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狼になった。  作者: ケモナー@作者
二章『運命が変わる刻』
9/22

自己紹介した。

今回は短め

朝日の光が洞窟の中に入ってくる。

日光の紫外線が目蓋(まぶた)を貫いて眼球を刺激した。

それが僕を起床させるキッカケになる。

夢の中の僕はそれによってドンドン眠りの奥底から覚醒へと引き上げられる


僕は寝起きの重い体を持ち上げて四つん這いで背伸びをする。

背骨からポキポキという気持ちの良い音を聞き流して外を見る。

早朝である。目覚まし時計無くても早く起きれるんだね。


僕はここが雌狼の巣の洞窟だと気付く。

とりあえず外に出よう。また噛まれたりしたら嫌だしね。

僕はそのまま外に出ようとすると


むにゅ


フカフカの柔らかい何かを踏みつけた。

なんだこれは?と思いながら再度踏む


むにゅ


なんだこれ?まるで毛玉でも踏みつけているような・・・・

毛玉?

僕は恐る恐る自分の前足の先を見た。

そこには狼がスヤスヤと寝ており、僕は尻尾を踏みつけていた。


「ホワァァァァァァァッ!!!」

わざとじゃないんですわざとじゃないんですわざとじゃないんです!!

僕はバックステップをして緊急回避を行う。

マズイマズイ非常にマズイ!絶対怒られるー!!



といつまで経っても彼女から仕返しがこないことに疑問を抱いた。

あれ?お咎め無し?許して貰えるの?

僕は前足で覆った頭を持ち上げて状況を確認する

「・・・・あっ」

彼女は踏まれた事に気付いておらずそのまま寝ている


野生動物としてそれで良いのか?まぁ僕が無事だから良いけど

寝ている事を良いことにチョロチョロと近付いてみる。何かフラグな気がするが。

だが見てみると結構リラックスしてるように見える。治療したからかな?まぁ楽になったらそれはそれで良かった。

絶対狼になったせいだよなぁ・・・なんだか可愛く見えてきた。動物の顔に整ってるも何も無いだろうけどね。

絶対群れの中だったらモテるな。群れの中なら絶対一匹はいるな。


おかしい、価値観がドンドン狼よりになってきたぞ?


「おいおいメスの寝顔見てるぜぇー!」

「変態だー!」

「えぇーみせてみせてー!」

やべぇうぜぇ・・・


洞窟の出口を見るとそこには三羽のカラスがこっちをニヤニヤと見ていた。

僕をここまで案内してくれた良い奴等に違いないけど、このウザさはなんなのかね?

「何のようだよ」

僕は少し不機嫌気味に返事をする。

だが奴等はそんなのお構いなしに騒ぎ始める。

「いやな!あの後なんか進展あったかなぁてさ!」

「最後の残りの狼だぜ?そりゃ気になるだろ」

「どーすんの?どーすん?群れ組むの?」

奴等は単に気になっただけらしいな。

まぁ確かに僕は今絶滅種のニホンオオカミだ。そこで寝ている彼女も同じくニホンオオカミ。

面白い好きの外野というポジションにいるらしいあの三羽なら僕たちが気になることこの上ないだろうな変なのに目付けられちったなぁ。

僕はため息を吐いてその三羽をやり過ごすことにした


「群れは作んないよ。彼女から狩りの仕方は教えて貰うけど」

「「「えー!!つまんなぁーい!」」」

コイツラ・・・!!

そろそろいい加減にしろよ?

僕は彼らを睨み返して強気でいた。

「なんでそんなに僕らをくっつけたそうにするんだよ」

僕の質問に三羽はそれぞれ顔を見合わせる。そして彼らの口は開いた。

「だってソイツいつも一匹だしよ」

「寂しそうだもんね」

「それな」

カラス達はつまり彼女が文字通り一匹狼でいることが問題だという。

人間では見れなかったな。こんな感情。

カラスもそんな事を考えたりするのか。

動物は思っていた以上に賢いのかもしれない。

でも何故彼女は一匹でいる、または一匹しかいないのか?それが最大の謎であった。

「ねぇ、そんなに言うんだったら何で彼女は一匹でいるのさ」

僕の質問にカラス達は不安そうな顔をした。何か知っているのか?


