表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

時計のない町

作者: a_fay

私は時間が止まっている町に迷い込んでしまった。誰も歳を取らない、誰も外を知らない、そんな町だった。



私は町に入った瞬間、何かが違う感じがした。時間が止まっているように......


不安になってスマホを確認してみたら、時間が止まっていた。私は恐怖でつい声を出してしまった。

「えっ......時計が、止まっている?」

少しの間、固まった状態から動かせなかった。


スマホが急におかしくなっただけかもしれないと町中の時計を探してみた。


「そんな......時計が...一つも...ない」


私は驚きを隠せなかった。


私は、探しきれていない可能性もあるので勇気を振り絞り、時計があるかどうか住民に聞いてみた。


「時計?そんなものはこの町にはないよ」

言葉があまりにも棒読みだった。まるでロボットのような......

そして何よりも不気味なのが、私をずっと見ていて、表情一つ変えなかった。瞬きすらも。


この町に長居するのは危険だと直感して駆け出した。振り返るとさっきの住民が私をじっと見ていた。


この町から出たと思った瞬間、足音が消えた。


気づいたときには、さっきの住民の目の前に戻っていた。

なぜか少し体が重い。


私はこの町から一生出られないという不安に、ただ駆られて泣き出しそうになった。



少し落ち着いた頃、さっきの住民に今起きたことを聞いてみた。

「何のことだ?」と呆れている。

棒読みなのはさっきと変わらないが、少し声にノイズが入っている気がする。


私は別の場所からなら出れるかもと思って駆け出してみた。


案の定、さっきの住民の前に戻ってしまった。

「うっそ」別人のような声が私の口から出た。自分が老化したときの声みたいな......

町の雰囲気も変わっていた。建物に、さっきまでなかったヒビが走っている。住民のみんなはヒビが入ったのには気付いていないみたい。


私はさっきの声が気になり、今度は私が何歳に見えるか聞いてみた。



「大体七十歳くらいかな」

さっきより声が低くなりノイズも大きくなっている。

私は二十二歳なのに......


私は無意識に住人の瞳に映る私を見ていた。

「本当に、七十歳くらいだ」衝撃的な事実を訴えられ数分間動けずにいた。


どうすればと思いながら周りを見たら、建物にはさらなるヒビが入っていて、住人の顔全員が、私の顔になっていた。――正確には、私だった顔。


私はこの町からもう出ようとしては、だめだとわかっていた。けれど、恐怖に負けて駆け出してしまった。





次に気づいたとき、私は町の入り口に立っていた。

初めてこの町に来たときと、まったく同じ場所だ。

遠くで、若い女性がスマホを見て立ち尽くしている。

私は無表情のまま、彼女に声をかけた。

「時計? そんなものはこの町にはないよ」

私は瞬きをしていなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