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魔導の果てを見よ  作者: Tom & Wood
第1章 巨人現る
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第1話

初投稿です。

西暦2040年、世界は3度目の大戦を経験した。

きっかけは小国同士の些細(ささい)な小競り合いからだった。

そこに大国の意思が介入し、西側と東側の代理戦争へと変貌、瞬く間に戦火は世界に拡大し、核戦力も使用された。


だが、世界は滅びを迎えなかった。


同時期に出現した『魔女』と名乗る超常たる力を持った者たちによって、核戦力は(ことごと)く無力化されたからだ。

また、『魔女』に準ずる力を持った者、のちに『魔導使い』と称される少女たちの出現も始まった。

各国の思い描いた最良、あるいは最悪の結末は『魔女』が容易く書き換えてしまい、大戦は1年を待たずに終結した。


しかし、終戦をすべての者が歓迎しているわけではなかった。


今まで金・権力・武力にものを言わせてきた支配層にとって、制御できない『魔女』の力は自分たちの地位を(おびやか)かす恐怖そのものであり、『魔導使い』も同様の存在とみなされた。

魔女と魔導使いは人類の規範(ルール)に落とし込まねばならない。

彼らは国際連盟の条文にこう加筆することで、世界の主導権を再び取り戻そうとした。


『魔女及び魔導使いは国家間の武力衝突が発生した際、自身が保有する能力を行使してはならない』



西暦2051年 3月28日 19時15分 東京都中央区

埠頭(ふとう)からライダースジャケットを羽織った少女が行き交う船々をぼぅと見つめていた。

髪はショートのダークブラウン、首元には無骨なチョーカー、ジーパンを穿きこなす長身だが、幼さの残る顔立ちと泣きぼくろは不思議と色気を感じさせる。


『勝土騎 京子』(かちどき きょうこ)


今年、帝都女学園への入学が決まっている15歳だ。

これまで特殊な環境下で育ってきた彼女にとって、初めての学園生活である。

故にざわつく心を落ち着かせる為、新車の大型バイクを操りここに至るのだが、不吉なスマートウォッチの振動で静寂(せいじゃく)は終わりを告げることになる。


余談だが、道路交通法の改正によって二輪免許は、普通は14歳、大型は15歳で取得可能となっている。


ため息を飲み込んでタップすると、体内のナノマシンを介して聞きなれた事務的な声が脳内に響いた。 

京子の専属オペレーター『立花 綾子』(たちばな あやこ)である。


勝土騎(かちどき)少尉、出動要請が出ました。 

直ちに迎撃にあたってください」


拒否という選択肢は最初から存在していない。 

なぜなら京子は少女であり、軍人でもあるからだ。 

よって命令が下されれば速やかに実行する義務がある。


「了解です。 

迎えは寄越(よこ)してくれますよね?」


プライベートを侵害された不快感で返答がぶっきらぼうになるが、相手は涼しい声で受け流す。


「勿論です。 

韋駄天(いだてん)”をそちらに向かわせました。 

まもなく到着します」


背後から二輪車特有の排気音が自らの存在を主張するように鳴り響き、振り向くと漆黒の無人バイクがこちらに近づいてきた。 

無機質な電子音声が車体から発せられる。


「魔導使い殿、お待たせしました。 

夜のドライブツアーはいかがでしょうか?」


京子は軽口を無視して、バイクに問いかけた。


「今のユーモアレベルはいくつ?」


彼はライトを点滅させながら、10段階でレベル7と答えた。

兵士の緊張をほぐすという目的でAIに追加されたユーモアシステムだが、高レベルだとおふざけが過ぎるという評価が軍内では挙がっている。

彼女もユーモアを求めてないのでレベル3に下げろと無慈悲に命令した。


「・・・了解、ユーモアレベルを3に変更。 

少尉殿、ヘルメットの着用をお願いします」


サイドボックスが開かれると、ハーフキャップとは思えない堅牢なメットが収納されており、京子は迷わず装着する。

外装がスライドし、フルフェイス状の形態に変化した。


「ブリーフィングは道中で行いますので出発してください」


立花に(うなが)され、韋駄天にまたがると、後輪が煙を吹くほど急回転する。

そして瞬く間に車体は夜の闇へと消えていった。


京子イメージ

挿絵(By みてみん)


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