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超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第8節・新たなる戦い
68/150

第5話

前回のあらすじ


光平や白部によってゼシアと友好関係を結ぶよう言われた光。

昼食に誘いある程度会話をし、午後の体育では光や縁の身体能力に興味を持たれた。

「それじゃあ高坂君、また明日」

「おう、また明日な」


学校が終わり帰路に着いた光とゼシアが、それぞれの家のある場所に向かって分かれて行く。ゼシアが転校してきてから一週間、光はゼシアと帰路を共にして少しずつ距離を詰めていた。


「さぁてと、俺も帰りますか」


そう口にするとちらりと近場の電柱の影を光は一瞥すると、そこから一人のサングラスを掛けた男が現れる。

その男を目にした光は小さく頷くと、男も頷きゼシアの後を追って行く。彼はフォトンガードナーがゼシアに対してつけた監視で、学校外でのゼシアの監視を受け持っていた。

男がゼシアの後を追跡し、その後に続く様に他の監視者も追従して行く。その背を見送ると光は改めて帰路を歩き始める。


(ここ一週間、大した収穫は無かったな……)


家の帰路の道中にて、光は今までのゼシアとのやり取りを思い返しながら彼の素性について考えるが、特にこれといって正体が明らかになる様なものは無かった。

監視者からの報告も無く、本当に亡命してきたクロノイドが光平に対して転居の申請を忘れていたのでは無いかという考えが光の脳裏に過ると、ポッケに入れていた携帯が着信で震え出す。

光が携帯を取り出すと画面には光平の名前が映っており、光は思わず眉をひそめた。


「司令からって……一体何なんだ……?」


突然の連絡に訝しみつつも光は携帯を通話状態にし耳に宛て、光平からの通話に出る。


「もしもし、光君かい?」

「はい、どうしました?」

「君に伝えなければいけない事があるんだ。今すぐに此方に来れるかい?」


伝えなければいけない事があると言われ、光は思わず眉をピクリと跳ねさせる。辺りに人が居ないのを確認すると、念のため人に聞こえない様で小さな声で問い掛けた。


「……それ、基地でなければいけないやつですか?」

「ああ、それほど秘匿性の高い情報なんだ」


外では伝える粉との出来ない情報と聞き、光は眉を寄せると小さく頷きながら口を開く。


「了解しました。迎えの車は何処に停めてありますか?」

「ありがとう、車は何時もの所に停めてある」

「解りました、今から向かいます」


そう言うと光は通話を切り、携帯をポッケに仕舞うと走り始める。目的地は光の家の近くにあるコインパーキング、そこにたどり着くと幾度となく目にしたフォトンガードナーの迎えの車が停車していた。


「お疲れ様、早く乗りな」

「お疲れ様です、出発を頼みます」

「任された」


迎えの車を見つけるや光は運転手に対して挨拶もそこそこに車に乗り、運転手も光が乗り込んだと見るやすぐさま車を発進させる。

沈黙が車内を包む中車は滝音コーポレーションへと向かい、地下にある駐車場で光が降りるや一直線に基地の中へと入って行く。

そのまま光平の待つ司令部に向かい歩を進めていると、先に来ていた縁と久遠の二人と合流した。


「光、君も来たんだね」

「そりゃあ呼ばれたからな……お前達は俺が呼ばれた用件について、何か知ってるのか?」

「いいや、三人揃ってから話すと言われていてまだ聞いていない」


二人に何故呼ばれたのかを聞くが彼等も理由を知らないと聞き、それほどまでに秘匿する情報なのかと光は思わず固唾を呑む。


「……けれど、何となく察しはつくんだけどね……」

「縁?察しがつくってどういう事だよ」

「詳しくは司令に聞こうよ、目的地に着いたからね」


縁が呼び出された理由に気付いている様な素振りを見せて、光が理由を聞こうとするが司令部にたどり着いたから光平から聞く様に縁は促す。

釈然としない表情を浮かべつつも縁の推測はあくまで推測でしか無いと割り切り、詳しい話を光平から聞こうと光は司令部の扉を開けて中へと入って行く。その中では光平の他に博士が光達を出迎えた。


