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狼になった。  作者: ケモナー@作者
二章『運命が変わる刻』
8/22

治療するで。

ついにヒロインたったー。

僕はどこかもわからない樹海をノーストップで走り回っていた。

雨の時とは違う、本気で脚力を使ったのは初めてかもしれない。


はしる~ころぶ~ちが~で~る~にくが~さけてほねがみ~え~る~


ごめんなさい

ちょっと本気じゃなかったかも。


脳内で人間の時友達に歌ってもらって大爆笑した曲を再生していた。

だって僕シリアスとか苦手だもん。

本気と書いてマジと読む行為は得意ではないのだ。


今度はおふざけ無しで地面を蹴った。

地面からむき出しになった木々の根っこや大きな岩を避けながら僕は彼女のいる洞窟へと急いだ。

彼女に噛まれた前足が痛んできたが気にしない。

なんでこんなに僕は必死になっているかわからない。


でもそうしなきゃいけない気がした。

まぁ助けたお礼に飯奢って貰えるかもって下心はないともいえないが・・・

はっ!?イカンイカンイカン!!


カラス三羽から聞いた話によると、あの雌の狼は足に怪我を負って動ける状態ではないとのこと。

普通のペットなら心配は要らなかったはずだ。

何せ飼い主がなんでもしてくれるからな。

でも彼女はちがう。

足に傷を負い、更に動けないとなれば、野生の肉食動物にとってどういうことを示すか容易に想像できる。


彼女の傷が開いたとしたら、僕のせいだ。

彼女の縄張りと知っていれば、彼女は僕を撃退するために体を動かす必要はなかったかもしれない。


まぁ彼女も三割くらい遊んでたけど・・・

それに、傷が開いても開かなくても、彼女がどうなったかはわからない。

結局助からなかったかもしれない。

飢えという名の生物の命を繋いでる鎖が、彼女の命をどっちにしろ蝕んでたかもしれない。


いや、しかしだね、女の子に怪我させといてしらばっくれるのは・・・男としてどうかと思うんだよね!!


「理由なんていらない!だって考えるのは僕は苦手なんだよー!!」

僕は樹木の生い茂る森を駆け抜けて、本能を頼りに彼女の元へと向かった。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



「行っちまったなぁ」

「あいつあの子を助けるとか、何を根拠に・・・」

「でもなんかあいつ・・・人間っぽいよなぁ」

「あーわかる!本能に従わないで自分の気持ちに生きるとことか!」

「ん、確かに。」

「あいつをしばらく見てくか?」

「なんか面白そうだしねえ」

「町行っても猫とか人間に襲われるだけだし、ついてくか」



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



「はぁ、はぁ、はぁ」

生きが乱れる。狼の体力を全て使い切ってここまで来たのだ。

かなり・・・遠かった。


実際、あまり遠くなかったかもしれない。

遠くなったのは迷子になったせいだろう。

僕はあの後5分もしない内に森に迷った。

本能に従ったらエラい目に遭ったのだ。

そんな僕を助けてくれたのは、彼らだった。


「おぉ!着いた着いた!」

「ほぅらぁ。私達の合ってたっしょ!?」

「ふっ礼はいらねぇぜ。あ、言ってみたかったんだよなぁこれ。」

あの三羽のカラスが道案内をしてくれたからだ。


僕が必死に匂いを嗅いで迷子から脱却しようとしてたときに


『あの子の住処わかるよ!』

『はやくこっちこっち!』

『どうせ迷子なんやろ?』


と言ってもらったのだ。

ムカつくが、正直助かった。

物語とかのカラスって、僕らみたいなの笑って虐めてくるというイメージがあったが、彼らは結構いい奴らだった。


「はぁ、はぁ、ありがとう。君達に案内してもらって、本当に助かった。」

素直に礼の言葉を口にする。

実際助かった。下手したら最初の仮拠点にすら戻れなかったかもしれない。


カラス達は一斉に口を開いて

「「「礼なんかいらねぇぜ!」」」

と言った。


これ言いたいだけじゃねの?

どちらにせよ、早く彼女の元に向かわなければならない。

礼もそこそこに、僕は洞窟の中に入った。

自分にできることをするために。



湿気気味な洞窟の中に入る。

中からは、狼の匂いがよく嗅ぐことが出来た。

しかし、初対面の時のように、彼女に襲われたら元も子もない。

僕は出来るだけ大きな声で叫んだ。


「ねぇ!いるぅ??」


僕の言葉が木霊となって反響する。

返事はない。

ふむ、奥の手を使うしか無いのか


僕は息を思いっ切り吸い込んで、あの言葉を口にした


「ゴールデンシャワァァァァァァア!!」


大声で下ネタを口にするのはどうかと思う。

だが、彼女ならこの言葉に反応を示すだろう。

確信はあった。

なぜならこの言葉のせいで尻尾噛まれたからね!


