虚空で鵺は鳴く 〜鵺の鳴き声には、答えてはいけないよ〜
夏のホラー2026用の作品(第2作)です。
「鵺の鳴き声には、答えてはいけないよ」
おばあちゃんの言葉だ。
僕には小さい頃から、聞こえる鳴き声がある。
ヒィー、ヒィー、ヒィー
規則正しく、けれどひどく冷たいその声は、夜の闇を縫って聞こえてくる。まるでどこか遠い虚空の底から届く、無機質なシグナルのように。
「ああ、それは鵺の鳴き声だね」
小さい頃、おばあちゃんが教えてくれた。
布団の中は妙に熱く、世界のすべてから切り離されたように静まり返っている。
障子の向こう、部屋明かりでかろうじて見える縁側、その向こうの闇はどこまでも深く、星ひとつ見えない。僕は小さく息を潜め、次の「声」を待っている。
おばあちゃんは、色褪せた赤色のちゃんちゃんこを羽織って、僕の枕元に静かに座っていた。
部屋の中は暗いのに、おばあちゃんの背中の赤色だけが、やけにはっきりと目に焼き付く。まるで昼間に見た、あの一面を真っ赤に染めた夕日の光が、おばあちゃんの背中にだけ、まだ残っているみたいだった。
チ
チ
チ
柱時計が、静かに秒を刻んでいる。
鵺の声は、決まってその音が止んだ、いちばん静かになるところで聞こえてきた。
チ
ヒィー
チ
ヒィー
チ
「おばあちゃん、鵺って、どんな形をしてるの?」
僕が布団を頭までかぶって聞くと、おばあちゃんは縁側の鬼灯の鉢のほうをじっと見つめた。
暗闇の中にぽつんと浮かぶ鬼灯の実は、まるで小さく丸い、不吉な電球のように見えた。
「姿なんて、誰も見たことはないんだよ」
ヒィー
また声がした。すぐ近くで鳴いているのに、おばあちゃんはぴくりとも動かない。
「おばあちゃん、今もあそこで鳴いてるよ。怖くないの?」
僕が着物の袖を引くと、おばあちゃんは「ん?」と耳の後ろに手を当てて、困ったように細い目をさらに細くした。
「ああ、その鵺の声かい。おばあちゃんはもう耳が遠くなってねえ、そんな高い鳥の声はちっとも聞こえんよ。お前にはよく聞こえるのかい?」
「うん。耳の奥で、すごく大きく響いてる」
「そうかい、そうかい……。だけどね、あの声は、悪いことが起きる前のお触れなんだ。だから、絶対に返事をしてはいけないよ。返事をしたら、あの真っ赤な鬼灯の中に、心が閉じ込められてしまうからね」
暗闇を背景にぽつんと浮かぶ鬼灯の実は、何本もの細い葉脈に縛られた、血走った目玉のようにも見えて、僕は思わず目をそらして、逃げるように布団の中に潜り込んだ。
――それから、十数年が経った。
僕は故郷を離れ、都市の大学に通うようになっていた。
あの「ヒィー、ヒィー」という冷たい声は、成長するにつれて聞こえる頻度こそ減ったものの、完全に消え去ったわけではなかった。
あの声の正体が普通の鳥ではないと嫌でも気づかされたのは、小学生の頃、夕暮れの放課後に友人と校門を出たときの記憶だ。
すぐ近くの踏切が遮断機を下ろし、カン、カン、カン、カン、とせわしない音が夕闇に響いていた。交互に点滅する鋭い赤色のランプが、僕たちの顔を交互に刺す。
(右)カン――ヒィー
(左)カン
(右)カン――ヒィー
(左)カン
踏切の警報音が二回に一回、右側のランプが赤く爆ぜる瞬間にだけ、完全に重なって、あの声が耳の奥を突く。
そのとき、明滅するランプの硝子の向こう、燃えるような夕焼けの逆光の中に、そいつはいた。
線路脇の電柱の影に、まるで大きなマスコット人形か何かのように、不自然に丸っこくて巨大な鳥のシルエットが、じっと佇んでいる。
