私は業火の中にいる
今回も読んで頂きありがとうございます!
ちょっと怖めのインスタントフィクションです。
私は業火の中にいる。
皮膚も内臓も溶け、歯や骨も残らないだろう。
もう、見る事も聞く事も出来なくなって世界は白い。
苦しみや痛みは無い。悲しみや怒りは抜け落ちた。嬉しい。
永久に焼かれていれば。永久に続いていけば。
でも、終わりはやってくる。
私は焼き尽くされる。何も残らない。灰も焼かれる。
前の世界で私は焼かれた。そして今、焼かれている。
次はどこで焼かれるのだろう。
そこに火はあるのだろうか。燃えない世界だったらどうすればいい。
何も許してくれない。私は燃える以外の救いを知らない。
こんなに簡単で、こんなに単純で、私にも可能な事なのに。
また戻るのか?それもいい。あそこには火がある。
次が無くてもいい。戻るか留まるかなら私は嬉しい。
全てが燃え尽きた。何も残らなかった。思念も罪も未来も。
「私」は消えた。もう火も消えた。世界は白くも黒くもない。
読んで頂きありがとうございました!
次や他の作品も宜しくお願いします!