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超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第8節・新たなる戦い
70/150

第7話

前回のあらすじ


ゼシアがジャナ部に興味を持ち、そこでフォトンガードナーについての記事があると聞きそれを見せてもらおうとした瞬間、クロノイド制圧軍による襲撃が起きる。

光達は襲撃して来たクロノドローンを撃退しに向かうが、クロノイド制圧軍では新たなクロノギアスが出撃せんとしていた。

「な、何だ!?」


街を破壊していたクロノドローンを掃討し終えた光達に、突如としてアラートが鳴り響く。


「この反応……時空転移ゲートからか」

「という事は……クロノギアスか!!」


久遠がアラートが指し示すエネルギー反応の発生箇所を報告すると、縁はエネルギー反応の正体がクロノギアスと判断し戦闘体勢を取る。

三人が時空転移ゲートを越えて現れるクロノギアスに身構えると、時空転移ゲー内を轟く雷鳴が一際強く鳴り響き、それは姿を現した。

長い手足にバランスの取れた胴体、四肢の先を覆う装甲は具足を思わせ、頭部はバイザーに正面が覆われているとはいえ全体的に人の頭部に近く、今まではほとんどのクロノギアスが有していた尻尾が無い。

今までの怪獣然とした姿では無くロボットアニメの量産機を思わす様な姿をしたクロノギアスは地面に着地すると、クロノギアスに搭載されているであろう広域スピーカーから男の声が聞こえて来た。


「貴様が我等クロノイド制圧軍による侵攻を邪魔するフォトンガードナーという部隊か!!」

「っ!?人の声!?」

「…………」

「有人機か……!」


光はクロノギアスから聞こえて来た人の声に目を見開き、久遠はクロノギアスを視界に捉えると口をつぐみ、縁は遂に来たかと言いたげにクロノギアスを睨み付ける。


「貴様等は所詮無人機を相手にいい気になっていただけに過ぎん!!我等クロノイド制圧軍の力、このソルト兵長がその身に刻んでやろう!!」


そうクロノギアスのパイロット──ソルトがそう啖呵を切るとクロノギアスの右腕をあげ、何をするのか身構えていた光達の前でフィンガースナップを行う。

金属同士のぶつかり合う音が滝音市市街地に鳴り響き、何が起こるのか身構えていた光達の耳に、再びアラートが鳴り響く。


「これは……増援!?」


再び敵機の反応が発せられた時空転移ゲートを目にして、先のフィンガースナップが増援の合図だったのだと久遠は気付く。時空転移ゲートから現れるクロノドローンを見て身構える光達を前にして、ソルトは高笑いをあげると頭上に掲げていた腕を前に突き出し指差した。


「やれぇ!!」


ソルトの号令と共に時空転移ゲートより現れたクロノドローンが一斉に光達へと攻めて来る。

向かい来るクロノドローンの砲撃に晒される中、 縁が二人に向かい一つの提案を出した。


「僕がソルトを抑える!!君達はクロノドローンを!!」


縁からの提案は自分がソルトを抑えている間に光達がクロノドローンを掃討し、数的不利を覆そうというものだった。その提案に光達は目を見開くが、現状それしか方法が無いと見るや二人は歯噛みしながらも頷く。


「……っ!!了解!!」

「無茶すんじゃねぇぞ!!」


二人は縁の提案に了承すると別れる様にフォトンファイターより離れ、向かい来るクロノドローンを引き付ける様に動き回る。

縁はそれを見るや小さく深呼吸をしてしっかりとソルトの駆るクロノギアスを視界に収めると、向かい来るクロノドローンを急加速で通り過ぎて一直線に向かって行った。


「はあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「ほう、向かって来るか!!」


クロノドローン部隊を掻い潜って自分へと向かって来るフォトンファイターにソルトはニヤリと笑みを浮かべ、右拳を勢いよく振りかぶる縁に合わせて指差していた右手を開いて振り抜かれた拳を受け止め、金属同士がぶつかり合う音が鳴り響き、衝撃で二機の周りの土煙が吹き飛ばされる。

受け止められた拳を押し込もうとするフォトンファイターと、悠々と余裕を持って拳を受け止めるクロノギアス。フォトングラストへ合体していない事を加味しても、二機の間には大きな差が広がっていた。


「く……っ!?」

「フフフ……フンッ!!」


軽々と拳を受け止めたソルトは拳を受け止めた掌でフォトンファイターの拳を握り、片腕で持ち上げ宙に浮かす。

縁は掴まれた拳を振りほどこうと機体を暴れさせるが振りほどけず、ソルトによってビルに向かって軽々と投げつけられた。


「ぐあ……っ!!」


ビルに叩きつけられ振動がフォトンファイターを襲い、痛みに縁は呻くが歯を食い縛りクロノギアスへと目を向けると、追撃とばかりに足を突き出して向かって来るクロノギアスの姿が目に入り咄嗟に機体を横へと転がす。

フォトンファイターがビルから抜け出て避けた場所にクロノギアスの足が突き刺さりビルを貫くと、ソルトはクロノギアスの頭部を転がって回避したフォトンファイターに向けて感心の声をあげる。


