外見はキッカケに過ぎず、中身が無くば人は惹かれず
先日、『俺の嫁』という化石となりつつある表現を目にした。
自分もおっさんになったものだなとシミジミと感じながら、ふとこれまでの生で『俺の嫁』と言えるくらいになったキャラクターたちを思い返してみる暇人であります。
そして、気付いてしまった。
最近、そういうキャラクターが増えてねぇな、と。
少なくとも、小説や漫画、アニメからは増えてねぇな、と。
可愛いと思う。
綺麗だとも思う。
しかし、嫁と主張したくなるくらいに好きになる者はいない。
これはどうした事か、と考えてみたので、ちょっとばかり思考回路を晒してみます。
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まぁ、最近の二次元世界の様相からして、近頃の女性キャラと言えば、なろう系作品のヒロインたちが多い。
私は、そんな彼女たちに見た目以上の魅力を感じていないと、考えて気付いてしまった。
だって、中身が無いんだもの。
過去の二次元作品のヒロインたちは、大抵が主人公なりとの出会いから実際にくっつくまでに、紆余曲折のエピソードがあるものだ。
共に艱難辛苦を乗り越えたり、時に喧嘩をしたり、何気ない日常を過ごしてみたり。
そんな中で、愛情や信頼を積み重ねて、お互いに惹かれあい、最終的にゴールインするものである。
だから、読み進めていくごとに、ヒロインの背景や性格、能力に思考回路など、様々な要素が入り込んでくるし。
そんな良い所も悪い所も見せてくれる彼女に読者である私も惹かれ、幸せになって欲しいと心から思える様になるし。
なんなら、そんな彼女に中々男を見せない主人公にモヤモヤしては、俺こそが幸せにしてやりたいと『俺の嫁』などと主張したりもするのだ。
翻って、昨今のなろう系ヒロインたちである。
主人公と出会いました。
素敵抱いて。
ハーレムでもオッケーよ。
都合の良い女にして。
以上、終わり。
いや、うん。
男の欲望の捌け口としてはさ。
正しい姿なんだろうけどさ。
何処までもオナホ以上の存在にならなくない?
確かに、見た目は美人美少女である。
流石はイラストレーター様だ。あれ程の技量を持つ貴方たちを心から尊敬する。これからも素敵な絵を書いて下さい。
だけど、それだけ。
惹かれる部分がマジでない。
だって、何のエピソードも無いんだもの。
量産型のような最適化された面白味のなさというかね。
どいつもこいつも抜きゲーの即オチ2コマかよ、ってくらいにすぐに主人公様に股を開いて、紆余曲折のエピソードとか何も無い。
思い入れとか出来ないよね。
ぶっちゃけ、次のシーンで爆発四散しても、あー美人が勿体ない、という以上の感想が出そうにないのだ。
そのせいで、昨今のなろう系ヒロインの中で、私の印象に残っている人物が一人たりとも存在しないという事態が発生している。
『俺の嫁』と呼べる程でなくとも、印象に残っている女性キャラクターと言えば、古き作品群の中ばかりになっているのだ。
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で、結論。
タイトルにもあるように。
『外見は知りたいと思うキッカケにはなるけど、最終的に魅力を感じるのは中身だよね』
って事で。
好きになったキャラクターも、嫌いになったキャラクターも、ちゃんとした設定と背景のある魂を持つキャラクターなんだよなぁ。
中身の無い綺麗なお人形なんぞを嫁にしたいとは思わねぇんだよ。
性欲の捌け口とかならそれでも良いけど。
キャラクターたちよ、〝物〟ではなく〝者〟であれ。
(中身の無い)美人は、三日で飽きるし忘れられるぞ。
ギャルゲー、エロゲー(抜きゲーではない類い)の方が、余程その辺り頑張っていると思います。
そっち方面だったら、近年の作品でも嫁級に好きになったキャラクターが存在しますし。
こんな事を語りながら、己の主要作品の主人公とメインヒロインは、かなり即オチ2コマな関係性だったり。
そうならざるを得なかった言い訳はあるんだけども、うーむ……。
端から見ると、同じ感じなんだろうな……。