第25章 さらなる闇
篠田は仁誠会本部の奥深くに匿われていた。
先日の襲撃で顔色は悪く、包帯が痛々しい。
だがその目だけは強い決意を帯びていた。
蓮、鷹村、そして神宮寺組長が居並ぶ前で、篠田は封のされた黒いファイルを机に置いた。
「これは……国の根幹に関わる極秘資料です」
神宮寺が眉をひそめる。
「……どういうことだ」
篠田は重い口を開いた。
「議員や官僚の汚職など、まだ序の口にすぎません。――この国はすでに、外資と結びついた一部の財閥に事実上“売られている”のです」
蓮は息を呑んだ。
「売られている……?!」
篠田は震える手でページをめくる。
そこには海外企業との裏契約の記録、国内資源の不正流出、さらには防衛産業との違法な武器取引の証拠が並んでいた。
「政府は自国の利益を守るどころか、海外資本に国民を差し出し、その見返りに権力と金を握っている……」
場の空気が張り詰めた。
鷹村が机を拳で叩く。
「……てめぇら、国を食い物にしてやがったのか!」
神宮寺は静かに目を閉じた。
「つまり、我々が倒そうとしているのは――単なる腐敗政治ではなく、この国を売り渡す売国政権、ということか」
篠田は深くうなずく。
「その通りです。だからこそ、あなた方に託したのです。……どうか、この国を守ってください」
蓮は拳を握り、震える声で言った。
「もう迷いません。……俺たちがやってるのは、ただの抗争なんかじゃない。この国を取り戻す戦いなんだ」
その言葉に、部屋の空気が変わった。
幹部たちも次々にうなずき、神宮寺の瞳に烈火のような決意が宿る。
「……よかろう。仁誠会はこの瞬間から――“国を救う義の軍”として動く」
だがその裏で、篠田は小声で蓮に囁いた。
「……気をつけてください。影の部隊は……ただの暗殺集団ではありません」
蓮は怪訝そうに目を細める。
「どういうことですか?」
篠田は苦しげに言葉を続ける。
「奴らは……政府に逆らった者たちを“実験体”にして作られた……強化兵なのです」
蓮の胸に冷たい衝撃が走った。
影の部隊――その正体は、人間を超える力を得た“改造された存在”。
ただの暗殺者ではない、政府の狂気そのものだった。
「強化兵……」
蓮は血の気が引きながらも、拳を固める。
(なら俺は……人間として、その狂気に立ち向かってやる)
仁誠会の闘いは、新たな次元へ突入しようとしていた。




