第三話―きっかけの隠れた朝食―
先ほどの寝室とはうって変わり、豪華な装飾で
着飾られた大広間。
その中央には映画に出てくるような巨大なテーブルとその上を埋め尽くすかのように置かれている数多な料理。
そして、それに必死に食らいつくカオルの姿があった。
アキナはその食べっぷりに唖然としながらもカオルを軽く注意する。
「カオル,そんなに急いで食べなくてもご飯は逃げないからゆっくり食べなさい。体に悪いわよ」
「うっ!うーん,うーん」
カオルは何かを求めるように手足をばたつかせた。
アキナはあきれながらも近くにあったコップをつかみ、水を注ぐ
「まったく、言った側から…,はい水」
カオルは水を奪い取るようにして喉に流しこむ。
「ぷはぁぁ,死ぬかと思った。さてと次は何を食べようかな」
「ねぇ、カオル。君にはまだ話していないことがあるの。きいてくれるかしら?」
「お、こっちのもうめぇ」
カオルにアキナの声は届かず、一心不乱に目の前の料理に食いつく。
アキナはそっとカオルの料理皿を手前に引いた。
「な、まだ食ってるのに!!」
抗議の声をあげるが、アキナは表情を変えることなくカオルに視線を向けたままもう一度呟くように言った。
「話を、聞いて、くれる?」
アキナは微笑んでいたがその背後には怒気のオーラを漂わせていた。
カオルは唾を飲み込み、頭をものすごい勢いで縦に振る。