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伯爵令嬢はケダモノよりもケモミミがお好き  作者: 実川えむ
第9章 ケモミミに絆されてしまったようです

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第54話

 私たちが、ああだ、こうだとやっている間に、城内がかなり騒がしいことになっていた。


「どうかしたの」


 部屋から出たら、こんな状況になっていることに戸惑った私は、ドアの前に立っていたキャサリンに問いかけるが、彼女も詳しい話はわからないようだ。


「まずは、ファリアのところに戻ろう」


 冷静なへリウスの言葉に素直に頷くと、私たちは母のいる執務室へ向かう。

 その間、何人かとすれ違ったが、一様に緊張した面持ちで、私たちに声をかけてくる余裕もなさそうだった。


 ……何があったのか。


 不安な思いのまま、執務室のドアをノックすると、すぐに入室の許可が入った。


「お母様、何事ですか」


 デスクの前には厳しい顔の母と、久しぶりに国境の砦から城に戻ってきていた私兵団の団長で、次期辺境伯の叔父が立っている。


「メイリンか……王都からこちらに戻る途中だった親父が襲われたらしい」

「なっ!? そ、その襲った者たちは、バカですか!?」


 お祖父様が辺境伯をしているのは、伊達じゃない。

 今でこそ母が前面に出て戦うことが多いようだけれど、それまでは、お祖父様がいるからこそ、この国境が守られているといっても過言ではなかった。

 いまだに、隣国ナディス王国では『トーレスの銀髪のオーガ』という異名で呼ばれているらしい。私には、ただただ優しいお祖父様だけど。そんな人相手に襲ってくるなんて。


「まぁ、バカなんだろうな。相手側は、ほぼ壊滅状態らしいから」

「じゃぁ、なぜ」

「そのバカどもが、魔物を集魔香で誘きよせたらしい」


 そう答えたのは、お祖父様そっくりの叔父。だいぶ若いけど、次代の『トーレスの銀髪のオーガ』の片鱗を見せている。


「そ、それでも、お祖父様でしたら」

「確かに、親父一人だったらよかったんだが、今回、王都の屋敷にいる者たち、全員でこちらに戻るところだったらしい」


 逃亡する時に、王家とのあれやこれやを押し付けてしまった、お祖父様。結局、あんな手紙が届くあたり、まったく話は通らなかったのだろう。

 その上、嫌がらせなのか、いろいろと妨害工作があったそうで(商人たちとのやりとりとか、警備に関するいちゃもんだとか)、さすがのお祖父様も最終的には、「こんなところにいられるかっ!」と、怒り爆発だったそうな。


「……王家もバカなの?」

「まぁ、バカな奴もいるということだろうな」


 王妃がどうこう、というよりも、その指示を受けている者がバカなんだろう。


「で、警護の者もいるにはいるんだが、同行者の中の数人に怪我人も出てしまって、移動に時間がかかっているようだ」


 バカはバカなりに、やらかしてくれた。

 お祖父様たちはゴードン辺境伯領に向かう所だったから、その魔物に追いかけられるような形になっているらしいんだけど、どうも、半分は王都方面へと向かっているらしい。それも、かなりの数が。


「……ねぇ、それって、もはや、スタンピードなんじゃないの?」


 私の言葉に、皆が口をつぐむ。否定の言葉が出てこないあたり、皆、同じようなことを考えていた、ということなのだろう。


「メイリン、貴女はこの城に残りなさい。ルドルフは急ぎ国境に戻れ、私は親父を迎えに行ってくる」

「お母様……」

「最近、国境付近で怪しい動きがあるんだよ。ルドルフも、その報告に今日は来ていたんだが。今回はちょいとばかり、タイミングが良すぎる。万が一ということもある。ナディスのバカ共が絡んでいないとも限らないからね」


 母の言葉に、まさか、ナディス王国まで絡んでくる可能性があるなんて、と、驚いてしまう。


「ヘリウスは、メイリンとともにこの城を任せるよ。あんた、それでも一応、王子様なんだろ、お姫様くらい守り通せよ」


 ……王子様ってキャラじゃないと思うんだけど。


 思わず、顔をひくつかせる私をよそに、へリウスは頬を染めて、胸をはり、「任せろ!」と自信満々だ。


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