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第六話「水都の名軍師」

 翌朝、早朝から神功旅帥に起こされた僕達。

「こんな朝早くから、何ですか?」僕は寝起きが悪いが、双子の聖はどうやら朝の目覚めがいいらしい。

「突然のことなんだが、昨日の夜遅く、終戦条約が締結されたという連絡が届いた。だから、今から闇の都に帰る。」僕は、一瞬旅帥の言ったことが信じられなかった。実際は数ヶ月続いた争いだったが、僕にとっては、僅か数日の出来事でしかなかったからだ。

「でも、なんで急に終戦条約が締結されたんですか?」僕達全員の疑問を亜弥子が言った。

「謎の武装集団が水の都を占領した。急遽水の国の国王が、闇の国に和解を申し込んだ。」

「では、昨日の騒ぎはそれに関係していたんですか?」僕が尋ねた。

「おそらくそうだろう。何にしろ、うちも戦力がもうギリギリだったし戦争が終わってよかったんじゃないのか。」

「あ、音羽隊正。」亜弥子が指さした方向から、音羽隊正が息を切らしながら走ってくる。

「早速、闇軍と水軍の共同任務だ。水の都を占領した武装集団と戦ってほしい。」

「おい、音羽。この子たちは、昨日も命からがら逃げ帰ってきたんだから、今日は勘弁してもらってもいいんじゃないか。」

「君達はどうする?」音羽隊正は、僕達に尋ねた。僕は何の造作もなく武器庫を爆破しただけだし、聖は戦ってもいないし、亜弥子は陣地を守備していて誰も攻めてこなかった。僕達の体力は有り余っている。当然答えは、

「「参加します。」」一人何も言っていない奴がいる。

「聖は参加しないの?」

「ちょっと待って下さい。相手が水の都を占領しているのなら、僕達が迂闊に攻撃すると知ったら、人質をとることも、街を破壊することも当然起こりうるでしょう。ここは、急いで行動に出ずに、相手の意図を読んだ方がいいんじゃないでしょうか。それに、相手の人数や戦力は把握できているんですか?できていないうちに、こんな中途半端な小隊一つ送り込んでも返り討ちに逢う可能性が高いんですよ。」

「君には、軍師の才能があるようだ。だが、事が起きてからでは遅い。」それまで、口を噤んでいた旅帥が口を開いた。

「勿論、君が臆病だとは思わない。むしろ、こういう時に冷静に判断できることはいいことだと思うよ。」

「時間が無い。作戦は向こうに行ってから立てよう。」音羽隊正が言うと、それぞれが水の都へ向かった。


 僕は、昨日も水の都へ来たが、昨日と同じく殺伐とした雰囲気だった。

「今日は十字型の布陣で行く。俺は、左右を飛び回って、全軍の戦闘調整を行う。神功旅帥は、陣頭に立って一気に攻め込んで下さい。仙静(せんじょう)旅帥は、殿軍に回って、退路の確保や防御の援護を。雲月は中軍で指揮を執って。優は雲月の、亜弥子は神功旅帥の、聖は俺の補佐に回ってほしい。」音羽隊正が言った。僅か七人の部隊で得体も知れない敵に立ち向かうのだから、僕達はともかく大人達も緊張していた。

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