お花詰みの意味だ。
夏休みの課題ががががが
梅雨と夏の間の時期なのに、その音を聞くと心から涼んでいけるような落ち着いた気持ちになれる。
一秒一秒一定の量の水を流す小川の持つ独特な雰囲気がある音色は、苔に覆われた神秘的な空気を出す緑の樹海と実にマッチしていてる
日の光を反射しながら輝く小川は「自然」と感じられる風景を作り上げていた。
そんなアサちゃんの縄張りを見て僕は改めて思う。
「相変わらず良い物件だよなぁ・・・」
僕は洞窟の真横に流れている小川を一瞥すると自然と落ち着いた気分になれた。
なんというか・・・観光スポットとしても人気出そうだなここ。
樹木に囲まれて、まるで隠されている様な場所に存在する洞窟、その洞窟は苔の生えた大岩と巨大な樹木の根っ子が絡み合って出来た大きな洞窟、涼しさ溢れる美しい小川、そしてスポットライトのように辺りを照らす日光、テレビ番組に出てたパワースポットみたいな所だ。
何となく御利益がありそう、神なんて信じてませんけどね?
そんな感想を抱きながら僕は芝生の様な地面に座り込む。
そして小川をよく見ると名も知らない小魚の群れが鱗を光らせながら川を泳いでいく。
今夜は魚パーティーである、いやパーティーって訳でもないんだけど。
最近ビーフジャーキーばっかりしか食ってなくて「たまには新鮮な肉食いてぇ」と発言したらアサちゃんが魚取りを提案してきた。
僕は別に魚は嫌いではなかったのでその提案に乗った。
それとこれは狩りの訓練の一環でもあるらしい、アサちゃんの足の怪我は順調に治ってきていると言って良いだろう、だけど設備もない足場の悪い樹海をシカとかを狩りしながら走り回るにはまだまだ危険だ。それに下手したらまた傷口が開く可能性があるかもしれない
そこでアサちゃんは遠くまで移動しなくても狩りが出来るという魚採りを伝授してくれるそうだ。
普段から狩る鹿とか猪の狩りよりは遙かに楽だろうし、動物を殺すという精神的な苦痛からも逃れられるだろう
慣れないから抵抗があるんだよなぁ・・・動物を食い殺すの、スーパーとかに売ってる豚肉とかの肉を加工する人って本当に大変そうだ・・・。
とりあえずアサちゃんに動物を殺すのが苦手だという事を伝えると「魚から慣れていきましょ」っと言ってくれた。
キャンプとかで釣った魚を捌いて食べた経験もあったから、なんとかいけそうだ。
久し振りの新鮮な飯にありつく為に、直ぐにでも魚採りを始めたかったけど、縄張りに到着するとアサちゃんはオシッ・・・
お花摘みしに行った、マーキングも兼ねてるんだってさ。
なので暫く暇だから僕はのんびりと川を眺めている。
流れる川見てると音とかで癒しがあるんだけどなぁんか暇だなぁ、ハプニングとか起きないかなぁ
あ、そういや今日はカラスがいないな、居ても居なくても変わんないから別に良いけど。
そういや昨日用事があるとか言ってたな、自由鳥にもやることってあるのか?
あ、ゴミ漁りか。
僕は体を地面に密着させて伏せの体勢になると
「お待たせ」
草の茂みから出てきたのは用を足したアサちゃんです
「アサちゃん、雨だった?おっきいのだった?どっち?」
「・・・雌にそんな事聞くんじゃないわよ・・・」
アサちゃんは苦虫を噛み潰したように顔を歪める
下ネタはあまり好きではないらしい。
「マーキングなんだらオシッコに決まってるじゃない」
正直に言うんだね、そこ。
意外な解答に僕は狼の骨格で無理矢理口を「へ」の字にする。
マーキングと下ネタは違うのかね?
「・・・何よその顔」
アサちゃんが不審そうな目でこちらを見てくる、僕は反射的にそっぽを向く。
「さぁて!魚採りのやり方教えて貰おかなアサ先生っ?」
じーっと見られた僕は空気を換気されるように話題を逸らした。
アサちゃんは「話そらしたわね・・・」と明らかに怪訝そうにしてくるが、ハァと息をついて小川へバシャバシャ入っていく。
小川の深さは約20センチだ、目を凝らせば小さな小魚が凄い早さで泳いでいく。
正直網でもないと捕れそうにない。
「アサちゃ~ん、こんなのどうやって捕るってのさ?」
僕はスピードカーの如く泳いでいった小魚を見送るとそのままアサちゃんに問う。
アサちゃんは少し口元を上へ上げて鼻で笑ってくる、いわゆる「ドヤ顔」してきた。感想としては・・・
(うぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえっ!?)
である。
そんなアサちゃんは尻尾を振りながら話しかけてくる
「あたしが何の考えなしに魚を捕ると思う?ちゃぁんと作戦は考えてあるのよ!」
アサちゃんはそのまま重戦車のようにズンズンと小川の中でも30センチほどの深い場所へと歩いていく。転ばないのかな?