「「「シラネ」」」

ダメだコイツら。


そのとき、僕とカラス達が口論していると何かが少し動いた。

そして「・・・ん」と声が鳴ると同時にカラス達は飛び去り、僕は寝ている彼女へ顔を向けた。カラス達は素晴らしい反応速度である。腐っても野生動物らしい。


僕は彼女の顔を見る、薄く開かれた目蓋からは赤色の瞳が見えて、そこから僕を覗いていた

それは彼女も起床した証拠でもある。

「オハヨー狼さん」

「・・・おはよう」

そう言って、僕ら二匹のニホンオオカミは目覚めたのだった。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



僕は彼女が起きた後川へと向かった。

この洞窟の外には小川が流れているのだ。だから探し回る必要はない。

川に向かった理由、それは顔を洗うためだ。彼女には「何してるの?」と聞かれたから顔を洗うって概念がよくわかって無いんだろうな。

とりあえず寝起きの意識もシャキーンとした。

そして何やら興味が出たのか、彼女も顔を洗い始めた。

すると驚いたような表情(かお)をして僕を黙って見ていた。

水で顔を洗うと意識が覚醒したことに驚きを隠せないようだ。僕はその様子を見て少し笑ってしまった。


足のけがはどうだ?と聞くと大分楽になったらしくて僕はホッとしていた。

軟膏がちゃんと効くか不安だったしね。


そして(なう)、洞窟野中で彼女と僕はお座り状態で向かいあっている。

僕的にはこの体勢最早拷問のイメージしか持たない。洞窟の特有の薄暗さと湿気がますます僕のテンションを下げていく。


怒ってるのかな?怒られるのかな?

僕は怒られるような事をした行為をお思い出していたがメチャクチャ見に覚えありますけど。


まさか・・・尻尾踏んだのバレちゃった?

だとしたらそれは非常にマズイぞ。

僕もう尻尾噛まれるのヤダ。


「ねぇあんた。」

「キャイン」

彼女の声が聞こえると思わず悲鳴を上げてしまった。

情けないと思うけど、本当に怖いんだよ。

次の言葉に僕は心底ビクビク怯えていた。

すると彼女の口は開いた。

僕は目を思いっ切り瞑る。

そして━━━


「名前は、なんていうの?」

彼女が聞いてきたのは別に攻撃的な質問ではなく、ただ名前を聞いてきただけだった。

僕はその問いにキョトンとしてしまったが、どうやら尻尾の件は覚えていないらしい。

心底安心する僕に彼女は変なモノを見るような目で見てくる。


でも確かに僕も彼女の名前を知らずに「彼女」「狼」ってので表してたな。結構これ不便だ。


この際お互い自己紹介するのもいいだろう。

でも僕には一つ問題がある。それは人間の名前だと言うことだ。

人間の名前は長いし、動物からしたら変な名前になりそうだよなぁ。

どうしたものか・・・あっそうだ!


「僕の名前は・・・シロウだよ」

名字は消して、名前だけ言えば良いと判断した僕ら名前を教える。

これで結構マシな名前な気がするが


「しろう・・・変な名前ね。」

どうやら狼にとっては変な名前らしい。


「そーいう君はどうなのさ。名前」

僕は少しムッとした口調で言い返した。

これでも僕はこの名前を気に入ってたんだ。

彼女の名前が変だったらバカにしちゃる。


「私の名前はアサ。」


・・・・。

感想「へー」以上。


「そうかアサちゃんか。」

僕は淡々とこの名前の響きを聞く。


う~ん、良い名前でも変な名前でもないな。

でもどっちかっていうと良い名前の方だとは思った。口に出さないけどね。

でもこれでお互いの名前は認知しあったわけだ。

これから僕は狩りが上手くなるまでアサちゃんと一緒にいることになる

チームワークとか必要になってくるだろう。

僕は一匹じゃ生きていけない。だから一匹でも生きていける技能を身に付けなくちゃいけないんだ。

「よろしくね。先生(アサちゃん)

「ん、よろしく。」

僕が前足を差し出すとアサちゃんは不思議そうな顔をして、僕の足の上に自分の足をポンと乗せた。

これで握手は完了かな?

僕は狼の慣れない顔で出来るだけ笑って見せる。

彼女はただただ不思議に僕を見ているだけだった。

ヒロインが出来た。

次話からほのぼのストーリーを開始

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