「三人共集まったな?」

「司令、俺達を集めて伝える事って、一体何なんですか?わざわざ集まって伝えるってのだけで、秘匿性が高いのは察しますけど……」


光が光平に向かって何故呼び足したのかを聞くと、光平は博士へ一瞥すると視線を向けられた博士が小さく頷いて手元の端末を操作し始める。

それに合わせて司令部のモニターの映像が、数多くの文字の羅列が並ぶ画面へも切り替わった。


「司令、これは一体……?」

「……地球に亡命してきたクロノイドの暫定的な名簿だ」


画面に映し出された羅列の正体を久遠が問うと、光平はそう答えて光と久遠は目を見開く。

ただ一人縁だけがやっぱりと言いたげな視線をモニター向けている中、光平が話を続ける。


「ゼシア・タキオライトという私の預かり知らないクロノイドの来訪を君達から聞き、君達に監視を頼んだ裏で私達も彼についての情報を探していた。この名簿はその集大成と言ってもいい」


光平の話に合わせて博士が端末を操作し、カーソルが文字の羅列──おそらく人名──の場所でクリックされるとウィンドウが現れ年齢、顔写真、住所と個人情報が映し出される。プライベートの事だと光はすぐに視線を逸らして光平へと視線を向けると、光平は博士にウィンドウを閉じる様に指示を出して改めて話を再開した。


「見ての通りこの名簿に記録されているクロノイド全員は、現住所や顔写真、地球への亡命して来た当時の写真も残っているんだ。そして……」


そこで言葉を区切ると光平は博士から端末を受け取り、名簿上部にある検索バーにゼシアの名前を入れて検索をかける。

それによってもたらされた結果に、光は目を見開いた。


「な……!?」


ゼシアの名前で検索がかけられた名簿は、名前が一(・・・・)切無い空白だった(・・・・・・・・)。そしてそれは、ある一つの事実を証明する事となる。


「ゼシア・タキオライトというクロノイドは、地球へ亡命して来たクロノイドの中に含まれていない……それが私達の調査で判明した事だ」

「いやいやいや!だったらゼシア(あいつ)は一体何者なんですか!?」


亡命してきたクロノイドであると告げられ、取り乱した光が光平に何者なのかを問うが、光平はそれに首を振るだけで何も答えない。

彼もゼシアが亡命してきたクロノイドでは無いという事実をつい先程知ったばかりであり、正体については一切判明していないのである。


「逆にこれまで常磐高校内で監視任務についていた君達に聞きたい……彼は一体どんな人物だい?」

「どんな人物か……?」


光平からの問い掛けは資料でしか彼を知らないからこそ聞かれたものであり、実際に接触している三人からゼシアがどの様な人物かを測る意図があった。

そう問い掛けられた三人はしばし沈黙すると、縁と久遠の二人が視線を光の方へと向ける。

二人の視線に晒され話さなければいけない空気に持ち込まれた光は二人を見て小さくマジか……と呟くと、溜め息をついて一週間の間に集めた情報を説明し出した。


「……普通に話す分には、ただのいい奴ですよ。何処かクラスメイトと一線を引いてますけど、転校したてならそんなものだと思いますし……あと、何処か育ちがいい感じがしますね」

「ふむ……他には?」


学校ではごく普通の少年として過ごしているのを伝えると、光平は他に何か無いのかを聞いて来る。

光平はそれ以外の情報を求め光に更に話す様に促し、光も他に何か無いか頭を捻り思い出そうとすると、一つある事を思い出して手を叩く。


「そういえば、俺や縁の身体能力に興味を持ってた様な……」

「あれは、僕達が他の人達より一線を画した身体能力を持っているからじゃないの?もし僕が普通の身体能力しか無い場合に、近場に光と同等の身体能力の持ち主がいたらそりゃあ興味を持つよ」

「だよなぁ……」


自分や縁の身体能力に興味を持つ様な素振りをしていた事を思い出して口にするが、あくまで珍しさから来るものだと縁から言われて光は肩を落とす。


「……どの様な理由であれ、彼が君達に興味を持っているのは確かなんだな?」

「はい」

「……彼について詳しい事が判明するまでは、今までの様に探りを入れながらも出来る限り今後は慎重に動く様にしてくれ……彼が野々原君の様に踏み込んで来る可能性がなきにしもあらずだからな」

