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俺の苦労がとどまるところを知らない  作者: 神田 ショウ
1/6

プロローグ1

初投稿です。よく分からないままの投稿なので、指摘事項があればどんどんください。

今作で小説のいろはを学べたらと思っていますので、辛口コメント大歓迎です。

 とある街の中、俺……桜木幸助(さくらぎこうすけ)はぶらぶらと何の目的も無く歩いていた。

 そこは中世のヨーロッパを思わせるような古風で洋一点の街並みで、様々な人が行き交っていた。

 来た道を見れば遠目から見てもはっきりと分かる立派なお城が街の中央に堂々とそびえている。

 そして何より、周囲を歩けば頭から獣耳が生えている者や背中に大きな剣を背負っている者、更にはペットショップらしき店には見たことの無い生き物達がいた。

「やっぱりここは地球じゃないな……」

 誰に聞かせるでもなく、つぶやいた幸助の言葉。

 そう、ここは地球では無い。

 一見コスプレだらけの街にしか見えないが、あまりにも自然に頭から生える動く耳、剣や槍を携え、堂々と街中を歩いている者、そして、街道を走っていた子供が目の前転んでしまい、泣きそうになりながら膝を押さえていたのを、近くを通りがかった聖職者らしい風貌の人が子供に近づいていき、その子の膝に手を近づけると、手が発光し、少年の膝を淡い白いモヤのような光が包み込み、その発光が終えると擦り剥いていた膝が元通りになっていた。

 現代医療技術でも簡単な傷ですら一瞬で治すなど不可能な事を機器もなく、俺の目の前で素手だけでやってのけた。

 ここに来てから、現実離れの事象ばかりに遭遇してばかりいれば、否応無しにここが地球ではない事実を叩きつけられる。


 ここは剣や魔法が存在し、勇者がいれば魔王もいて、魔物だって出る、所謂ゲームのようなファンタジーあふれる異世界だった。


「何にせよ、住む場所を探さないと。」

 土地勘もない街を当ても無く、おぼつかない足取りで歩いて行く。

 ――俺こと桜木幸助は、高校二年の他人と比べれば苦労している位の一般人だ。

 黒髪でイケメンでも無くブサイクでも無い無難な顔立ち、太ってもいなく、ガリガリでもない無難な肉付き、身長は176cmとまあまあ高身長とも言える。

 友達は狭く深くといった感じで、少なくも関係を深めることを大切にしている。

 成績は上の下、運動神経も上の下と、上位には位置するも、やはり無難ともいえるであろう。

 そんな俺が高校に上がって間もなく、俺の両親がこう言った。

「幸助、一人暮らしをしろ。家賃は出してやるが、生活費は出さない。バイトでもして稼げ。給料が出るまでは面倒みてやる。」

 そう言って拒否権も無く、半ば強制的に俺の一人暮らしが決まった。

 幸助自身も、高校に入ってすぐにバイトをして、自分の好きなようにお金を使いたかったのはあって、家賃がタダでうるさい親もいないともなれば、気ままな高校生活を送れるとその時は思っていた。

 しかし、現実は甘くはなかった。確かに給料が出るまでは親が面倒をみてくれていたおかげで快適な生活はできていたが、バイトの給料が出た後、ピタリと生活援助が止まった。

 家賃支払いはしてくれているものの、光熱費やら食費、生活必需品までもが俺のバイトの給料で支払わなければならない。

 朝から夕方まで学校へ通い、洗濯、掃除、料理といった家事全てをこなし、バイトまでして、朝自力で起きて学校に通うという、社会人顔負けのライフスタイルを一年半も続けていれば、最初こそ辛かったものの、半年もすれば体はそんな労力を追い抜いてしまい、すっかり丈夫で逞しい一端の社会人でも通用する高校生になっていた――。

 と、俺の生活模様は置いておいて、何故こんなファンタジーな世界にいるのか、それは数時間前に遡る――。

 

俺の通う慶鈴けいりん高校は、期末テストの真っ最中だった。

「それではテストを始めます。チャイムがなるまでに終わらせてください。」

 その言葉を合図に、空間が静まり返った。

 俺は、机に用意された裏返しになったテスト用紙をひっくり返し、黙々と問題を解答で埋めていく。周りも同様に、黙々とテスト用紙と睨めっこしていることだろう。

この教室には、教卓に立ち、全体を見回す先生と、カンニングや怪しい動きをしないよう、教室内を巡回している先生がいて、生徒は俺をいれて三十四名だ。

 先生は教卓に立っているのが女の先生で、名前は松野恵(まつのめぐみ)。年はまだ二十代前半だろうか、スーツを着こなし、髪は肩にかかる程度ですこしウェーブがかかっていて、薄化粧をしている。美人というより美少女といっても良いぐらいの顔立ちだ。十代後半ですと言われても誰もが信じるだろう。

