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第十八話「闇と水」

 それから数週間後、魔界暦で新年を迎えた。去年は、魔術局に入ったり六道領に足を踏み入れたりと色々なことがあった。魔術局は最低人員を残して隊員は皆休暇をとっている。しかし、僕達魔術師部隊南闇都隊は運悪く新年早々仕事をしなければならなかった。新しく南闇都隊の隊長になった雲月隊正は未だに元気を取り戻していない。そんな折、雲月隊正が隊員に向かって、

「私は魔術局の仕事を暫く辞めて旅に出ることにしたから。誰か、隊長の仕事任せたわよ。」と、言い残したきり次の日から職場に来なかった。とりあえず、南闇都隊では新隊長を決める事にした。

「やっぱりこの中で一番位階の高い火長陣の中から誰かってことになりますよね。」僕はなぜかこの会議の進行役を任されている。

「その事なんだが、天将兄弟の残りの二人が南闇都隊に来ることになった。残りの二人も玄武や青龍と同じく火長だ。もう少しで来るからあいつらの言うことも参考にしたらどうだ?」良岑火長が言った。

「玄武火長に青龍火長。残りの兄弟ってどんな人ですか?」聖が僕が聞きたかったことを先に聞いた。

「俺達は四つ子なんだ。だから簡単に言えば俺達みたいな奴がもう二人増えるってこと。」などと話していると、

「「遅くなったわね。」」と、容姿が似ている気の強そうな女性が二人部屋に入ってきた。

「今日から南闇都隊に派遣されることになった天将朱雀です。」

「同じく天将白虎です。」僕と聖と亜弥子以外は顔見知りらしく、夜叉丸隊正が

「この三人が左から黒衣優君と黒衣聖君と葉竹亜弥子ちゃんだ。」と、三人まとめて紹介した。

「で、新しい隊長を決めてるんでしょ。うちらやあんた達じゃそんな大役無理やろうから、そこの亜弥子ちゃんにさせたら?」朱雀火長が言った。

「そんなすぐに決めちゃっていいんですか?」僕が一応聞いてみた。

「大丈夫や。いざとなったらうちらが助けてやればいい。」誰も反論しなかった。

「そういうことや。じゃあ、亜弥子ちゃんよろしく。」朱雀火長の鶴の一声で南闇都隊隊長には亜弥子が就任することになった。


 一方、水の王城の玉座の間では。

「七王の内の六家、そしてその諸侯たちよ。よくぞ集まった。この前は闇の国との戦争をやむなく中断せざるを得なかったが、次こそは確りと勝たなければならない。そこで、余はここで六国の王と諸侯を集めて、ここに六国同盟を結びたいと思う。」水王ラティウス・ウォルズが言った。王や諸侯、そして彼自身の部下から拍手が湧き上がった。

「その為にだ。誰か闇の都へ間諜に行って、序に闇王を暗殺する者はおらぬか。」流石にこの任務には誰もやろうという者はいなかった。

「そうか。では別の作戦を…」

「待ってください。」その声は意外にもラティウスのすぐ横から聞こえた。

「なんだ、ユーロ。」ユーロと呼ばれた少年は、

「闇王を暗殺できるか否かは分かりませんが、間諜としての役目は全うする自身がございます。」彼は、堂々と諸侯たちの前で言った。

「お気持ちは存じ上げております。しかし、貴方様は水王家の皇太子。そのように自重なさらないようでは我々家臣が困ります。」家臣の一人が言った。

「次の王なら叔父のプトレマイオス親王がいます。そんな心配は無用です。」しかし、ユーロの意見に反対する家臣は一人だけではなく、

「そうでございます。ユーロ様。貴方様こそが正統な水王家の末裔。貴方様にはこの国の将来がかかっているのでございますよ。」

「それは、僕が死ぬことを恐れているのであろう。では、生きて帰ったらどうなる?闇の国の内情を直に見た王なんてそうはいないでしょう。そうなれば、僕は新しい視点でこの国の政を行える。」その場にいた他の王や諸侯は(大した御子息だ。)と、感心していた。

「そこまでいうのなら、あとは陛下の御意次第。」

「どうなさりますか、陛下。」

「ユーロは余の大切な一人息子。そう軽々しく他国に送りたくはない。しかし、余もユーロの気持ちには応えたい。故に、ユーロが闇の国に行く事を許可する。」

「父さん、ありがとう。」ユーロは喜んで早速闇の国に行く準備を始めた。

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