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眠くなる短編集  作者: 生丸八光
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無駄な時間

時間を敵にまわした男の末路。

 時間って奴は、ムカつく!


 奴は、冷酷だ!意地が悪いし、イライラさせやがる!人を何だと思ってんだ!チキショー・・俺は、ほんの一時(ひととき)、のんびりしたかっただけだぞ!


 10時間働き詰めで、やっと(もら)った休憩なのに・・・コンビニでコーヒー買って煙草を一服したかっただけなのに、一瞬で台無しにしてくれたな!


 一定の間隔で時間を刻んでいる振りしやがって・・・人を見て進み方を変えてるのを知ってんだぞ!お前は、正確じゃなく、ネジ曲がった最悪の性格だってな!辛い時は長く、楽しい時間は速く進めてるだろ!バレてんだよぉーっ!


 俺は、ほんの一瞬よそ見しただけだ!何で車に引かれてんだよぉー!

 お前が調整したんだろ!分かってるぞ!おまけにブッ飛んでる時はスローにしやがって!俺が車に引かれてるのを見て面白いか!ふざけんな!

 あぁ~チッキショ~・・腹から血が溢れてる・・お前がやったんだぞぉ~!コノヤロー・・止めろ!


『時間を止めて、この血を止めやがれぇーっ!』


 俺は奴に聞こえる様に、おもいっきり叫んでやった・・・傷口から、血がドクドク脈を打って溢れ出るのを両手で抑え、痛みに耐えて意識を保ち、救急車が早く来てくれないかと周りを見渡して気づいた・・


 時間が止まってる事に!


『あのヤロ~ッ!俺以外の時間を止めやがった!』


 周りの動きが止まってる・・遠くに救急車が見えるけど止まってた・・・俺の血はドクドク止まらない・・・意識が薄れ行く中で、何故か突然、時間が巻き戻って行くのを感じた。一番古い記憶を超えて(さかのぼ)り、産まれた時まで戻ると眩しい光に満たされ、今度は俺の人生が早送りされて行く!


『あぁ、これが走馬灯って奴か・・』


と思った瞬間、走馬灯が終わり真っ暗に・・


『俺の人生、早っ!って言うか、スッカスカじゃん・・』


 薄れ行く意識の中でそう思い、意識を失う間際に誰かの話し声が聞こえた・・


「ねっ!この男に時間を与えたのは、無駄だったでしょ!」


「そうだな、もっと早く消すべきだった・・」


 男の時間が終わった・・・



(終わり)



 








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