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超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第8節・新たなる戦い
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第3話

前回のあらすじ


転校生として常磐高校に現れたクロノイド、ゼシア。

白部の暴走を食い止めた光達は、彼について詳しく知るために地球へ亡命したクロノイドについて知る光平へと確認を取ろうとする。

「クロノイドの転校生……か……」


フォトンガードナー作戦司令部にて、光達から常磐高校にクロノイドの転校生が来た事を聞いた光平は目を見開くと、何処か困惑した様子で顎に手を宛てて考え込む。

その姿は今回の事を何も知らなかったと物語っており、光達も僅かに表情を歪める。


「指令にも心当たりが無いんですか……」

「一応久遠の言う通り亡命してきたクロノイドの名簿は私や一部の信頼の置ける人間が預かっていてね、彼等は引っ越しとか生活環境が大きく変わる事態が起きるとなると、私達に先んじて連絡する義務があるんだ」

「身の安全のためにですね?」

「そうだ、もちろん生活環境が変わる事態の中には転校だって含まれている……私以外の担当に連絡を入れたか……?」


常磐高校に転校してきたのにも関わらず連絡が来なかった事に光平は首を傾げると一つ可能性が浮かびボソボソと呟く。

そんな彼の様子を見て光達は取り残されるも、ある程度考えが纏まったのか外へと意識を向ける余裕を取り戻した光平が三人の事を思い出して咳払いをした。


「一応念のために聞いておくけど、彼は学校ではどの様に過ごしているんだい?」

「どの様にって言われてもなぁ……」


光平にゼシアが学校でどの様な生活をしているのか聞かれるが、まだ一日も経っておらず詳しく知らない三人は眉間に皺を寄せて言葉に詰まる。

そんな三人の様子を見て自分の質問も時期尚早だと気付いた光平は、再び咳払いをすると三人に向かって口を開く。


「……ひとまず、君達には件の彼が学校でどの様な生活を送っているのか監視してもらいたい。私達の方でも彼について調べてみよう」

「ありがとうございます!」


光平からの協力を得れた事に光は笑みを浮かべて礼を言うと、光平は大した事では無いと言いたげに手を振り三人に司令部から出る様促す。

三人は光平に対して一礼すると司令部から出て、トレーニングルームに向かって歩みを進めた。


「監視任務かぁ~……柄じゃねぇんだけどなぁ~……」

「文句を言うな、大事な任務だ」


トレーニングルームへと向かう道中で伸びをしながら光は力無くそう弱音を零と、それに久遠が眉を跳ねあがらせると、光に釘を刺す様に注意をする。

慣れない任務をさせられる事に光はあからさまにやる気が目減りしており、そんな彼を見て久遠は眉間を指で揉み、縁は苦笑いを浮かべてそんな二人を見て、徐に光へと声を掛けた。


