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眠くなる短編集  作者: 生丸八光


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王様とカラス

鳥好きの王の話。

 鳥の楽園と呼ばれる王国には、色とりどりの鳥が飛び交っていた。

 王妃は鳥と(たわむ)れるのが大好きで、城の中には(いく)つもの鳥籠が置いてあり、毎日楽しそうに世話をする。王は、そんな王妃に溜め息を漏らし、空を見上げるとカラスが「カァー!」と一声鳴いて飛んで行った・・


 ある陽気な昼下がり、王が庭を散歩していると翼にケガをして飛べない(はと)を見つけた。王は鳩を捕まえ、王妃に内緒で焼き鳥にして食べてしまう。家来達は、鳩が豆鉄砲を食った顔をした・・


 次の日、猫が雀を(くわ)えているのを見掛けると奪って唐揚げにして食べた。猫は雀の涙を流す・・


 王が鳥を食べている事を知った王妃が怒って注意すると


「ワシは鳥肉が大好きなんじゃー!」


 王の一声が鳴り響いた!


 更に王は、王妃が大事にしているオウムを食べ、王妃が烈火の如く怒るとオウム返しにしてやり

「鳴かぬなら、食ってしまうぞホトトギス!」

そう言って、鳥籠の鳥を片っ端から食べまくる!怒った王妃は、身の回りを綺麗に掃除して出て行ってしまった・・そんな様子を見ていたカラスは「カァー」と鳴いて飛んで行く・・


 王妃がいなくなった王は鳥を食べ放題、焼き鳥に唐揚げ、照り焼きチキンにチキン南蛮、サムゲタンにカオマンガイと家来達に鳥を捕まえさせて毎日食べまくり、ご機嫌な日々を過ごした。


 ある日、カラスが罠に掛かると

「王様!今日は、このカラスでフライドチキンを作りますので!」


カラスは王を見て一声

「カァー!」

と鳴いた。


「そのカラスは、放してやりなさい」

「なぜです?カラスは、お嫌いですか?」

「いや、カラスは大好きじゃよ!」


 家来の不思議な様子に王は


「カラスは、いつもワシに挨拶してくれるんじゃよ!だから食わん!」


 この国の言葉で「カァー」は「こんにちは」だった・・


 『挨拶って大事だなぁ・・』

と家来は思うのだった・・

『ってか、ただ鳴いてただけだじゃねぇ・・』



(おわり)





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