「逃げる事は一丁前だな、それならば無人機程度は相手になるだろう……だがなぁ!!」


ビルからクロノギアスの足を引き抜くやソルトはフォトンファイターに向かい突撃し、拳を勢いよく振り抜く。

縁はそれを上空に飛ぶ事で回避すると、拳が突き刺さった地面から土煙が巻き起こりクロノギアスの姿を隠す。


「っ…………そこっ!!」


土煙に隠れ姿を消したクロノギアスを縁は歯噛みし土煙を見下ろし、僅かに揺れた場所に向かってパーティクルマシンガンを放つ。

放たれた光弾は土煙の中へと飛び込むが、クロノギアスに命中せずに地面に着弾した音だけが響く。命中させられなかった事に縁が舌打ちをした瞬間、フォトンファイター目掛けて土煙を突き破りクロノギアスが姿を現した。


「はっはぁ!!」

「────っ!!」


突如として姿を現したクロノギアスに縁は咄嗟に両腕を交差させ防御姿勢を取るも、上昇の勢いの乗ったクロノギアスの右拳は全高に差のあるフォトンファイターを軽々と吹き飛ばす。


「ぐうぅぅぅっ!!」


縁は吹き飛ばされ荒ぶる機体の中で意識を失わない様に耐えながら気合いでコントロールを取り戻すと、追撃して来るクロノギアスの左フックを後ろに下がって回避する。

そうして距離を取るや牽制とばかりに両腕を突き出してパーティクルマシンガンをクロノギアス目掛けて放つが、クロノギアスはそれをものともせずに右肩を突き出したショルダータックルの体勢で突撃し、パーティクルマシンガンを撃ってて退くタイミングを逃したフォトンファイターに激突した。


「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「一度我等の頭脳が加わればこの通りよ!!」


タックルの反動で上空から勢いよく地面に叩き付けられた縁が絶叫する中、ソルトは地に伏したフォトンファイターを目にしてそう挑発するも内心では小さく舌打ちを打つ。


(紙一重で直撃を避けたな……直撃していれば、やつの胸元は大きく凹んでいたものを……)


紙一重で縁が直撃を避けた事に苛立ち、今度こそ止めを刺さんと地に倒れ伏すフォトンファイターの元へとクロノギアスを降下させる。その瞬間、クロノギアスの背後から衝撃が襲った。


「何?」


ダメージは無くとも機体を攻撃された事にソルトは眉をひそめ、機体を背後へと向けさせ、縁も痛む体に鞭打たせながらクロノギアスが振り向いた方へと顔を向ける。そこには──


「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

「ひ……光……!?」


地に伏したフォトンファイターを救わんとフォトンランダーをクロノギアス目掛けて走らせる光の姿があった。


「ちっ!!ただのサポートメカがやってくれる!!」


眼前の敵に意識を向けていたばかりに気付けた筈の攻撃を受けた事にソルトは悪態をつくと、攻撃して来たフォトンランダーへと敵意を向けて機体を突撃させる。


「──っ!!」


眼前に迫って来るクロノギアスの拳を前に光はシフトレバーをバックに入れアクセルを思いっ切り踏みつけ、機体を急停止させると反対に後ろへと素早く下がる。

無茶な制動でタイミングをずらされ、クロノギアスの拳が地面に突き刺さると光はその場で百八十度旋回しクロノギアスに背を向け、背後にパーティクルショットを放ち反動で加速させながらフォトンランダーを走らせ始めた。


「────っ!!貴様ぁ!!」


眼前に迫った光条を反射的に腕を前に突き出して防御したソルトは、額に青筋を浮かべながら逃げるフォトンランダーを追いかけ始める。

光が取った行動が、縁から注意を引き立ち直る時間を稼ぐものだと冷静なソルトなら気付けただろう。しかし、勝ち誇っていた所に格下に水を差され、逃げる所か置き土産をもらったソルトは血が頭に上りフォトンランダーを潰す事に意識が集中してしまいまんまと光に釣られて行く。

縁から距離を取ったのを確かめると、光は再びパーティクルショットをクロノギアスの方へと向けて撃ち放つが、ソルトはそれを容易く避ける。

立て続けに放たれる光条を避ける中、射撃の癖からある事に気付いたソルトは、口をにやけさせ、光へとはっきりと告げた。


「お前、人を撃つ覚悟が無いな?銃撃から迷いが滲み出てるぞ!!」

「っ!!」


人を撃つ覚悟──命を奪う覚悟が無い事を見抜かれ、光は思わず息が詰まる。前に有人のクロノギアスの出現に関して推測し、いずれ相手をする事になるかも知れないとは言われた光だが、まだ命を奪う覚悟が出来ておらず躊躇いが照準を鈍らせる。

鈍った照準から放たれるビームなど恐るるに足らずと言わんばかりにソルトはフォトンランダーへと距離を詰め構えた拳を振り下ろし、当たりはせずとも地面に突き刺さり衝撃によってフォトンランダーの車体を大きくバウンドさせた。