「けど、一番彼に近付けるのは君だけど?」

「あ?どうしてだよ」


一番近付ける人物として自分の名前を出されて光は目をパチクリさせるが、縁はその根拠を提示するかの様に指を立てながら説明する。


「君の事だから机一式を運ぶ際にある程度話をしているんじゃないかな?その掴みはどうだった?」

「机一式を運ぶ際の話……ああ、俺が軽々と運んでた事に、鍛えてるんだなって興味を持たれたな」

「それで?君は何て答えたんだい?」

「それに俺は体幹がしっかりしてるお前も鍛えてるんだろって答えたな。それのせいかプロのアスリートか何かと勘違いされたけど……」


あくまで荷物を運ぶ際の他愛の無い会話、けれどそれこそが今は一番重要だった。


「十分だよ、今の話だけで君は彼とある程度会話出来る関係が作れている」

「……そういうもんか?」

「そういうものだよ」


光としては特別な事はした覚えは無い、強いて言えば彼が転校して来る前にアニメのお約束を思い浮かべ、変に警戒していたのを解いたからだろうか。

それを口にしたら十中八九変な目で見られると思い、口にはしないが特別な事はしてないと首を傾げる。


「だから、彼の対処は君に任せたいんだ。一応僕達もバックアップには入るけど、メインは君が行うんだ」


縁にそう言われながら肩を叩かれ、光は後頭部を掻いて目を伏せた。







クロノイド制圧軍基地内にて、ジェネルが書類を片手に廊下を歩く。その顔には普段以上に険しい色が浮かんでいる。

そんな彼の背後を何処か不服げな表情でリーリスが続き、しばらく歩き続けているとジェネルが立ち止まりリーリスに背を向けたまま口を開いた。


「リーリス、あの件は本当なのか」

「この件に関してあたしが嘘つくメリットがあるのかい?むしろ弱みを見せてんだからね」


ジェネルの問い掛けにリーリスはばつの悪そうな表情で吐き捨てながら言う。それを聞いてジェネルの表情は一層険しくなる。


「皇太子様が自ら地球へと降り立ったなど……皇帝陛下のお耳に入ったらどうなる事か……」


リーリスより聞かされた用件──クロノーア皇帝の子息である皇太子が、前の侵攻の際に開いた時空転移ゲートを通って地球へと向かったという情報を聞き、ジェネルはその事がクロノーア皇帝の耳に入らないかを危惧する。しかしそんな彼の懸念を手遅れだと言いたげに、リーリスは不機嫌な表情で鼻を鳴らしながら口を開いた。


「悪いけどそれは既に手遅れさね、皇太子様が地球へ向かったのが判明したその日の内に、あたしは謁見して報告したからね」

「っ!?まさかあの時の謁見願いはそのためだと!?」


既にクロノーア皇帝に話が行っていた事、そしてそのタイミングに心当たりがあったジェネルは目を見開いてリーリスに問うと、リーリスは目を逸らして舌打ちし、それだけで彼の推測が当たっているのだと理解させられる。


「なんという事だ……!先の侵攻作戦は俺が主導……!皇帝陛下にどの様懲罰を受けるか……!」


皇太子が地球に向かったとされる際に行った侵攻作戦を指揮していたジェネルは自らのせいで皇太子が地球に向かったのではないかと考え、クロノーア皇帝からの罰に震え僅かによろける。普段は見せないジェネルの弱みを見てもリーリスは嘲笑う様な事はせず、苦虫を噛み潰した様な表情で口を開いた。


「その心配はないよ。皇帝陛下は、皇太子様が地球に向かった事に対して何も思ってなかったよ」


そう吐き捨てる様に言うリーリスの脳裏には、皇太子が地球へと向かった事を報告しに行った時の謁見の間での出来事が思い返される。

偶然地球へと送った諜報部隊が皇太子の地球での活動をアシストしていると聞き、冷や汗を流しながら報告しに行った際には彼女は処刑される事すら視野に入っていた。しかし返ってきた言葉に思わず呆けて無様を晒したのだ。


「は……?今何と仰いましたか……?」

「捨て置け、と言ったのだ」


自らの息子、それが現在侵攻している土地に居ると言うのに心配する素振りを見せないクロノーア皇帝にリーリスは目を丸くする。そんな彼女の様子を知ってか知らずか、クロノーア皇帝は言葉を続ける。


「あやつが自ら出向いたという事は、相応の考えがあっての事であろう。もしそこで死ぬ様な事があれば、それまでの事だったというだけだ」

「し……しかし、皇太子様は……」

「くどい、何度も言わせる気か?」

「い、いえ!!滅相もございません!!」

「ならば下がれ」


息子が生きていようが死んでいようが関心の無いクロノーア皇帝に、有無を言わさず下がらされたリーリスは、呆然とした様子で一人自らの執務室へと戻って行り、その後何処からか皇太子が地球に向かったという情報が漏れ、こうも噂になってしまっていた。


