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第21話 がむしゃらに走った
どこをどう移動したのかわからないくらいに、がむしゃらに走った。
村人たちが一人ずつ消えていくのを見ながら、逃げる事しかできない自分をみじめに思った。
近所の人が、いつも挨拶してくれるおばさんが、いきつけのパン屋のお姉さんが。
罪人の炎に焼かれていく。
「えーんえーん、お母さーん」
ネイが助けた女の子の母親だって。
それを見たネイがこらえきれずに、戻ろうとする。
自分たちより遥か後方。
助けに行っても間に合わない。
「いっちゃ駄目だ!」
「でも、あの子が!」