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第二話―レグトレア―



「そして,何をかくそう私はあの《レグトレア》の1人よ」



そう言い自慢気に胸をはるアキナだか,カオルは

頭上に大きな疑問符を浮かべ首を傾げていた。


「レグ…何だ,それ?」


「なっ!!」


アキナはカオルを信じられなそうな目で凝視した。

そして,また大きなため息をついた。


「まさか,この世界で《レグトレア》を知らない子がいるなんて……もう驚きをとびこえて感動するわ。…だから,私を殺そうなんてバカなことができたのね」


カオルはその言葉が気に障ったのか,むっとした表情で聞き直した。


「だから,そのレグなんたらっ何だよ」


アキナはわざとらしく頭をおさえ,ため息。

そのあと,仕方がないと

いった表情で話しはじめた。


「まったく,無知な君にもわかりやすく説明するからよく聞きなさい。《レグトレア》それはこの世界で各部門のいわゆる最強に与えられる称号よ。基準は部門によって様々だけど,私はその中の1つ,戦闘部門の《レグトレア》よ」


「って……ことは」


「そう,つまり,戦闘に関しては最強」


「なぁっ!」


カオルはすっとんきょうな声をあげた。


「じゃ,じゃあ,俺は世界最強を殺そうとしてたのか!」


アキナは答えるかわりに,いじわるそうな笑みをカオルに向けた。




アキナが戦闘において最強と言う事実がカオルの心を恐怖として襲う。


身はすくみ、足が愕然と逃走の意志を示す。


知らなかったとはいえ最強のアキナに武器を向けたのである。


それも暗殺者と言う立場で。

武器を向けたからには切り捨てられても文句は言えない。


そう覚悟は出来ていたつもりだった。


だが、現実を前に体は萎縮し、全身から汗がわきながれる。


表情も凍りついているカオル。


だが、その表情には安堵の色も見え隠れしていた。


アキナはそんなカオルを見てやれやれと言った表情である。


「カオル,君は私がレグトレアであるから暗殺に失敗したと思っているね」


「っく,」


図星だった。


アキナが戦闘のプロだから自分が失敗した


そう思って自分に言い訳をしていた。


アキナはカオルのそんな反応にため息をつく。


「君が私を狙っていることなんてわかっていたよ。」

その言葉に目を見開くカオル。


「そもそも、あんな殺気立って待たれたら私じゃなくても気づくわよ。あなたが今までそういった連中に出会った事がないだけ」


「な、なら!!何故!!」


「わかってた上で君に襲わせたの。あそこでね。でないとあなたはあの場で殺されたわよ?あなたに依頼したバカどもによって」


自分がアキナの手の上で

躍らされていたことを知らされ,改めて驚くと同時にどこかにまだ残っていた力が抜けた。


"ぐうぅぅぅ"

どこからともなく気の抜けるような音が聞こえた。

よく見るとカオルが

顔を赤くしていた。


アキナは吹き出し,微笑みを浮かべながら言った。


「あらあら,君のお腹は元気だね。そろそろ朝食にしようか」


アキナはそう言うと部屋の扉に向かう。


そして、扉の前からカオルへ振り返る。


「何やってるの。ついていらっしゃい」


「お,おう」

カオルは戸惑いながらも後に続いて部屋を出た。



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