「「「了解!」」」


光平から今後も監視を続ける様に言われた三人は敬礼すると光平達の前より去って行き、 光は久々に基地のトレーニングルームに向かって行った。







クロノイド制圧軍基地にてリーリスが執務机に座り、地球より送られて来た報告書へと目を通す。

地球へと向かった皇太子の動向を記録したそれへと目を通すリーリスは、その内容に眉を寄せて眉間に指を宛てていた。


「全く、大人しくしていてくれればいいものを……」

「失礼するぞ」


報告書の内容に苦虫を噛み潰した様な表情で悪態をつくと、室外からジェネルが入って来て執務机の前に立つ。


「なんだい?皇太子様の動向でも確認しに来たのかい?」

「……本題ではないが、聞けるのなら聞こう」


わざわざ執務室に顔を出した理由を当ててやろうと思いリーリスはそう言ったが、違った所か余計な仕事を増やしてしまい苦虫を噛み潰した様な表情をして舌打ちをする。

ジェネルはそれを聞かなかった事にして地球からの報告書へと目配りすると、リーリスは小さく溜め息をついてその内容を読み始めた。


「皇太子様は地球へと降り立った後、うちの諜報部隊の手を借りて潜伏先──日本とは異なる国の国籍を偽装取得。その後個人で現地調査に赴いている様だよ」

「そこまで行っていたか……だが、皇太子様の年齢からして調査出来る場所は限られているのではないか?」


初期段階に外部からの協力はあれど、それ以降は報告を除いて自らの手で行っている皇太子の働き振りにジェネルは下を巻くが、同時にどうしようもない状況を指摘する。

諜報部隊が拠点を置いている日本の成人年齢は二十歳、皇太子は成人年齢に達しておらず入れない施設がある事も考えれば何処かで躓くと考えていると、リーリスは小さく首を振った。


「あたしも最初はそう思っていたさ、けどね……これを見てごらん」


そう言うとリーリスは手持ちの資料の一つをジェネルへと渡す。ジェネルは突然渡された資料に困惑しつつも目を通すと、そこに記されていた記述に目を見開く。


「これは……!」

「皇太子様に外部からの監視がついているとの報告があがったのさ。地球であたし達クロノイドを監視する組織なんて、一つしか心当たりが無いよねぇ?」

「フォトンガードナーか……」


予想外の所からフォトンガードナーの手掛かりを見つけて唸り声をあげるジェネルに、リーリスは小さく溜め息をつく。彼女も初めてその報告を受けた時は目を見張っていた。


「まさかのアクシデントでここまで事が進むなんて、欠片も思ってもなかったさね」

「うむ……皇太子様が狙われている以上、いち早くフォトンガードナーを殲滅せねば……!」


皇太子の独断行動で大混乱が引き起こされたが、その結果フォトンガードナーに関する手掛かりを手に入れる事が出来てリーリスはニヤリと笑みを浮かべ、ジェネルは皇太子がフォトンガードナーの監視下に置かれている現状を打破するために地球侵攻作戦への熱意を新たにする。


「……それで、気合い入れている所悪いけど、どうするかは決めているのかい?」

「何?」

「地球には皇太子様がいらっしゃるんだろう?そんな中で今までみたいに無様を晒すつもりじゃあ無いだろうね?」


一度も侵攻作戦が上手くいって無い事を口にするリーリスに、ジェネルは小さく舌打ちを打つも、すぐに咳払いをして口を開く。


「もちろん既に人選も終わり(・・・・・・)、明日には侵攻作戦を実行できる状態だ」


そう言うとジェネルは自らの端末を取り出すと、一つの資料を画面に映して端末ごとリーリスへと渡す。


「へぇ……とうとう本腰をいれ始めたって訳かい」

「業腹だが、お前が回収してきた時空転移ゲート発生装置の残骸……それを用いた時空転移ゲートの改修で取れる様になったのだ」


資料を見て面白いものを見る様な視線を向けるリーリスにジェネルは背を向けると、彼女の執務室に張り出された一枚の写真──ナイフやダーツにより刺された痕跡が数多くあるフォトングラストの写真へと鋭い目を向け、腰からナイフを抜き放つと写真に向かって投げつけた。


「フォトングラスト……貴様に我等クロノイド制圧軍の力を刻み込んでくれようぞ……!」


投げたナイフが写真を貫き、壁に突き刺さるのを鋭い目で睨み付けるジェネルを他所に、リーリスは再び資料へと目を向ける。

そこには今まで出撃していったクロノギアスとは、大きく違う姿をしたクロノギアスの設計図が映し出されていた。




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