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プロローグ
目の前の現象に少年は
言葉を失った。
夜の賑わいを見せる町。
そこから少し外れ,暗闇が支配している草原。少年はそこでターゲットの首を取るために息をひそめていた。
彼は指令を全うするために愛刀神楽をターゲットの首に全力で振り下ろした。
だが,それが相手の首に触れることはなく,空中の"何か"にぶつかり静止した。
"暗殺"
これを少年は属している組織により強制されていた。
今日も指令を受け,いつも通りやればよかった。
ただ,それだけだった。
しかし,失敗した―
―その先に待っている
ものは"死"だけ。
少年は死を覚悟した。
すぐに少年は首に強い衝撃を感じた。
少年は意識が朦朧とする中,ターゲットの声を聞いた。
「まったく…こんな女の子まで殺しをするなんて世も末だね」
あきれたように息を吐きながら笑みを浮かべ,つぶやいた。
「しかし,この子…気に入ったわ。連れて帰りましょう。」
(…俺は…女…じゃ…ね…)
そんなことを思いながら
少年は意識を失った…
このターゲットの行動が少年の運命を―
―世界を大きく変える鍵となる。