第四話―嵐の前の静けさ―
料理が並ぶ部屋に,カオルの啜り泣きする音だけが響いていた。
「だいぶ落ち着いたね」
カオルを抱きしめ,頭を撫でていたアキナが覗き込むようにカオルの顔を見る。
アキナのその行為によって,カオルは抱きしめられていたことに今更気づき,顔を赤くする。
「あら、可愛い反応するじゃない」
その言葉に余計に顔を赤くするカオル
「う、うるさい!」
「うふふ、男の子だもの。いつまでも泣いてじゃ格好がつかないわ」
なでなで
アキナがカオルの頭を優しくなでる。
なでなでなで
「アキナ?」
なでなでなでなで
「ちょ、アキナさん!?」
なでなでなでなでなでなでなで………
「いい加減にしろ!」
流石に嫌気がさして、カオルはアキナの手を頭からはたき落とす。
「もう、怒らないの。男の子でしょ。甲斐性を見せてみなさいよ」
「…………ふん」
カオルの少し幼げに見えた仕草に照れたようにほのかに顔を赤くしながら唇を突く出す。
そんなカオルを見て、アキナは優しい微笑みを浮かべる。
そしてもう一度、しかし先ほどよりもより優しく頭をなでる。
「本当によく頑張ったわ」
「……あき」
トントン
カオルが何かを言いたそうにし,口を開こうとした時,不意に音が部屋に響いた。
「お嬢様,食器をお下げしてよろしいでしょうか」
音に続き聞こえてきたのは,二人のものとは違う声だった。