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超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第6節・守るべき日々
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第6話

前回のあらすじ


勝負を行う屋台五つの許可を得れ喜ぶ白部だが、同時に残る期間に行う予定が無くなり、ひとまず置いておく事にする。

その裏では時空転移ゲートの改修を勤しむシュタインに、ジェネルがクロノギアス転移のために時空転移ゲートの使用許可を取っていた。

日が沈み月明かりが街並みを照らす時間帯、滝音コーポレーション本社の位置する山の下に建ち並ぶ住宅街の内の一つ、光平と久遠の家にて二人が食卓にて夕食を取っていた。


「それで、許可は取れたのかい?」


テーブルに載せられたサラダに口をつけながら、久遠達の作る新聞での企画で行う勝負の許可を取れたのかを聞く光平。

久遠は光平と同様にサラダに口をつけながら昼間にあった出来事を思い返しながらそれに答える。


「無事に全部の許可が取れましたよ。部長は今日中に許可が全部取れるとは思って無かったみたいですけど……」

「はははっ、そんな顔をしないで久遠。これは野々原君の方が正しいよ」


今日中に許可を取り終える事を想定していなかった白部を思い出して久遠は顔をしかめるが、光平はそれを笑って受け流す所か彼の方が正しいと言う。


「短時間の貸し切りを五店舗分頼むんだ、断られてもおかしくないし、多分今日は一ヶ所でも許可が取れればよかったんじゃないかい?」

「……似た様な事を部長も言ってました。普通は時間が掛かるものなんですね……」


白部と似た様な事を言う光平に、普通はそうなのだと知った久遠は今日中に許可が集まった事がどれだけ稀有な事か実感する。

そんな様子の久遠にら光平がある事を思い出して話し掛けた。


「そういえば久遠、君はタキネ祭りに来て行く服装は決めたのかい?」

「服装……普通に私服では駄目なんですか?」


タキネ祭りに気て行く服について問い掛けると、久遠はキョトンとして首を傾げる。それを聞いた光平は思わず目を覆ってしまう。


「あちゃー……そうかー……」

「……恥ずかしい事ですが、私は生まれてこの方祭りに行った事はありません。どんな格好をして行けばいいのか解らないし、どんな事をするのかすら解らないんです……」

「あ~……そういえばそうだった……」


目を覆う光平を目にして久遠は体を縮こまらせながらそう告白し、それを聞いた光平は更に肩を落とす。

久遠は出自が特異なため余り外で過ごす事は無く、子供の頃に祭りといった人が多く集まる場所に行った事が今まで一度も無かった。保護者である光平も仕事が忙しく祭りに連れて行く余裕を作り出せず、仕事がようやく安定し始めた時には久遠は祭りに興味を持つ歳を過ぎていた。

まともに子供らしい事をさせてやれなかった事に光平が頭を抱えていると、久遠は目を逸らし体をもじもじはせながら遠慮がちに視線を向け、小さく呟いた。


「も……もし、何か着て行くものがあるとしたら……お、教えてくれませんか……?」

「────」


久遠の珍しい──否、初めてのおねだりに光平は抱えていた頭を勢いよくあげると目を見開いて久遠を見る。


「……ごめんなさい、今の話は無かった事に──」

「いいよ!幾らでも付き合うから!」

「きゃっ!?」


光平の視線に晒されて恥ずかしくなった久遠は目を逸らし、先程の言葉を無かった事にしようとするが、初めての久遠からのおねだりにテンションが振り切った光平は椅子を鳴らして立ち上がると久遠の手を取りそう言う。

突然手を取られてそう言われた久遠は可愛らしい悲鳴をあげるが、光平はそれに気付かずに手を離して笑みを浮かべながら食卓周りを歩き始めた。


「祭りと言えば浴衣だな!浴衣──というより着物もまともに着させる事が出来なかったなぁ……よし!今からでもとっておきのを用意しよう!」

「あ、あの……」

「久遠に似合う浴衣はどんなんだろうなぁ……祭りなんたから明るいのがいいよね!赤……は少し似合わないかな?黄色か青、その辺りかな……」

(き、聞いてない……)