逆光のせいで、その異様なまでに丸い輪郭しか見えない。けれど、踏切の右側のライトが赤く爆ぜるその一瞬だけ、その巨大な影のちょうど真ん中に巨大な嘴が見え、そして、その上にたった一つの、大きな赤い目玉が鋭く発光していた。
「聞こえた……よね、今の鳥」
震える声をなんとか絞り出して話しかけたが、友人は
「え? 何のこと、踏切の音はうるさかったけど」
と不思議そうに僕の顔を一瞥しただけだった。
――あそこに、あの丸くておっきい化け物がいるのに。
友人のきょとんとした横顔を見た瞬間、冷や水を浴びせられたような戦慄が背筋を走った。
言いかけた言葉を、僕は喉の奥へ必死に呑み込んだ。これを口にしたら、自分は取り返しのつかない「おかしな奴」になってしまう。そんな強い自己防衛の気持ちが、僕の口を硬く閉ざさせた。
あの時、あの奇妙に丸い一つ目の鳥は世界のどこにも存在せず、僕だけの網膜と耳の奥にだけいるのだと、僕は恐怖とともに知った。
深夜のレポート作成中、あるいは雨の日の帰路。ふとした静寂の隙間に、それは今でもあの右側の赤が灯るテンポを正確に守って、耳の奥で鳴る。
ある日、鵺について調べることを決心した。
大学の図書館の片隅で、見つけ出した日本の妖怪伝承の本の記述に、強烈な違和感を覚えることになる。
薄暗い閲覧室の奥、壁の隅でぽつんと点灯している非常口誘導灯のあやしい緑の影で、その消火器の赤色だけが、不自然なほど冷たく浮き上がって見えていた。
カサリ、と古い本のページをめくる音が、無人の閲覧室にやけに大きく響いた。
本を開いた僕の目に飛び込んできた「鵺」の姿は、僕が知っているあの一つ目の鳥とは、似ても似つかないものだった。
開いたページの真ん中には、悍ましい挿絵が踊っている。
頭は猿、胴体は狸、手足は虎、尾は蛇――それは、これでもかとばかりに異形のパーツを繋ぎ合わせた、おどろおどろしいキメラの姿だった。
「これが、鵺……? 鳥じゃない」
喉の奥から漏れた呟きは、吸音材のような静寂に一瞬で吸い込まれた。
目の前にある化け物の絵と、僕の網膜の奥に焼き付いているあのシルエットが、どうしても結びつかない。
違う妖怪なのか。だが、あの日、おばあちゃんは確かに、あれは鵺の鳴き声だと言った。
いや、待てよ。おばあちゃんはあの姿を見たわけではない。それどころか、僕にしか聞こえていなかった高い声を、おばあちゃん自身は「耳が遠くて聞こえない」と言っていたはずだ。おばあちゃんはただ、僕が真似した言葉の響きだけで、古くから伝わる怪物の名を当てはめたに過ぎないのではないか。
僕はさらにページをめくる。指先に触れる古い紙は、ひどく冷たい。
解説の文字を追う僕の目が、ある一行でピタリと止まった。
――その声は、ヒィー、ヒィーと、一定のリズムで夜鳥のように高く不気味に響く。
心臓が、ドク、と嫌な脈動を打った。
声は一致している。間違いなく僕の耳の奥で鳴り続けているそれだ。やはり、これは鵺だ。
「……じゃあ、なんでなんだ」
なぜ、あんなマスコット人形のように丸っこくて、大きな一つ目の鳥が、こんな継ぎはぎだらけの怪獣に化けてしまうんだ。
僕はブレザーのポケットから、四折りにしたルーズリーフを取り出した。
机の上に慎重に広げ、本の挿絵の真横に並べてみる。
そこには、僕が脳に焼き付いた記憶を頼りに、何回も書き直して線を引いた、あの一つ目の鳥のスケッチがあった。あの僕を凝視していた鮮烈な赤い一つ目が忘れられず、大きな目玉が赤のボールペンで塗り潰されている。