「シロウっ!早くこっち来て!」
深く窪んだ場所をのぞき込むように見ると、アサちゃんは顎を上げてサインを送ってくる「こっちへこい」の合図だ。
僕は誘われるままに水の中に前足を入れる、毛皮の皮膚を通して伝わって、まるで筋肉を貫く様な感覚が僕の歩みを止めた。
そう、冷たいのだ。
クーラーボックスで飲み物を冷やす時に入れる氷水に温度は近い。
だが。季節は梅雨の終わりであろうこの時期は若干蒸し暑い。そのお陰で冷たい川水でも、最初は止まったものの、問題なく歩みを再開することができた。
いや、問題はなかったんだよ・・・問題はあったけどね?
「・・・あ?」
突然、足から川底の感覚が消えた。
僕はなぜか空中で横倒しの状態になって、そのまま重力に従って、冷たい川の中にダイブした。
バチャーン!!
激しい水しぶきがしたと思ったら石に叩きつけられた痛みがした。
「痛でぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「川底は石で滑りやすいんだから気を付けなさいよ!」
アサちゃんが音に気付き、怒濤のツッコミを送ってくる。
川底に地面を作っている数々の石は、ヌメりがあって転びやすい、それに水に流される様に力が足にかかってくるから注意はしてた。
僕は盛大にコケた。
「痛てぇ・・・うわっびしょ濡れだぁ・・・」
僕は起きあがって体を確認した。
それはもうバケツの水を被った様にビッチョビチョだった。流石に寒い
濡れた毛がワカメのように垂れ下がって水滴を落とす。
アサちゃんは呆れ顔をこっちに向けてくる。
僕は体をブルブルと振るさせて水を飛ばす
ある程度水は飛ばせたけど・・・うぅ気持ち悪りぃ
「早くこっち来てよ・・・」
アサちゃんは既に僕から視線を外し、深めの水面をじーっと見ていた、僕はスルーですね?はい。
僕は慎重に歩いてまた転ぶことなくアサちゃんの所まで追いついた。
「え?これって・・・」
「あたしだって小魚なんか穫れるとは思ってないわよ」
そこは、何の変哲もない周りより深い、30センチほどの溝のような川底だった。
ただそこを覗き込むと、水の中で中くらいのブラックバスが3匹ほど泳いでいた。
見方を変えるなら、生け簀のように見える。
「これ、罠?」
「ん~ちょっと違うわね」
「だ、だってこのサイズのブラックバスじゃ、この小川じゃ泳げないじゃんか、どうやってこの溝まで移動したのさ、この魚。」
僕はニヤニヤしているアサちゃんに問いかける
アサちゃんは水面から視線を外さずに返答してくれた
「この川の近くに沼があるのよ、そこに色んな魚が居るんだけど、大雨が降ると沼の水が溢れ出てそのせいでこの小川も増水するのよ、それで偶にだけど沼の中からブラックバスとかが流されてくるのよ、雨が止めば川の水量は元に戻るから逃げきれなかったブラックバスはこうやって川底の深い場所に自然と集まるってわけ。」
その返答で僕は狼変化の初日に大雨が降った事を思い出した。
あの時、この小川も、泥水の流れる荒れ狂う川と化していた。あの時流されたブラックバスがこうやって生け簀の様に閉じこめられてしまったってことか
なるほど、アサちゃんがクマさんの洞窟からの帰り道、「ブラックバスを捕る」ってこの事だったのか。
一通り説明をするとアサちゃんは水の中に顔を突っ込んだ。
そして何かに噛みつくと勢いよく水面から顔を出した、口には40センチほどのブラックバス咥えられていた。
鰓の部分をしっかりと噛んだアサちゃんはそのまま陸にぶん投げた。ビチャッと重量感ある音が鳴るとブラックバスは陸上でもがいていた。
3秒くらいで行われた狩りを見て、僕はだらしなく口を開けて絶句してしまった。
「・・・・」
「鰓の部分に牙を突き刺せば穫れやすいわよ、この深い場所はそこまで広くないからブラックバスも逃げにくいハズだから、やってみなさい」
アサちゃんはそうアドバイスするとトテトテと小川から出て草の上に寝っ転がってしまった。
跳ねたりして全身で抵抗しているブラックバスにアサちゃんがとどめを刺していた、首食いちぎりやがった・・・
しゃーない、僕もやるか
「・・・」
じっくりと水面を見下ろす、水中の中では優雅に魚が踊っている、まだ捕まらない、限界まで近づくまで殺気を出してはいけない
水中に入れてある足をただの棒として認知させる
気配を消す、やったことないのに自然とやり方が頭に流れてくる
目を細め、獲物をじっと見る、そしてちょっとだけ・・・僕に近づいたっ!!
「グルァアッ!!」
神速なみの早さで僕は川の中に首ごと突っ込む、ブラックバスの鱗が牙に当たった感触がした瞬間、思いっ切りかじり付く。
鱗が割れ、肉が裂ける感触、僕はブラックバスを捕らえると水面から顔を出す
口にはブラックバスが挟まれていた。
イチャツいてるカップルとか都会に居るんだろうなあ
リア充見つけた 潰しとこ
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