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伯爵令嬢はケダモノよりもケモミミがお好き  作者: 実川えむ
第5章 女の敵は、女ですわ

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第34話

 久しぶりのベッドのお陰で深い眠りに入ったせいか、思い出したくもない夢を見た。


 見覚えのある薄暗い部屋は、前世で住んでたマンションの一室。

 そうだ。結婚して元旦那と買ったマンションの寝室だ。そこで、くんずほぐれつしているのは元旦那と、彼の職場の後輩の女だ。

 私が残業で帰りが遅くなるはずが、その日に限って出来る上司のおかげで、予定よりも早く帰ってきたら、この状態。これがキッカケで離婚したのよね。

 あの時は、あまりのことに声が出なかったけど、手にしていた荷物(スーパーで買ってきた食品と、仕事に持って行ってたパソコン入りの肩掛けバッグ)を投げつけてやったのを覚えている。忌々しいことに、後輩の女の勝ち誇った顔まで思い出すなんて。


 そして、目の前にしている姿が、元旦那から、アルフレッド様に変わり、相手もあの馬鹿女に変わる。場所も、城の一室に変わり、あの時の二人の喘ぎ声まで聞こえてくる。


『あああ~っ!』

『愛してるっ、くっ、マリアンヌッ』


 簡単に女に騙される浮気男ばっかり引き当てて、なんで私はここまで男運がないのだろうか。前世の私から引きずっているのか、駄目男にばかり、惹かれている気がする。


『おおお、いいぞ、いいっ』

『ヘリウスさまぁ~』


 いつの間にか、目の前の二人が、ヘリウスとパティに変わる。

 確かに、イケメンだとは思ったし、最初はちょっといいなとは思ったけど、魔の森の間中、イチャイチャしているのを見せつけられて、苛々させられっぱなし。

 むしろ、嫌な男になってたはずなのに。


 なんで夢の中に現れるかな。


 現実には見たこともない、二人のあられもない行為。

 本当ならどうでもいいはずの二人の行為なのに、激しい怒りを覚えている。まるで見せつけるかのようなパティの勝ち誇った顔に、ブルブルと握りしめた手が震える。

 

 ――気が付けば私の手には、大きなナイフ。


「アンタなんか、消し去ってくれるっ」

 

 絞り出すような声で呟く私。


 ――私を裏切った全ての男たちの代わりに、目の前の男に、断罪を。


 聞きたくもない嬌声の中、激しく腰を振っているヘリウスの背後に立ち、ナイフを大きく振り上げる。


『泣くな、メイ』


 優しく宥める声とともに、後ろから、何かに包まれたような暖かい感覚に、身体の力が抜けていく。その言葉に、自分が泣いていたことに気付く。


『泣くな』


 太い指が頬に流れる涙を拭う。


『泣くな』


 ギュッと抱きしめられて、嗚咽が零れる。


「泣くな、メイ、俺がいる」


 夢から覚めた私は、ぼーっとしながら目を開ける。寝ながらも泣いていた私。瞼が重い。そして、目の前には空になったベッド。隣のベッドにはキャサリンがいたはずなのに。


 ――あ? なんで、私は……誰かに抱きこまれているのっ!?


「えっ!? キァッ……ふぐっ」

「叫ぶな」


 いきなり口元を大きな手に抑え込まれ、悲鳴が閉じ込められる。

 耳元で囁く掠れた声に、誰ともわからない男が背後にいることに、恐怖しかなく、身体がガタガタと震えだす。


 ――キャサリンはどうなったのか。

 ――私はこれからどうなるのか。

 ――このまま、犯され、殺されるのか。


 最悪なことしか頭に浮かばない。


「メイ、大丈夫だ。俺がいる」


 その『俺』が誰なのか。

 私は、ゆっくりと目だけ動かすと、そこには、少し情けない顔をしたヘリウスがいた。


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