カチ、
――コチ。
図書館の壁時計が、一秒を刻む。
非常口の緑の影の中で、消火器の赤と、僕のスケッチの真ん中にある赤い丸が、まるで共鳴するように不気味に浮き上がって見えた。
時計の音に耳を澄ませながら、僕はもう一度、古文書の黄ばんだ文字に視線を落とした。
おばあちゃんが言っていた「鵺」という名前。
調べてみれば、その起源は古事記や万葉集の時代までさかのぼる。最初は、ただの『トラツグミ』という夜鳥を指す言葉に過ぎなかった。夜中に「ヒィー、ヒィー」と物悲しく鳴く、実在の鳥だ。昔の人はその正体なき声を不気味がり、凶事の前触れとして恐れた。つまり、原初にあったのは姿ではなく、ただ「声」だけだったのだ。
それが平安時代の『平家物語』に至り、源頼政が退治したという異形の怪物の名前にすり替えられた。
だが、記述を精読していくうちに、僕は奇妙な違和感に行き当たる。
頼政たちも、最初からその姿を見ていたわけではないのだ。夜な夜な御所を覆う「不気味な黒煙」と、その奥から響く「ヒィー」という恐ろしい声。実態が見えないからこそ、彼らは声のする方向へとただ勘で矢を放ち、闇の向こうから何かを撃ち落とした。
そして、落ちてきた『それ』の姿は、当初の古い記述には明確に記載されていない。
後世の人間は、怪異が現れた方角――北東の寅(虎)、南東の巳(蛇)、南西の申(猿)、北西の乾(犬とイノシシ)といった、空間の不吉さを表す干支の獣のイメージを都合よくパッチワークのようにはめ込み、後付けで「頭は猿、胴体は狸、手足は虎、尾は蛇」というおぞましいキメラを想像したに過ぎないのだ。
鳥の鳴き声がする、正体不明の化物。それに当時の人間が、かつて不吉な声で鳴くと言われていた鳥の名前――『鵺』という変数を割り当てた。それが伝承の正体だ。
つまり、昔の人間も最初から正体を見てなんていなかった。
「……じゃあ、これは何なんだ」
僕は手元のスケッチを見た。逆光の中の、あのマスコット人形のように丸っこくて巨大なシルエット。不気味に発光する巨大な1つ目。
生物の鳴き声が、踏切の警報音と1秒の狂いもなく完全同期するわけがない。
答えを求めるように、僕は古文書のさらに奥、後世の編纂者が付け足したとおぼしき、出所不明の奇妙な断章をめくった。
そこに書かれていた一節を目にした瞬間、僕の思考回路は完全に凍りついた。
『その鳴く声の、あたかもからくりの器械の調子を合わせたるが如く、寸分の違いもなく夜を刻むなり。これを怪異と言わずして何とせん』
からくりの、器械。
数百年前の人間が残したその一節を見つめたまま、僕の思考は奇妙な空白に囚われていた。
「からくりのようだ」、か。
昔の人間も、この音の「不自然さ」に気づいていたんだ。
生物の鳴き声には、必ず揺らぎがある。息を吸う間があり、感情による抑揚があり、周囲の環境に影響される。だが、僕の耳の奥で鳴るあの「ヒィー」には、それが一切ない。
小学生のとき、あの踏切の警報音と二回に一回、寸分の狂いもなく重なった(右側のランプが赤く爆ぜる瞬間にだけ完全に同期した)あの規則性。
あれは、鳥が踏切に合わせて鳴いていたんじゃない。逆だ。
音そのものが、最初から「1秒」という正確なパルスとして出力されていたんだ。
だとしたら、あの丸っこくて巨大なシルエットは?
真ん中で血走ったようにひび割れて明滅する、あの赤は?
