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伯爵令嬢はケダモノよりもケモミミがお好き  作者: 実川えむ
第8章 狼は実は大型犬だったようですわ

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第47話

 そんな私をよそに、ミーシャは苦い顔になる。


「うーむ。ファリアの娘……だからかなぁ」

「え? それってどういう意味……?」

「言葉通りだよ。辺境伯の娘であるファリアは、女だてらに私兵団を取りまとめて、自分自身も戦場に出るような女傑でしょ。武術だけじゃなく、魔法にも秀でているし。もし、そのファリアの娘を身内にいれるなら、その能力を伸ばす方に向けるか、もしくは、まったく使えなくするか」

「……なんで使えなくするのよ」


 ミーシャの言葉に、不安な気持ちが膨れてくる。そして、自分に向けられていた王妃の笑顔が目に浮かぶ。思い浮かぶのは、目だけ笑っていない作り笑顔。


「本当は、わかってるんじゃないの?」


 彼女の言葉に、ゴクリと喉を鳴らす。

 王太子の婚約者候補から、正式に婚約者になると変わることがある。

 それは、王都の屋敷ではなく、王宮内で生活することになることだ。そして、周囲の者も、辺境伯領から連れて行けるのは、一人か二人。味方といえる者がほとんどいない状況で、王宮で暮らすことになるのだ。

 当時の前世の記憶を思い出す前の私は、けして人付き合いが上手い方ではなかった。だからこそ、あの従姉と行動を共にし、頼ってすらいたのだ。

 自分でも予想はしていた。あの王宮に入ってしまえば、完全な籠の鳥になってしまうことに。

 伝達の魔法陣が使えなければ、私の持てるまともな連絡手段は、手紙しかなく、その手紙ですら、味方のいない状況で無事に実家に届くかすら怪しい。

 万が一、自分が窮地に陥っても、誰も助けには来てくれなかっただろう。


「……私は、都合のいい駒だったってことかな」


 大きなため息を零しながら、当時の自分のことを思い返す。

 思いもよらなかった王子との婚約の話に胸を震わせ、実際にお会いして素敵な笑顔に魅了されて、あっという間に恋に落ちた。

 それからは、必死に王子の隣に立つためにと、お妃教育も頑張った。

 学校では高位貴族の令嬢たちから、田舎者と揶揄されたりもしたけれど、いつも笑顔を浮かべて、何を言われても流せるようにもなった。

 そう。頑張ったのだ。あんな王子のために。


「話を聞くに、王都に行ってから、随分と性格が変わったらしいわね」

「もしかして、キャサリンから聞いたの? ……そうね……あの頃は、王子に愛されたくて必死だったから」

「……もう、キャサリンのことは許してあげたら?」


 わかってる。彼女がヘリウスに逆らえなかったことなど。

 王族であることもそうだし、Aランクの冒険者からの威圧がどういったものか、共に行動していたのだもの、キャサリンでは無理だったことは、理解しているのだ。


「……そうね。私が大人にならないといけないわね」

「フフフ、中身は十分に大人でしょうが」

「そうだけど! ダメねぇ。身体につられるのか、感情の抑えが効かないの」

「それは……王妃からの呪縛が解けてきているからかもね」

「そうなの……かしら」


 私は、窓の外へと目を向ける。

 二度と王都へなんて行きたくない。そう強く思った。


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