「地球で皇太子様を迎え入れたのはお前の下のものだろう!お前の差し金では無いのか!?」

「そんな訳があるかい!皇太子様はあたしより上位の回線で独自にコンタクトを取ってたんだよ!しかもご丁寧にあたしへ報告しない様釘を刺してな!」


皇太子を諜報部隊が保護した旨を聞いてジェネルから皇太子の地球行きに一枚噛んでいるとリーリスは疑われるが、心当たりが無いと断言し自らの無罪も主張する。

リーリスも今回の件は定期連絡の後に、担当の諜報員がリーリスとの通信を切り忘れるという致命的なミスを行ってしまったが故に発覚したのだ。その後の通信で烈火の如く地球で活動する部隊に怒鳴り散らしたのは記憶に新しい。

そんな風に互いの間を険悪な雰囲気が包み込むが、しばらくして頭も冷めたのかお互いに溜め息をついて再び歩き出す。


「それで、どうすんだい?あたしはシュタインの爺さんが謹慎中の今、侵攻作戦を行うためのクロノギアスが用意出来ない。侵攻作戦を進められるのはあんただけだが、地球に皇太子様が居る状況で進めるのかい?」

「……進める以外に無かろう。地球侵攻とその妨害を行うフォトングラストの討伐は皇帝陛下直々の命だ、余程の事で無ければそれを止める事など出来ん」

「……国の皇太子が戦場に居るのは、余程の事ではなくて?」

「あのお方が自ら向かったのであれば、あのお方なりの考えがあるのだろう。それで亡くなろうものなら、皇帝陛下はそれまでの事だと割り切るであろうよ」

「……よくご存じで」


侵攻作戦を行うかの問いに、クロノーア皇帝の考えそのままを行って侵攻を行おうとするジェネルにリーリスは思わず舌打ちをする。

その舌打ちが聞こえていたのかいなかったのか定かではないが、ジェネルは足を止めて再びリーリスへと話し掛けた。


「リーリス」

「なんだい?」

「諜報部隊に皇太子様の様子をしっかり監視しておく様にきつく言っておけ。皇帝陛下はは割りきれるであろうが、他の民達が割り切れると言われれば首を傾げざるを得ない」

「……あいよ」


皇太子が地球で死んでもそれまでの事と口にした割に、ジェネルは地球での皇太子の動向を気に掛ける。

それが皇太子の地球での死を割り切れない民達の事を考えたものだと知り、ジェネルの命令とあって不精不精だがリーリスは頷いた。







ゼシアが常磐高校に転校して来た翌日、光を初めとしたジャナ部のメンバーは朝早くから部室へと集まっていた。彼等が集まっているのは昨夜に白部より転校生──ゼシアに対する取材について早朝に話がしたいとメッセージが送られ、それに了承したからである。


「……さて、転校生ことゼシア・タキオライトについてだが……君達何か隠してないかね?」


全員を呼び出し、昨日のヒートアップもだいぶ落ち着いた白部がそう言って光と縁、久遠の三人を指差すと、花音が首を傾げながら手をあげる。


「えっと部長……何を根拠にそんな事を……?」

「部室についてから、高坂部員が何処かソワソワしたり有沢部員や滝音部員の方をチラチラと見ているからだ」

「っ!?」


白部に指摘されて光がギクリと体を固まらせ、久遠から鋭い視線を向けられ縁からは苦笑いを向けられる。三人の反応で自分の指摘は間違ってなかったと笑みを浮かべた白部は、早速三人へと問い掛けた。


「さぁて……君達が転校生について隠している事を話してもらおうか……」

「「「…………」」」


白部に追求を受けるが光達は口を閉じ、断じて話さないといった態度を取る。白部も負けじと三人に詰め寄るが三人は決して表情を変える様な事はせずに白部の圧に耐え抜いて行く。