……そもそも、あんな不自然に大きな一つの眼球が、生物としてまともに焦点を結べるはずがないのだ。光を宿す硝子体はどこにある? 視神経を司る脳の質量はどこに収まる?
「――そうか。レンズ、だ」
胸の奥が冷たく震えた。
あれは生物の肉体なんかじゃない。もしも、あの巨大な丸い目が、ガラスに覆われた光学レンズのような構造物だったとしたら。
壊れかけたレンズの奥から、不気味な血走りのように漏れ出す、格子状の赤い光。
それは僕を睨みつける怪物の眼光などではなく、何らかの致命的な異常を知らせ続ける、剥き出しのインジケーター(警告灯)そのものだったのではないか。
「……っ」
そこまで考えた瞬間、急激な耳鳴りが脳を刺した。
カチ、コチ、と刻んでいた図書館の壁時計の音が、突然ピタリと止まる。空調の音も聞こえない。
音が消えたのではない。まるで世界全体の「時間」の処理が一時停止したかのような、完全な真空の静寂。
そのノイズのない空間に、あの踏切のテンポと全く同じ、非情に正確なパルスが響き始めた。
――ヒィー
耳の奥じゃない。今度は、この静まり返った閲覧室の「天井のスピーカー」から聞こえている。
――ヒィー
心臓が跳ね上がる。逃げ出そうと椅子を引こうとしたが、身体が金縛りにあったように動かない。
それと同時に、視界の隅で明らかな「システムエラー」が起きた。
壁の隅で点灯していた非常口誘導灯の緑が、ふっとかき消える。
部屋全体の照明が落ち、完全な暗闇が訪れた――はずだった。
だが、違った。
壁の消火器の赤が。
僕のルーズリーフの、赤ペンで塗り潰した目玉の赤が。
まるで1秒周期で致命的な警告を告げるエラーランプのように、暗闇の中で激しく、交互に明滅を始めたのだ。
(赤)チカッ――ヒィー
(闇)
(赤)チカッ――ヒィー
視界が赤と黒に激しく明滅し、脳の処理能力が限界を迎える。
スピーカーから響く「ヒィー」という不気味な高音の裏側に、ザザ……という激しい通信ノイズが混ざり、徐々に「別の音」がオーバーラップして聞こえてくる。
『――Warning――』
『――Master Alert――』
それは、酷く無機質な、電子合成の音声だった。
「……あ、あ、あああぁ!!」
頭を抱えて、僕は木の机に突っ伏した。
激しい過呼吸のせいで、意識が急速に遠のいていく。遠ざかる意識の底で、僕の冷え切った脳が、あまりに突飛で、けれど確信に満ちた「答え」を弾き出していた。
――これは、逆だったんだ。
僕は今、大学の図書館にいるんじゃない。
幼児期の庭にいたわけでも、あの夕暮れの踏切に立っていたわけでもない。
僕は、あの虚空(宇宙)で、死にかけている。
大破した機体、消えゆく酸素。その極限状態の脳が死の直前に見せていた、刹那の、けれどあまりにリアルな「人生の夢(走馬灯)」こそが、僕の過ごしてきたあの現代の日常のすべてだったのだ。
だから、死にゆくコックピットのスピーカーが吐き出す不気味な警告音(ヒィー、ヒィー)が、夢の日常へずっとノイズとして侵食していた。
だから、システムの致命的なエラーを告げる赤いインジケーターの明滅が、おばあちゃんのちゃんちゃんこの赤に、鬼灯の赤に、そしてあの踏切の右側のランプの赤に、姿を変えて僕の網膜に焼き付いていたのだ。
(赤)チカッ――ヒィー
(闇)
(赤)チカッ――ヒィー
すべてが反転していく。
図書館の木の机の冷たさが、凍てつくような金属の質感へと完全に書き換わっていく。
僕の意識は、偽りの現代から、冷徹な「現実」へと強制的に回帰されていった。
ハッと目を開けたとき、僕の視界を覆っていたのは、図書館の薄暗い天井ではなかった。
