風の恋人
よく晴れた青空の下
佇んでいると
ひゅるりらり
擽るように優しく
風が私の頬を撫でる
頬を撫でながら
ちゅっとキスする
風を捕まえようとして
私は両腕を広げて風を追いかける
けれども
風は掴み所がなくて
抱きしめようとしても
ひゅるりらり
風は私の胸をするりと抜けていく
まてまて風様
私の王子様
私は子供のようにはしゃぎながら
両腕を広げて風を追いかける
するりするり
ひゅるりひゅるりら
捕まえようとしても
風は私に捕まってくれない
すると
後ろからふわりと抱きしめられた
風だ
抱きしめさせてくれないのに
風は私のことを後ろから抱きしめた
いじわるで悪い人
私は頬を膨らませてそう言い
けれどもほどなくしてぷはっと吹き出し
風とふたりで笑い合う
ぴたり……と
笑い声が止む
風は私の頬を撫で
瞳を見つめながら
私の唇にキス……した