夢を見た。
ニホンオオカミは2匹の群も形成するらしいですよ
「あれ?これって・・・」
僕の視界に映ったのは決して大きいとは言えないバックが、落ちてた。
そこには「大和士郎」と書かれている。
僕の名前だ・・・
そして、そのバックを僕は見覚えがあった。
それは、父と母に誕生日、僕に買ってくれた大切なリュックサックだからだ。
「なんで、ここに・・・?」
僕は淡々と呟いた。
僕の疑問を誰かが答えてくれる訳なく、そのまま夜の静寂が訪れる。
それはわかっていた。でも声に出さないとなんか、あれじゃん。落ち着かない。
ってか、話を戻すとなんで僕のバックがここにあるんだ?
服とかなら納得がいくけど(僕が着てた服が落ちてたとか)なんでわざわざバックなんて・・・
もしや、と思いバックの蓋を開ける。
小さな希望を見つける為に僕は期待を寄せた。
何故か金具が壊れてたので容易にあける事が出来そうだ。
バックに噛みついて持ち上げる。
開いた蓋を下に向けて、中身が落ちるように上下に振る。
そうすると、中身がボロボロと落ちてきた
「ははっやった・・・」
中から出てきたのはビーフジャーキーとかのお菓子や水筒、ライターや塗り薬に包帯などが出てきた。
ある程度は生きていくには問題はない。
もちろん中には財布が入っていたが、今このサバイバルで最もいらないものだ。
世の中金と言われるが、そうでもないようだね。
僕も流石に「いらねぇ・・・」と呟いてしまった。
荷物の中からはス○ホの携帯も入っていた。
助けを呼べるかも、と思い電源をつける。
━━━が、
「うそん」
パスワードを解除しようとするも、犬の肉球では画面は反応しなかった。
まじかよ、この状況、ス○ホ依存症の人なら死ぬぞ?
理不尽だろ。肉球に反応しないだと?
バカなぁぁぁぁぁぁぁ!!
それにしても・・・
「なんでこんなに準備いいんたよ・・・」
僕は目の前に起きた謎の現象に目を疑った。
中身にお菓子はともかく、ライターや塗り薬に包帯なんかそうそう持ち歩くもんじゃないぞ!せいぜい持ち歩くとしたら絆創膏くらいだ。
偶然、だと言えばそれで終わりで、そうかもしれないが、準備が良すぎるこの荷物に不自然で不気味な気分を味わっていた。
このバックを誰が用意し、人間の時、最後に自分が何をしてたかを頭を捻って思い出そうとする。
自分の持ち物なのだから、何かと思い出せるはず
・・・・。
だけど思い出せない。
自分の生活や人間関係くらいはわかるが、何をしていたかというのはまるで靄に包まれたように、モヤモヤした感じで、思い出せそうで思い出せない。
それっておかしくないか?
自分が何者かがわかってどんな生活をしてたかくらいかは、わかっても人間の時過ごした出来事を何も思い出せない
だとしたら大分都合のいい記憶喪失だぞ?
「あぁもう!!とりあえず考えるのやめやめ!寝よっ!」
考えるのがめんどくさくなって草の上にダイブする。草がクッションになって気持ちよい。
僕は頭を使う事は苦手なんだ。
この手の解決策は「寝る」に限る。
そっと目を閉じると激しい睡魔が襲ってきた。
だいぶ疲労をしてたようだ。
僕は夢に引きずり込まれるようにそのまま深い眠りについた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
三匹の狼が森の中を走る。
狼にしては小柄で体長は1メートルくらいだ。
狼はその小さな体には似合わない雄叫びを上げた。
鼓膜を強く振るわせるほどの音量。
その雄叫びの先には、獲物ではなく、敵の姿がある。
人間は狩猟用の銃を構えると躊躇なく撃ち始めた。
最初のパンっという音を合図に三匹は走り出す。
華麗なステップで銃弾をかわす。
その紙一重な回避をしながら猟師の一団と距離を縮めていく。
猟師達は一匹に狙いを定めたようだ。
猟師の数は5人。
五人は三匹の中で一番小さいのに銃を構えた。
連続で銃弾を撃ち放つ。
全方位から襲ってきた銃弾の嵐に、狼は為す術もなく吹き飛ばされた。
ピクリともしない。絶命したのだろう。
二匹の狼は倒れた仲間に悲しい鳴き声を一言言うと直ぐに走り出した。
二匹は二手に分かれて猟師達を襲うことにしたようだ。
猟師達は銃弾を飛ばすが、狼は樹海の木を盾にしながら距離をつめる。
そして、二匹の狼がついに猟師達に飛びかかった。
突然の体当たりに猟師は陣形を乱し、倒れ込んだ。
二匹の狼を率いていた少し大きな狼は、押し倒した猟師の首にナイフのように鋭い牙を突き立てた。
血が噴水のように吹き荒れた。
もう一匹の狼も同じように猟師の首を刈り取る。
猟師達は射撃したそうだが、仲間が近くにいるために中々撃てずにいた。
その僅かな隙をついて、狼は猟師4人を排除した。
若い狼が最後の猟師に飛びかかる。
血の花が空中に咲いた。
若い狼は糸の切れた人形のように、地面に落ちた。
頭に穴が開いて脳髄が丸出しになっている。
猟師は狼が飛びかかった瞬間、最後の一発を撃ち込んだらしい。
残った大きな狼はグルルルと呻き声を上げながら猟師に近づく。
猟師は銃を振り回す。しかし、玉の入っていない銃など、最早ただの棒でしかなかった。
狼は振り回されてるその棒を口で咥えて粉々に粉砕する。
猟師は絶望に染まった顔をする。
狼が飛びかかり、猟師は助けてくれと叫びながら首に穴を開けられ、絶命した。
狼は死んだ二匹の狼の亡骸に近づき、ペロペロと舌でなめた。
仲間の死を悲しんでいるのだろう。
と、次の瞬間、銃が鳴る音が響いた。
狼は顔を上げてその音の元を探る。
その音は自分の巣から鳴ったようだ。
狼は疲労した体に鞭を打って走り出した。
そしてその狼が戻ってくることはなかった。
最後の文章はいったいなんだったのか?
それは、このあとの物語でわかります
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作者のケモレベルが上がります。