真っ赤に明滅する船内アラートで染められたコックピット。激しくひび割れた、強固なキャノピー。
その向こうに広がっていたのは、星々が不気味にまたたく、音のない「虚空」だった。
「……ぁ、は、あ」
肺が凍りつくような感覚。酸素残量の低下を告げる。
図書館の木の机だと思ったものは、被弾して半ば融解した、宇宙船のコンソールパネルだった。
壁の消火器の赤も、ルーズリーフの赤も、すべてはこの大破したブリッジの中で、1秒周期で致命的なマスターアラートを吐き出し続けている、剥き出しのインジケーターの「赤」だったのだ。
(赤)チカッ――ヒィー
(闇)
(赤)チカッ――ヒィー
死にゆく機体のスピーカーが、非情な電子合成音のログを出力し、僕に「最後の選択」を求めている。
『――酸素供給、限界値超過。生命維持システムを完全にシャットダウンしますか?――』
『――復旧、あるいは凍結。システム・レスポンスを入力してください。――』
薄れゆく意識、赤と黒の激しい明滅。
混濁した脳は、それが宇宙船のシステムからの問いかけだと認識できなかった。ただ、あの図書館の静寂のなかで、ずっと耳の奥で鳴り響いていた「ヒィー」という不気味な問いかけに、今すぐ応えなければならないという強迫観念だけが、僕の指を動かした。
僕は、コンソールの、あるキーを強く叩いて(答えて)しまった。
直後、ブリッジの全インジケーターが、まるで断末魔の悲鳴を上げるように激しく一斉点滅する。
――今、僕は何を答えてしまった!?
その瞬間、自動復旧した船外ドローンから、この宇宙船の全景映像がフロントモニターへと滑り込んできた。
大破し、引き千切れた配線をのたうたせ、巨大な一つの光学レンズを赤く血走らせて虚空に浮かぶ、その鋼鉄の機体。
「あれは……? 鵺……?」
モニターに映るその姿は、僕がルーズリーフに描き、あの日踏切の逆光の中で見上げていた、あの一つ目の怪物のグラフィックそのものだった。
「あの夢は、幻想。走馬灯?」
すべては死にゆく僕の脳が見せた、一瞬の夢だったのか。
地球という青い星に生まれ、おばあちゃんに愛され、大学に通う――そんなありふれた、けれど温かい日常を、僕の生存本能が都合よく在りし日の光景として脳内にレンダリングしていただけなのだろうか。
「いや、たしかにあの出来事は、あったはず」
あのウールのちゃんちゃんこの質感も、泥の匂いも、すべては本物だったはずだ。
あれがただの幻想なら、なぜ僕は、数百年も前の地球の人間が書き残した『からくりの器械』という言葉を、この冷酷な宇宙の片隅で、あんなにも生々しく覚えているんだ?
僕が幼児期にあの踏切の逆光の中で見た「血走った一つ目の鳥」は、これからこの宇宙船が辿る悲劇を、過去に向かって非情に告げ知らせにきた「予言の凶鳥」そのものだったのではないか。
どれが真実で、どれが幻影なのか。
ただ一つ言えることは、僕が今、ここでシステムに「間違った答え」を出力したからこそ、この機体はあの過去の時空へと、あの不気味なエラーパルス(鵺の声)を、僕の幼少期に向かって永遠に射出し始めたのだろう。
事故が起きたから、あの体験があった。
あの体験があったから、僕は今、ここで間違えた。
意識を失う刹那、遠い夢の向こうから、おばあちゃんの声が聞こえた気がした。
『――鵺の鳴き声に、答えてはいけないよ』
完全な真空の闇が、僕の視界をシャットダウンした。
(『虚空で鵺は鳴く』 本編・完)
後日、エッセイ集『いくずくよもやま話』内の「事象の多重性と因果」という回にて、本作の背景にある話題を取り上げる予定です。
ご興味のある方は、ぜひ覗いてみてください