「あ、きた」

しばらくすると、洞窟の奥からズルズルと音を立て、何かが近づいてきた。

そして、そこから片足を引きずりっている狼が現れ。

彼女は僕をジト目で睨んできた。

ひぃ。


「アンタ、確か昨日の・・・何のよう?」

その声は決して穏やかではない。むしろ敵意剥き出しだった。

昨日とは違う本気の殺意と殺気に僕は怯む。

それでも地面を踏ん張ってそれに答える。

「足、怪我してるんだって?」


狼は一瞬驚く表情を見せると鼻で笑った。

「そう、知ってたの?ってことはあたしを始末しにきた?そうとしか考えられないし。」

彼女は若干笑いながらそう言ってきた。

しかしその笑いは、諦めが混じっているように感じる。


確かにここは良い物件だ。

手に入れるのなら手にしたいと誰でも思う。

しかもそこを縄張りにしてる主が怪我をして弱っているのだ。チャンスとしか言いようがない。

彼女の諦めは、僕を撃退するだけの力が残っていないことを意味しているのが簡単に想像できた。


「別にここを奪おうとは思ってないよ?」

僕は彼女の問いに即答した。

彼女はすこしポカンとしていたが、直ぐに元に戻り警戒する面に変わった。

「じゃぁ・・・何しに来たっていうのよ・・・!」

そう聞いてくるのは、彼女は僕が嘘を()いていると思っているのだろう。

そう簡単に信用はしてもらえない・・・か。


「怪我、治せるかもしんない。治療しにきた。」

僕は必要最低限の言葉だけ言う。これ以上余計な事を言っても信用は得れないだろう。

「は?・・・何で」

彼女は僕の答えに困惑していた。

おそらく、狼として有り得ない返し方をしたのだろう。

そんな事は気にしない。

だって僕は・・・まだ「人間」だから。


「う~ん、噛まれたけど、雨を(しの)ぐのに置いて貰ったお礼?じゃ駄目かな?」

僕は彼女にそう言う。

「あんたにっなんのメリットがあるのよ!」

「困ってる奴が居て、自分に何かできる余裕があるなら、そりゃそうするでしょ。」

少なくとも、僕はそう思う。

彼女は呆然としている。

ホントに理解ができないのだろう。


「信じられない?ん~、そうだ!怪我治ったら狩りの仕方教えてくんね?僕ド素人だからさぁ~」

僕が軽く言うと戸惑いながら彼女は答えた。

「それ、くらいなら・・・」

「おっし!決まり!」

僕は彼女にそう言って近づく。

彼女は怪我の部分を差し出してくるが警戒は解いていない、睨んでくる目線を感じる。

だが、僕はそんなのお構いなしに治療をすることにした。

僕はリュックを地面に置いて、中身を確認する。


「それ、人間の・・・」

「またまた手に入れられる機会があったの」

僕はそう相槌を打ちながらペットボトルを取り出す。

中にはタプタプと音を立てながら水が入っている。

彼女はそれを不思議そうに眺めている。

僕はペットボトルのキャップを開けようとするが、肉球じゃどうにも出来なかった。

仕方ないので飲み口を噛み砕いて蓋を開けた。

それを口でくわえて中の水を彼女の傷口に振りかけた。

傷口は泥やらで汚れていたからだ。

傷がしみたのだろう。彼女は小さく「キュンっ!」と鳴くがこればっかりはしょうがない。

ある程度洗い流すとタオルで拭く。


さて、問題はこれからだ。

リュックから軟膏の入った缶を取り出す。

さて・・・どうやってこれを開けるべきか・・・。

てか、人間用の軟膏を動物に塗ってもいいのかな?少し不安が生まれる。

仮に軟膏が効くとしても開けるとしたらペットボトルのように噛み砕いて開けることになる。


使用済みペットボトルをみる。蓋が壊れてコップにはなりそうだが水筒のように使えそうにない。

出来れば軟膏とかの薬品は壊さず使いたいのだが・・・

彼女の顔を見ると捕食者特有の鋭い目が見えた。

しかし、そんな目にあまり光が灯っていない。

力強く装っているようだが、かなり弱っているのだろう。

そう思うと居てもたっても居られなくなった。

躊躇なく軟膏の入った缶を噛み砕く。

そして広がる。


苦い味わいが。


「ギェェエエエエエエエエエッ!!ニガァァァァァァアっ!!」

僕は口に入った軟膏の不味さにのたうち回った。

そして狼は僕の悲鳴に驚きビクン!とする。

その目は・・・あきれ目だった。


僕はひぃ~と言いながら彼女の傷に軟膏を塗った。

塗り方は前足に(洗った。)軟膏を付けてそれで塗りたくった。

そのあと包帯で太股をぐるぐる巻きにする。

これがまた大変な作業だった。

とくに包帯を固定することが、テープなど無いので包帯にピンを付けてそれで固定したのだ。

これで良い・・・と思う。


「終わった~これで暫く安静にねー」

僕はそう言って地面に横たわる。結構緊張したのだ。

だって相手は狼といえど女の子だよ?

ケモナーなら理解できるはず。


治療が終わった頃には結構夜になってしまった。

瞼が重い・・・そういや、半日くらい走り回ったもんな・・・疲れた。

疲労によって意識が睡魔に飲み込まれていく。

寝ちゃだめだと思いながらも抵抗できない。

そのまま意識がと~のいて~いく~

あ~・・・



「・・・ありがとう」



何かが聞こえた事に僕は気づかなかった。

ちなみに犬に人用の軟膏は大丈夫らしいですよ。


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