わかった。
今回は少し1000文字ほど長いです。
次回からはもっと長くしたいです。
「なんかもの凄くヤバい夢を見た気が・・・」
草の上で寝ころんで一夜明けた。
僕はその睡眠の中で見た夢を不気味に感じていた。
とりあえず人が死ぬ夢見た。最悪だわ
「どんな夢かは忘れたけど、ロクな夢じゃないだろうなぁ」
夢ってのは起きた後は覚えてない事がある。
内容的には人が沢山死んだとかだが、詳しいくはどんなだったかが思い出せそうにない。
てか、覚えてないほうがむしろ良かったかもしれない。
死体が転がる夢って相当グロテスクだと思う。
子供が見たら泣き出しそうだ。ただでさえ今の生活はストレスフル現在進行形なのだ。
いやな夢なんて思い出したくもない。
「ま、いっか。」
忘れてるってことは別に大した夢ではないだろう。
どうせそんなもんだ。
大体怖い夢見ただけでビビってちゃこの先、生きていけねぇぜ。
僕はあの悪夢を簡単に吹っ切る事ができたようだ。
そんな訳で僕は頭の中で話題を切り替えた。
それは、昨日見つけたリュックについて、そして新しい住処のことだ。
とりあえずリュックの中身は役に立ちそうなものばかりなのが幸運だった。財布や携帯はいらんかったけどね。
「食い物どこにあるかわからないし、しばらくはこれを食べていくかな」
地面にまき散らした僅かな食料と治療道具をリュックにしまう。
前足では難しいので口にくわえて荷物を整理した。
今まで人間で出来た事が出来なくなるのはストレスが貯まるのだが直ぐ慣れるだろう。
個人的に自分の適応能力は・・・常人に毛が生えた位だと思う。
自惚れはしないよ自惚れは。
「さてと・・・いくか。」
リュックを背負っていざ出発だ。
まずはここがどこだかを調べる必要がある。
そして食い物、縄張りも作らなければ恐らくこの樹海では生きていけないだろう。
というわけで旅に出ることで、僕は答えを出していた。
いざゆかん。未知のジャングルへ・・・!
レッツゴー。
「・・・。」
突然道へ進むために上げた前足を僕は止めた。
ちょうど、歩き出そうとしたところを緊急停止したような格好だ。
突然止まったのには理由がある。
僕はあることを考えついてしまったのだ。
方向感覚が完全にイカレてこのままでは迷子になってしまいそうだからだ。
僕のチキン能力を甘く見てもらっては困る。
僕はノリなんかに流されない。先にリスクを考え、対処しないとえらい目に遭うのは目に見えてる。どう考えてもフラグだ。慎重に進むとしよう。
ん?物語的につまらないって?そんなんしらんもん!
ははっ、笑えよ。
「へへへへ」
「何やってんだアイツ」
「はははっ変なの。」
だからってホントに笑う事はないじゃないか。ちょっと傷ついたよ?
全く酷いものだ。僕は単に痛い目に遭いたくないだけで・・・
誰だ笑ってんの??
僕は声のする方へ首を曲げた。
すると何羽かのカラスが僕をケラケラ笑っていたのが見える。
声の主はあのカラス達のようだ。
まさか狼だけではなく、他の動物の声も聞こえるようになるとは、予想外である。
笑われたのは癪に障るが、もしかしたら情報を聞き出せるかもしれない。
僕は一つ、彼らに訪ねることにした。
「あ、あのすいません、少しお尋ねしたいことがありまして・・・」
僕が話しかけるとカラス達は驚いた表情をする。なんじゃね?
「あれ?狼のクセに丁寧語か?」
「てか、あいつ俺らの言葉喋ってね?」
「え!?マジかよ鳥語喋ってんぞあの狼」
僕は今どうやら鳥の言葉を喋っているようだ。
それに驚いているカラス達を見ると狼が鳥語を使う事が珍しいことなのはすぐにわかった。
そりゃそうだ。僕だって驚きだよ。
「おい、よく見たらオスだぜコイツ」
「あ、ホントだ。アイツじゃねぇな。ははっ」
「他にも生き残り居たの?まじぇ?」
なんかウゼーなこの三羽。
そして彼らの会話の中に気になる単語が見えた。
「あの、生き残リッテ?」
出来るだけさっきの苛つきを隠すように喋る。
別にウザくてムカついた訳じゃないよ?
