生命の神秘について
超短いです
水35リットル
炭素20kg
アンモニア4リットル
石灰1.5kg
リン800g
塩分250g
硝石100g
硫黄80g
フッ素7.5g
鉄5g
ケイ素3g
その他少量の15の元素
細胞66%、細胞外液24%、細胞外固形物10%
以上が人間1人の材料とされている。
水 100cc
バター45g
塩ひとつまみ
小麦粉60g
卵2個
牛乳300ml
砂糖80g
卵黄3個
小麦粉30g
バニラ1/2本
以上がシュークリーム約12個分の分量である。
「待て。カトリーヌ」
「何かしら、兄上様」
可愛らしく小首を傾げるカトリーヌにアンリも同様に首を真顔で傾ける。
「人とシュークリームを同列に並べる妹の奇行が心配になった」
主に頭が、とはアンリは言わなかった。
「そもそも比較するなら、シュークリームの材料も、もっと細分化する必要があるのではないかな」
「アンリ様、そういう問題ではございません」
アンリのどこかズレた答えにカトリーヌの側仕えの侍女は思わず突っ込んだ。
カトリーヌはそっと小さなため息を吐く。
「兄上様、わたくし、シュークリームと人間にまつわる、生命の神秘についての手がかりを探しておりますの。シュークリームが如何にして輪廻の輪に加わるのか。シュークリームの中には果たして何が入っているのか」
「カトリーヌ」
アンリはそっとカトリーヌの肩を抱いた。
カトリーヌを見るアンリの目はとても優しい。
「シュークリームの中はカスタードしか入っていない。そんな当たり前な答えでは、お前は納得しないのだろう?
僕では君の相談に乗れないけれど、知り合いに、君の話を聞いて相談に乗ってくれる人物に心当たりがある。会ってみる気はあるかい」
「まあ、是非とも」
「良かった。じゃあ、直ぐに呼び寄せるよ」
表情が明るくなったカトリーヌに、にっこり笑ったアンリはカトリーヌの手を取って、部屋まで丁寧に送った。
数時間後、アンリによって引き合わされたのは医者と祈祷師だった。