 松野先生は生徒に対して積極的で、人を選ばず誰にも同じ様に接しているため男女共々人気が高く、特に男子には大人気だ。

 もう一方の巡回している先生は男で、名前は岡松健二(おかまつけんじ)。無精ヒゲが妙に似合う熱血な先生だ。

見た目は30台後半に見えるが、案外お茶目なところもあり、暑苦しくはあるが親近感があり、生徒達からは人気が高い。特に一部女子には大人気だ。

 とまあ、心の中で先生を俺の中での印象と紹介をしてたらテストの解答を埋め終わっていた。まだ開始して二十分だが、軽く問題と解答を見返して、やることも無くなったので机に突っ伏した。

 さて、一眠りするかと、目を閉じたが――、

「な、何だ!」

 その声に誰もが声の主へと視線を向けた。俺も例外なく視線を辿っていた。声の主は岡松先生で、その声の原因はすぐに分かった。

 教室全体が光っていたのだ。全員思わず今がテストということも忘れ、周りを見渡すが、段々と光は強さを増して行き、遂には目を開けていられない程に輝いた。

 流石に俺は目を閉じ腕で覆い発光が収まるのを数十秒程待ち続けた。

 そして恐る恐る目をゆっくりと開けていき、発光が収まったのを確認して周囲を見渡した。そこは教室――ではなく、体育館ぐらいの広さと高さで、周囲一面が石で出来た壁、そして床には魔術とか呪術でよく見るような巨大な魔法陣と思われる上に、俺達生徒と先生も含めた全員がどういうわけか机に座っていたと思っていたが棒立ちだった。

 誘拐にしては誰かに触れられた訳でも、ましてや目は閉じたものの意識はあった上、数十秒の出来事だったので、誘拐は考えづらい。

 それに教室内の人間全員を同時に見知らぬ場所に運ぶことだって現代の技術では無理がある。ありえるとすれば宇宙人に攫われたとか、よくラノベに描かれている異世界に召喚されたとかの非現実的なものばかりしか思い浮かばなかった。

 段々と非現実的な考えになっていくうちに冷静になった俺は、再度クラスメイト達を確認した。

 すでに発光が収まり数分が経過していて、全員が目の前で起こった事と、教室ではなく、見覚えのない場所にいるということに混乱したり、中には泣き出す子まで出てきた。

 そんな殺伐とした空気を吹きとばすかのように、壁の一部が地面へと埋まっていった。壁が埋まった先は通路のようになっており、その奥から人影が現れた。

 段々とこちらへと近づいてくる人影……つまるところ、俺達をここに連れてきた犯人であるということを全員が理解し、不安と恐怖が頭の中を支配したのだろう。ただただ息を殺して人影を見つめていた。

 こちらの心情など気にしないかのように、その人影は姿を現した。

 ――背丈は俺よりも10cmほど高く、今にもはちきれんばかりに膨らんだ胸元、腕から足まで一目で分かる程の鍛えあげられた筋肉。そして上半身には肩から足を引き摺るように伸びたマントを羽織い、服は着ていなく、下半身についてはボクサーパンツに足は紳士靴。こんがり焼けた褐色肌で、ダンディという言葉がぴったりな顔で、百人に聞けば百人がイケメンというほどだろう。

 そして申し訳程度に頭部の頂には小さな冠が載っていた。王様が被っているような、赤を基調とした生地に、宝石類が散りばめられているいかにも高そうな冠だった。

 

 突然現れた筋肉の塊に、俺達は動けないでいた。目の前に屈強そうな男がボクサーパンツにマントしか羽織っていない上、紳士靴を履いて腕を組んでいるんだ。しかも真顔で。力ではまず勝てないだろうし、誰だって尻込みする。どう見ても見た目が完全に変態という言葉しか思いつかない。

 そんな俺達の様子を見て、いてもたってもいられなくなったのか、筋肉の塊の方から話しかけて来た。

「皆様、この度我々の国の都合で勝手に勇者召喚の儀を執り行ってお喚びして申し訳ない。私はこの国の現国王のアレク=ディア=テレメール。今我々テレメール国は様々な脅威に脅かされている。勝手に召喚した挙句、身勝手な頼みなのは承知の上で、是非あなたがた異世界の勇者様の力をお借りしたい。どうか我々の国をお救いください!」

 アレクと言った俺が予想していた国王と全く容姿が合わない国王が、自分が俺達を召喚した張本人と告白し、自己紹介した後、召喚した理由を述べ、ガバっという勢いで国王は地に伏し、俺達に助けを求めてきた。それも日本におけるプライドをかなぐり捨てた最低にして至高ともよべる謝罪、土下座を決め込んだ。

 その危機迫る勢いに女子達はひっと小さな悲鳴を上げ、逆に男子達はそんな見事な土下座に警戒しつつも感銘を受けていた。特に岡松先生が。

 とりあえず、敵意が無いようで俺は安堵していたが、国王の言った内容に、不安を覚えるのだった。 

仕事の都合上、不定期になるかもしれませんが出来るだけ一定間隔で投稿したいと思います。

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