「そんな腑抜けた根性で!!この俺に挑もうとはなぁ!!」

「ぐあ……っ!!」


揺れる機体を強引に立て直し、光は再び距離を取ろうとするが一度追い付かれた距離は中々離す事が出来ず、幾度と振り下ろされる拳を右へ左へとハンドルを切って避け続ける。


「っ!?マズ────!?」


しかしそれも長く続かず、無茶な機動を行い続けた結果タイヤが地面をグリップし損ねフォトンランダーがスピンし、続けて繰り出されたクロノギアスの拳の衝撃を受け流し切れずスピンしてビルへと激突した。


「ぐあっ!!」

「よく逃げたな……だがここまでだ!!」


ビルへとめり込み動きを止めるフォトンランダーを前に降り立つと止めを刺さんと拳を振り上げる。

光も痛む体に鞭打って逃げようとするも間に合わず拳が振り下ろされる。その瞬間──クロノギアスの腕にワイヤーが絡み付いた。


「っ!?今度は何だ!?」


新たな妨害にソルトが舌打ちしワイヤーの先へと視線を向けると、機体下部よりワイヤーを伸ばすフォトングライダーの姿があった。フォトングライダーを駆る久遠ははクロノギアスとワイヤーが繋がったのを確かめると、機体を一気に加速させフォトンランダーより引き離す様に引きずり出した。


「ぬうぅぅぅっ!!」


ソルトはフォトングライダーの急加速に機体が勢いよく引っ張られる慣性をその身に感じながら操縦桿を掴み、逆に引っ張る様に機体を動かす。


「──っ!」

「ぬわあっ!?」


久遠は僅かな抵抗を感知した瞬間ワイヤーを切り外し、勢いよくワイヤーを引っ張ったクロノギアスは体勢を崩し地面へと崩れ落ちた。


「ぐうぅ……」

『ソルト貴様ぁ!!何を遊んでいる!!』

「ジェ、ジェネル将軍!?」


崩れ落ちたクロノギアスを立ち直らせようとしたソルトの元にジェネルからの通信が入り、突然の上司からの通信にソルトは目を丸くする。


『貴様が止めを刺し損ねている間に、貴様が用意していた増援が全滅したではないか!!』

「なっ!?ば、馬鹿な!?」


ジェネルから告げられた報告にソルトは驚愕しレーダーへと目を向けるとそこには数で叩くために用意したクロノドローン部隊の反応は無く、自身の駆るクロノギアスと相対するフォトンガードナーの三機しか反応が無かった。


「あ、あり得ない!!今まで幾度となく反乱分子を掃討して来た戦術パターンだぞ!?それをフォトングラストの合体メカとはいえ二機で!?」

『狼狽えている暇があるのならとっとと起きて戦っ!!』

「も、申し訳ありません!!今すぐに……ぐあぁぁっ!?」


ジェネルの激怒にソルトは謝罪を口にし急いで三機を落とさんとクロノギアスを立ち上がらせ様とした瞬間、機体が地面へと縫い留められ電流が流れ動きを阻害する。

ソルトの動きをパーティクルバインドで阻害した久遠は、すぐさま光と縁へと通信を繋ぎ安否の確認を行う。


「二人共無事か!?」

「お、おう……!」

「何とか……っ!」


久遠の呼びかけに応えて光はアクセルを踏んでフォトンランダーをビルから引き剥がし、縁はフォトンファイターを立ち上がらせる。消耗はしてはいるものの、まだ闘志は尽きていない。


「クロノギアスは拘束した、今の内に合体するぞ!!」

「「了解!!」」


久遠の作った好機を逃さんと、二人は気合いを入れて操縦桿やハンドルを握り締め、合体するために走り出した。


「超光合体!!!!」


縁が合体コールを叫び、光と久遠がコックピット横の合体ボタンを同時に押すと、フォトンランダーの機首よりパーティクルロードが生成される。

パーティクルロードを走るフォトンランダーにフォトンファイターが並走し、同時に跳躍するとフォトンランダーはフォトングラストの下半身へと変形する。

そのまま上空でフォトンファイターと合体して地面に着地すると、今度はフォトングライダーと並走を始める。

フォトンファイターの跳躍に合わせてフォトングライダーも上昇すると背部スラスターと合体し推進機が両腕へと変形し、中央部が胸部装甲となって尾翼が兜となり頭部に合体した。


「超光機人!!」


兜の合体に伴いカメラアイが光を放ち、迸るエネルギーを抑えるかの如く眼前で右拳を握り締める。


「フォトングラスト!!!!」


縁の名乗りと共に腕を払い、溢れんばかりのエネルギーがフォトングラストの機体を照らしあげる。

エネルギーの光が収まると同時に背部のスラスターを吹かし地面に降り立ったフォトングラストは、パーティクルバインドによる拘束から抜け出そうともがくクロノギアスと向かい合う様に降り立つ。


「さあ、ここからが本番だ!!」


縁の掛け声を合図にフォトングラストは一歩踏み出し、クロノギアスに向かって走り出した。


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