった。

 ――次はこの世界。大陸が2つあって、一つはここアディリド大陸。アレクの説明でもあったが、俺が今いるここテレメール王国、東にセレスティ王国、西にオルモンド王国、南にガラッド王国があり、北には魔族が生活しているとのこと。もう一つはオルロース大陸で、こちらは3つの王国があり、ベセリア王国、ニューレン王国、ゲンプシー王国に分かれている。

 オルロース大陸とアディリド大陸の間に海が挟まれており、交易で船での渡航をしているということぐらいの情報だ。読んでいる本がどれほど前の物か分からないので、情勢については現状見当はつかないが、魔物が活発化している現在では、海も危険な物になっているだろう。


 それと、ステータスやスキル、あとは魔法なども調べた。この世界ではステータスは重要で、その数値によって魔物を倒せるレベルも変わってくる。

 勿論、ステータスも重要だが、それだけでは埋められないのがスキルや魔法の存在だ。ステータスが相手より低い場合でも、スキルの差、経験の差で勝ってしまうものだ。簡単な例をだせば合気道がそれじゃないだろうか。自分より屈強な相手を合気と呼吸によって投げ飛ばしたりすることもできる。

 この世界で言うなら攻撃力が相手より下回っていても、スキルや経験、魔法を使うことによって倒せてしまうのと同義ということだろうか。ついでに各ステータスの詳細を説明しておこう。


【レベル】魔物を倒すことによって得る経験値が一定に達すると、レベルの数値が上昇する。レベルが上がると、ステータスが上昇する。

【HP】体力。数値が0になると死亡する。

【MP】体内に流れる魔素。スキルや魔法を行使する際に消費する。0になると最悪気絶するので乱用は控えるように。

【攻撃力】力の強さ。数値が高いほど与えるダメージが増加する。

【防御力】硬さ。数値が高いほど受けるダメージが減少する。

【魔力】魔法による攻撃力。数値が高いほど魔法ダメージが増加する。

【精神力】魔法による抵抗力。数値が高いほど魔法ダメージが減少する。

【器用さ】手先の器用さ。数値が高いほど武器類の扱いや物作りが良い結果になりやすい。

【行動力】スタミナ。数値が高いほどHPやMPの回復速度があがり、持久力も増加する。

【運】全ての物事に対する運命。数値が高いほど幸運が訪れ易い。

【スキル】技能。様々な技や魔法の総称。第二のステータスとも言われている。先天性と後天性に分かれており、生まれた時から習得しているものが先天性、まれに経験や鍛錬などによって発現するのが後天性。

【固有スキル】特殊技能。その人のみが所有するスキルで、普通のスキルとは異なった効果を得たりする。

【称号】その人の資格や名誉、呼び名などが存在し、称号の中には効果のあるものも存在する。

【所持金】その人が持つ資産。お金は所有権を持たず、落としたりすると数値が減少していくので注意。


【魔法】体内に流れる魔素を操作し、イメージに乗せることで発現する力。例えば火魔法は、体内に流れる魔素を指先に集中させ、詠唱し火の玉をイメージさせる。すると、指先に集中させた魔素がイメージした火の玉に変換され、指先に火の玉が発現する。不思議なことに、この時点では熱さを感じることはない。自分の手から離れ、火の玉が物や魔物にぶつかって初めて熱さを宿した火の玉となる。

 MPの消費、詠唱、イメージ、発現、発動の1セットで魔法が完成されると考えられている。発動に至るまでに集中を切らしたとき、詠唱は中断され、魔法は霧散となる。

 魔法には属性があり、火・水・雷・土・風・光・闇・無とそれぞれに特徴がある。属性以外にも様々な魔法が存在する。空間魔法、呪魔法、神聖魔法などの高位魔法がそれに当たる。

 高位魔法は複数の魔法を取得した者がマスターした先に得られるもので、通常は一人で複数の魔法を取得するのは稀という話だ。ただでさえ二種以上の魔法を取得する人間が数少ない中で、さらに貴重な高位魔法を持つ人間は国から手厚い保護を受けたりされるのだ。今やアイテムポーチやアイテムボックスなどが世に出回っているのは空間魔法の使い手が空間魔法を用いてポーチやバッグに施したからだ。今まで物や武器を背負ったり腰に据えたりしていたのがアイテムポーチ一つで明らかに大きい物でも制限重量以内ならば入れてしまうことが出来、重量も感じない優れものとなっている。ただ、使い手の負荷が多大で、生産数に対して需要が圧倒しているため、大変貴重で値段は規格外なものとなっている。これを手にしたものは貴族や商人といった金持ちが多いので、一種のステータスになるだろう。


【スキル】様々な補助的役割をするのがスキルで、例えるならば<剣術>は、無くても剣を振るったり、(アーツ)をかけたりもできるが、<剣術>がある場合、剣に対する扱いが楽になり、技にも補正が掛かりより正確なものとなり、与えるダメージが増す。ただし、剣の類にしか効果が反映されないので他の武器を使用した場合は、剣に劣る事が多くなるので覚えて置くように。更に、強制的に体が技にあわせるように動くのを自動技(オートアーツ)といい、体に負荷を掛けるので、使用し過ぎると筋肉が大変なことになるので注意が必要だ。

 今言った戦闘向けのスキルの他に、生活や商売に関するスキルも存在する。<家事>や<鑑定眼>が最たるもので、レベルが高いほど効果が高く、より良い結果になりやすくなる。

 また、スキルには生まれつき持っているものと、鍛錬や修行、経験などを積んで取得したものの2種が存在しており、魔法に関しては修行をいくら積んでも取得できない人が圧倒的に多く、稀に属性に適合した者が取得できる程度だ。

 

【固有スキル】その人個人が持っている特殊なスキルで、他人がいくら頑張っても取得ができないのが特徴のスキルだ。中には、スキルよりも効果の高いものだったり、より有利にできるものだったりと様々だ。固有スキルを知ったところで取得ができないので参考程度に1つだけ紹介する。


<勇者>全てのステータスがスキルレベル×100され、ランダムにスキルと属性魔法を2つずつ追加する。レベルアップによる運以外の全てのステータスの上昇値が多くなる。また、通常よりスキルの取得や成長が早い。


 これは異世界より召喚された勇者の固有スキルで、この世界の人間には勇者が存在していないとされている。正直にいうととんでもなく強力なスキルだが、固有スキルなのであきらめてくれということしかできない。


 ――というように、ここ一週間で得た知識はいまのところこんなもんだろうか。あとは魔物図鑑を見たりギルドについて調べたりと、色々と知ることができた。あと、結構読みなれたのか途中から読む速度も上がってた気がする。それだけ集中してたのかもしれない。あっという間に一週間が過ぎたのも頷ける。

 それと、思わぬところで勇者の秘密を知ってしまったわけだが、そこはもう割り切っている。俺勇者じゃないしね。

 俺は読んでいた『誰でも分かる!ギルドのお仕事』を元ある棚に戻した。もう気付けば閉館時間が迫っているからだ。

まだ金には余裕があるが、そろそろ生活環境を整えないといけないので、とりあえず明日ギルドに行こうと思う。何でも魔物討伐が現状メインとなっているが、おつかいや採集依頼もあるというので、登録だけでもして、適度な仕事があれば引き受けたいと思う。

 


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