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第五話「御三家」

 しばらく、僕は一体何が起こったのか把握出来なかった。向こうもそうだったようで、お互いに沈黙が流れる。

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」世の中には自分とそっくりな人が三人いるなんてことを聞いた事があるが、目の前の少年はそっくりどころか、鏡に映った自分の姿を見るようだった。

「お前、誰なんだ・・・?」僕は無意識にそう呟いていた。

「僕は、黒衣聖。黒法師家嫡流の人間だ。」

「僕は、黒衣優。同じく黒法師家嫡流の人間だ。」

「「僕達は双子の兄弟か何かなのか?」」二人同時に叫んでいた。周囲の家の窓から何人かの人が僕達を眺めている。

「自分の双子がいるなんて聞いた事も無い。」聖は言った。

「僕もだ。」

「もしかして、双子だと後継者争いが起きるから敢てこの事実を伏せていたとか?」

「だとしたら、黒法師家本家の下で育てられた僕が兄で、水の都にいるお前が弟?」

「お~い、優。探したぞ!」音羽隊正が僕達の所へ駆け寄ってきた。音羽隊正は当然、

「なんで優が二人いるんだ?」と僕達に問いかけた。僕は経緯を音羽隊正に語ると、

「そんな話、実際にあるんだな。」と驚いていた。音羽隊正は聖に、

「聖君も闇軍の陣地に来ないか?」と御饌津大社で僕と亜弥子に言ったように語りかけた。

「はぁ。」どうも、渋々といった感じで聖は音羽隊正と僕と共に闇軍の陣地に来た。そこには、神功旅帥と亜弥子がいた。

「疲れているだろうが、任務報告だけしてくれ。」神功旅帥が僕に言った。

「地下の武器庫は予定通り爆破成功しました。それに、僕の双子の弟らしい人に会いました。」

「君には双子の弟がいるのか?」

「どうもそうみたいなんです。」旅帥も隊正と同じようなリアクションだった。

「で、君が優君の双子の弟の、」

「聖です。以後お見知り置きを。」聖は素っ気無く社交辞令的な挨拶をした。


 その夜、僕と聖と亜弥子は三人で帷幕の片隅で色々な話をして盛り上がった。

「優や聖の他に兄弟はいるの?」

「姉が四人いる。」聖は僕の事は知らなかったらしいが、姉の事は知っていた。

「なんで、家族と離れて暮らしていたのに知ってんの?」

「姉はたまに僕の家まで来てくれた。多分僕ら自身を除く黒法師一族は全員僕達双子のことを知っていたんだろ。」

「亜弥子には兄弟とかいるの?」

「私にも姉がいるから、私は跡継ぎじゃないんだけど、姉とはあの時以来音信普通で…」

「神奈備家のことについては、何か知ってる?」聖が尋ねた。僕はそこまで気が回らなかった。聖は結構頭の回転がいいのかもしれない。

「神奈備家にも私達と同い年の神奈備桃子って子がいて、昔はよく遊んだりしてたよ。」

「じゃあ、六道家と神奈備家は敵対関係ではないってこと?」聖は矢継ぎ早に質問していく。

「私が生まれた頃にはとっくに。」

「まさかとは思うけど、神奈備家も皆殺しに?」僕も亜弥子に訊いてみた。

「うん。実はそうらしいの。」

「その神奈備桃子って子は今何処に?」

「実はお姉ちゃんと一緒に逃げて、私が間違えて黒法師領に迷い込んじゃったみたいで、、、」

「この戦争が終わったら、一度僕と聖で魔国六道領か神奈備領に行ってみるか。」僕達は、黒法師家・六道家・神奈備家(合わせて御三家)の和解という魔界史上でも大きな転換になるであろうことについてこの時は少し本気になっていた。

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