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伯爵令嬢はケダモノよりもケモミミがお好き  作者: 実川えむ
第9章 ケモミミに絆されてしまったようです

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第57話

 まさか、風の精霊が、電話みたいに使えるとは思わなかった。


『おーい。その声は、メイリンちゃんよね?』

「あ、う、うん、そう」

『どうしたぁ?』


 のんきな声のミーシャに、ちょっとイラっとする。

 いや、それは、八つ当たりだ。私は頭を振って、気持ちを落ち着かせる。


「びっくりした。風の精霊って、こんな使い方ができるのね」

『うん? いや、普通、こんな使い方しないわよ』

「えっ!?」

『びっくりしたのは私もなんだけどぉ……あ、うん、ちょっと待ってね』


 どうもミーシャの他にも誰かがいるらしい。


「ごめんなさい、今、話しても大丈夫なの?」

『うん、今、妹? の相手してただけだから』


 まさか、ミーシャに妹がいるとは。こちらでの家族の詳しい話は、ほとんどしなかったことを思い出す。


『そっちに残してった子が何かしたのかしら。私の目の前で風の精霊が、ぽよぽよ浮かんでて、その子からメイリンちゃんの声が聞こえてるんだけど。何か、あったの?』

「あっ! そ、そうなのよ、ミ、ミーシャ、スタンピードが発生したみたいなのっ」

『マジ?』

「マジ、マジッ!」

『……タイミング悪すぎ』


 ボソッと何か言ってたみたいだけど、私の方はそれどころではない。必死に現状を説明するけれど、一方通行みたいで、目の前の風の精霊からは、ミーシャの声が聞こえてこない。


「ねぇ、聞いてる? どうしようっ! どうしたらいい?」

『落ち着け、って言っても無理か……助けに行ってあげたいところなんだけど、今、私の保護者が出産中なのよ』

「しゅ、出産っ!?」


 その保護者様、すでに4人目だそうで、出産自体は慣れてはいるそうだ。それでも、こっちの世界、あんまり医療が発達してないこともあって、万が一があったら、と思って離れられないらしい。

 そもそも、今、彼女のそばにいる妹の他に、弟もいるそうだ。二人とも、まだ幼くて、ミーシャから離れないらしい。そんな面倒であれば、乳母にでも任せられるのではないか、と思う。しかし、命の危険性についていえば、離れられないのも理解はできる。

 それに、ミーシャとの付き合いは、けして長いとも言えないのだ。考えてみれば、同じ地球出身者とはいえ、そこまで無理が言える関係でもない。そもそも、彼女はこの国の国民ですらないのだ。

 これ以上、頼み込むわけにもいかないか、と諦めそうになった時。


『ん~、仕方ない……私の代わりに、土の精霊をそっちに向かわせるわ』

「土?」

『とりあえず、城壁を補強して、万が一、大規模魔法を使った時の衝撃をできるだけ緩和させてみるしかないんじゃない? ついでに、でっかい落とし穴でも作ってもらったら? 大量の魔物だったら、いい素材もあるかもしれないし』

「……それで、なんとかなるかしら」


 それで、少しはマシになるんだろうか。目の前にいる小さな精霊を見て、どんな力があるのか、想像もつかないし、不安も拭えない。いや、むしろ、不安しかない。


「……ねぇ、メテオラって、相当ヤバいの?」


 私なんかよりも、魔法のことを知っていそうなミーシャに聞く。


『どうだろう。私も、そんな大規模魔法使ったことないからなぁ』

「そうなの?」

『私の場合、精霊王様たちがやらかすことが多くて、自分で大規模魔法を使う機会がないのよね』


 ……精霊王?

 ……やらかす?


 なんか、聞いてはいけないことを聞いた気がする。


『まぁ、今回は、精霊たちにお願いするだけだから、そこまでは被害は出ないと思うけど』

「えっ!? 被害が出るようなこと、したことあるのっ?」

『……』


 無言が怖いんですけどっ!


『あっ、産まれたみたい、悪いけど、切るね。久々に電話みたいなことして、懐かしかったわ、じゃぁねっ』

「えっ、ちょ、ちょっと!?」


 何度か呼びかけたけれど、ミーシャからの返答はなし。


「そもそも、土の精霊って、どうやって呼んだらいいの?」


 そんな私の嘆きが聞こえたのか。


「わ、わわわっ! え? 何、この数っ!?」


 淡く黄色く光る玉が、部屋中に現れた。

 ちょ、ちょっと、限度ってもんがあるでしょっ! ミーシャ! 


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