「……なるほど、言いたくない理由がない理由がある訳か……」


白部は頑なに話そうとしない三人の様子を見て、決して話してはいけないものなのだと気付くと、そこからどの様な理由なのかを推察せんと顎に手を宛てて考え込む。

急に黙った白部を目にして気味が悪くなった花音は、徐に白部の肩を掴んで体を揺さぶり意識を引き戻した。


「部長、急に黙らないでくださいよ」

「っとすまん……少し考え事をしていた」


花音に意識を引き戻された白部はそう言うと咳払いをし、改めて光達へと視線を向ける。

また何か詰め寄られるのではないかと三人が身構えるのを他所に、白部は部室内を右往左往しながら話し始めた。


「記事の方針については変えはしない、彼についての記事で行きたいと思う。けれど昨日の様な無理矢理な取材は流石に無しだ、そのためにまずは彼から許可を取らなければならない」

「取る前に暴走したんじゃないですか……」


一丁前に許可を取って取材すべきだと口にする白部に対して花音がボソリと文句を言うが、白部はそれを無視して話を続ける。


「だが許可を取るにしてもまずは信頼関係を築かなければならない……しかし俺は初日で大ポカをやらかした以上、俺はマイナスからのスタートと言っていいだろう」

「頭冷えてればちゃんと考えてるんだね……昨日が嘘みたい」

「頭冷えてればな……でも裏がこええよ……」


取材のために信頼関係を築く事を口にする縁を見て、昨日の狂乱ぶりが嘘の様に思えると言う縁に、光は溜め息混じりに突っ込みを入れるが、光は白部の静けさに自分達がフォトンガードナーに所属していた事を暴かれた時の様な恐ろしさを感じてしまい、思わず体を震わす。


「となると残るは、二年生である君達だけになるんだ。幸い君達は件の彼と同じクラスだから、いやがおうでも関わるだろう。そこで、だ……」


白部はそこで言葉を区切ると光の元へと徐に向かい、急に近寄って来た白部に光が仰け反っていると彼の机に勢いよく手をついた。


「高坂部員!君にはゼシア・タキオライトとの友好関係を築く役割を頼みたいんだ!残る三人は、彼のフォローを頼む!」

「は……はあっ!?」


自分が主体となってゼシアと友好関係を築く様に言われて、光は驚きの声をあげて目を見開く。


「部長!何で光が主体なんですか!?私達でもよかったでしょうに!?」


驚愕しているのは光だけでなく、花音も目を丸くしながら白部へと理由を問い掛けると白部は彼女の方を振り向いて答える。


「まずは水代部員、君は委員会の仕事がある以上急な用事が入る可能性があるだろう?それでまず除外だ。有沢部員もその性格上、色々な人達に頼られ何処かへと引っ張られる可能性があり除外。水代部員に至っては論外だ」

「た、確かに急な委員会の仕事が入ったりしますけど……!」

「ジャナ部に入ってから頼られる事は少なくなりはしましたけど、未だに多少は頼られますしね……」

「いや三人共久遠に何かフォロー入れてあげて!一人論外って言われごばあっ!!」


白部が述べた三人を主体に出来ない理由を聞いて、花音と縁は自分の理由に納得するが久遠だけ酷い扱いを受け黒いオーラを放ち、光が慌ててフォローしようとするも却って怒りを煽る事となって殴り倒される。

光を殴り倒してふんっと鼻息を鳴らす久遠を目にし花音は呆れた様な溜め息を光に向かって吐き、縁は二人のやり取りに苦笑いを浮かべていると白部が光の方へと顔を向けて口を開く。


「……とまあ、以上の理由より君位しか対応出来る人間が居ないんだ。先も言った様に三人にはサポートを頼むから、頼んだぞ?」

「う……うっす……」


白部からそう頼まれた光はヨロヨロと力無く起き上がりながら、フォトンガードナーで光平から出された命令を思い出し平行して行うしか無いと悟り、力無く頷いた。


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