別にぃ。
カラス達は僕の言葉に少し怪訝な目をする
「ん?わかってないの?もしかして噂な外来種って奴か?」
「でもオイラ、檻の中で外来種が育てられてる広場行ったことあるけど、外来種の狼はもっと大きかったし、色も濃かったぞ?」
「だよねぇ、ニホンオオカミって外来種と違って小さいし色も白いって母ちゃん言ってた。」
外来種の育てられてるって・・・動物園ってこと?それより、ここがどこだかわかる単語が聞こえた。
「に、ニホンオオカミ??」
ニホンオオカミ。
1905年の最後の個体を最後に絶滅した狼。
体長は105センチの日本の中型犬サイズ。
狂犬病や宗教関係とかその他の理由で駆除されたりした。
ってことぐらいの知識で僕はその名前を知っていた。
何故僕がその言葉に反応したかは別に絶滅動物だからってだけじゃない。
それは名前の通り、ニホンオオカミは「日本」の固有種。
つまり、僕の居るこの大地は日本のどこかだということだ。
「ちょ!ここ、日本なんですか!?」
僕の声に興奮が入る。
「にっぽん?知り合いはヤマトって言ってたぜ?」
「あーでも人間がそんな事言ってたな。」
「そー!そー!「にっぽんのけいざいー」とか、「あべなんとかー」って」
あべなんとかは置いといて、どうやらファンタジー小説とかみたいな異世界漂流とかじゃなくて安心した。
安堵のため息が出て、力が抜けた。
足で支えられなくなり、僕は地面に横たわった。
「よかったー、ホントによかったー」
「なんだこいつ?」
「何がよかったんだ?」
「わからん」
カラス達は僕を不思議そうに見てた。
ほっといてくれ、これは事情がわかる人にしかわからんのだ。
そのまま座っていると、一羽が何か思い出したかのように僕に何か訪ねてきた。
「あー、そういや、君一匹なの?」
「え?まぁそうだけど?」
カラスはほへ~と言うと、何か小声で話し合い始めた。
ただ、犬耳も性能がいいのか普通に聞こえてきた。
「ってことは別々の群の生き残りかぁ?」
「そうじゃねぇの?大体、同じ群れなら単独行動なんかしてねぇって」
「同じ群れじゃないってことぁ、敵同士にもなるのか。」
「じゃ。あのメスの方はどうなるんだ?足に酷い怪我をして動けないままじゃん。」
「しらね、ほっときゃ、勝手に餓死すんじゃねえの?前見に行ったらそんな事言ってたぞ?」
メスの方って、アイツのことか?
てか、足に怪我?何の事だ?
「なぁ、足に怪我ってどう言うことだ?たぶんソイツ僕の知り合いだよ」
カラス達に声をかけると一斉にこっち向き「うそん!」「地獄耳やぁ!」とか喚いていた。
「なんでそんなに狼狽えてるんだよ!いいから教えてくれ!」
僕がそう怒鳴るとカラス達は一瞬でシーンと黙り周りにボソボソと相談してから答えた。
「5日くらい前、あの狼足を鉄の玉に撃ち抜かれたんだよ」
「・・・え?」
なんで?あんなに元気(凶暴)だったじゃん。
「流石に傷は塞がってるだろ。暴れりゃまた開くけど」
「どっちみち狩りはできないだろ?」
「だよなぁ、一匹で狩りってのはやっぱ無茶だったんだよ」
「おいどこいくんだ!?」
「あのメスの所か!?お前怪我治せるのかよ!?」
「な~に~を~す~る~き~だぁ~??」
カラス達の声がどんどん遠くなる。
気が付くと、僕は森の中を無我夢中で走っていた。
個人的にはあのカラス三羽衆が好きです。
ご気軽に感想できたらおね(以下略)