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第七話「魔道具」

「優君。」雲月隊正が僕に言った。

「なんですか?」

「まずは、敵の中枢を見つけるまでは表面的な侵攻を行わないで。」

「もう、僕達は見つかっているんですから今更…」その瞬間、後ろから矢が飛んできた。

「おちおち偵察も出来ないってことみたいね。ここは、私が片付けておくから。」シューという音と共に、敵は抗う暇もなく溶けて言った。

「え、これって…。」

「私達はなめられているかもね。屍繰りなんて初歩的な魔術をこうも堂々と使うなんて。」

「油断は、できませんけどね。」


それから三時間ほど経過したが、さっきの屍以来何も出てこない。

「もしかしたら、もう逃げられたのかも。」

「優君、早計すぎるって。ほら。」僕と雲月隊正の目の前には、多重結界が張ってあるコンテナがあっった。

「これ、重要なものなんでしょうか。重要なものなら、こんな簡単に見つかるわけ無いですよね…」

「まあ、結界を破壊してみようか。私こっちからやるから、優君そっちから頼んだ。」

「「妖巫並魔巫封術式多重結界放気散神通…」」この術、簡単なわりに呪詛が無駄に長い。急いでいるときにこれはどうかと思っていたら、結界は解かれなかった。

「確かに、ちゃんとやりましたよね。なんで結界解かれないんですか?」

「さあ。とりあえず、もう一回やってみようか。」

「「妖巫並魔巫封術式多重結界放気散神通…」」結果は前と同じだ。ん、これまさか…

「雲月さん。これは、多重結界じゃなくて魔道具なんじゃないですか?」

「そんな、魔道具なんてあるの?」

「黒法師家の宝物庫にあったんですけど、人力を介さなくても自動的に魔道具が魔力を行使するというものがあるんです。当然、普通の多重結界とは違うので、普通の多重結界破壊は通用しません。これを破壊するには、その魔道具の属性術式の解除術をかければいいはずです。」

「で、これ何属性なわけ?」

「恐らく、一般元素系ではなく、特殊元素系だと思うんですけど…」

「妖巫か魔巫のどちらかってこと?」

「多分そうですね。」

「「妖巫妖術解除」」何も起こらないってことは、魔巫?

「「魔巫魔術解除」」何も起こらない。まさか、

「逃げましょう。」

「え?」とりあえず逃げた。

「なんで、あの場を離れたの?」

「あれは、囮です。恐らく、あの場所に敵を縛り付けておくことを目的とした魔道具で、最初から何の効果もないんですよ。それで、外部からの刺激を受けると敵に情報を送ったり、それ自身が魔力爆発を起こすという仕掛けですよ。」

「あなた、実戦始めてなのによくそんなこと気付いたわね。」

「黒法師家にそういう胡散臭い魔道具がたくさんあるんです。」

「でも、これでまた振り出しに戻ったわね。」

「他の人達は、何か探し出せたんでしょうか。」気が付けば、もう日没まで時間が無い。暗くなってからでは、絶対に敵を発見することは不可能だろう。最も、敵が自ら現れるのならば別だが。そういえば、昨日の武器庫、あそこにはまだ行っていない。僕が破壊したはずだが、あそこは恐らく隠れたり物を隠すのにはうってつけだあろう。

「僕、昨日武器庫を破壊したんですけど、その武器庫に行ってみますか。」

「行くんなら、まず全員を集める必要があるわね。私達二人だけでは、危険すぎる。ほぼ自殺行為に等しいわ。」

「他の人達を呼んできますか。」

「どうやらその必要はないみたいだけど。」ちょうどいいタイミングで他の人達が合流して来た。仙静旅帥が、

「今日はもう引き上げるか?」と言った。

「昨日の武器庫に最後に寄ってみます。」

「そこは入口付近だけ調べたんだが、興味深いものが見つかった。もともと、地下鉄の駅や魔道具ではない武器を保管する武器庫なのに魔力探知の術式がかけられてあった。普通、武器庫の入口には怪しまれるからこんな代物を置くはずが無いんだが、、、」僕達は、武器庫跡へと向かった。

「ねえ、優。敵ってどんな感じだと思う?」

「さあ、、、」“敵”という言葉を耳にすると、必然的に黒法師家を皆殺しにした犯人を思い出す。今思うと、優しかった姉には死んでほしくなかったが、父親に対しては喪に服そうなんて気持ちがなかった。

「話変わるけど、六道家の当主ってどんな人だった?」

「六道家の当主は私の父親なんだけど、一族の地位や名誉が第一で家族のことをあまり省みなかった。家にもあまり帰ってこなかったからそんなに思い出が無い。あと、神奈備家の当主もそうだった。」御三家の当主になると、そういうことにしか頭が回らなくなるかと思うと、少し悲しかった。僕も、今となっては黒法師家当主なんだ。。。

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