「せっかくの浴衣なら小物も必要だよね!巾着もちゃんと浴衣や久遠に合わせたものにしないと……」

「……浴衣、か……」


久遠にどんな浴衣を着せるかを想像し百面相しながら食卓周りを歩き続ける光平に久遠は呼び掛けるも、妄想の中にどっぷりと浸かった光平は聞く耳を持たずにどんな浴衣が似合うのかを口にしながら考える。

そんな光平の様子を見て久遠は小さく溜め息をつくも、自分が雑誌の表紙に載っている様な浴衣を来ている姿を想像する。浴衣を纏い人混みを縫い、その先で待つ四人の姿を想像し──光の姿のみを思い浮かべた。


「──っ!げほっげほっ!?」

「だ、大丈夫かい!?」


何故か光の姿を真っ先に思い浮かべた事に思わずむせてしまい、久遠は慌てて水を飲み正気に戻った光平が久遠の背を擦る。ある程度落ち着くと久遠は深呼吸をして呼吸を整え、光平に向かって大丈夫だと告げる様に頷く。


「ええ、心配かけました……」

「そっか、よかったぁ……」


何事も無かった事に安堵の息を吐くと、光平は再び久遠に着せる浴衣について妄想し始める。それを見て久遠は再び溜め息をつくと、先程の想像を思い返す。


(何で、真っ先に光が出てきたんだ……)


あくまでジャナ部の四人を想像したのにも関わらず、真っ先に光が思い浮かんだ事に頭を抱える。

まるで自分が光に対して入れ込んでいる様に思えてしまい、それを否定するように久遠は頭を振ると、一旦忘れようと食事を再開してそちらに集中し始めた。

その後久遠が夕食を食べ終わっても光平は妄想を続けており、溜め息をついた久遠は一人先に部屋へと戻る。光平が正気に戻ったのは、部屋へと戻る久遠とすれ違い夕食が終わったと認識した家政婦が未だに妄想に入り浸っている光平を発見したからだった。






時を同じくして久遠達の住まう場所とは異なる住宅地にて、花音は自らの家の押入れを漁ってあるものを探していた。


「お母さーん!浴衣何処にやったっけー!」

「押入れの奥に仕舞ってた筈だけど、見つからないー?」


浴衣を探して押入れを漁っていた花音は、母親に在処を聞くと押入れの奥に仕舞ってあると返されて、溜め息をつきながら再び押入れの奥を漁り始める。

梅雨が明けて夏へと変わり行く季節の中、押入れを漁る花音は額に汗を浮かべつつも漁る事を止めずにどんどん中の荷物を外へと出して行く。


「っ、やっと見つけたー!」


そうして奥までたどり着いた花音の前に目的の浴衣ケースが現れ、花音はそれを満面の笑みを浮かべて手にすると押入れの中から出て来て浴衣の状態を確かめんとケースを開ける。

中に入っていたのは陽光を思わす薄い黄色に牡丹の花が彩られた浴衣、花音が高校に入学した際に祖父母から買ってもらった一品だった。

花音は浴衣を手に取り大きく広げ、収納している間に何かしらの欠損等が無い事を確かめると、小さく頷いて立ちあがる。


「うん、虫食いとかは無いわね」


そう言って服の上から軽く浴衣を羽織り、部屋の脇に置かれた姿見で浴衣を纏った姿を確かめる。あくまで服の上から羽織っただけで、腰帯等はしていない姿だが浴衣は花音の体をしっかりと彩る。そんな姿を見て花音は小さく頷くと羽織っていた浴衣を脱ぎ、畳んで再びケースへと仕舞う。


「大きさも問題無し……これなら大丈夫ね」


ケースの蓋を閉じてそう頷くと、背後から誰かが同意する様に頷く気配を感じ取る。振り返るとそこでは自身の母親が何か訳知り顔で腕を組んで頷いていた。


「お母さん、何やってるの……?」

「いやぁ~、遂に我が娘も動き出してくれたか~って思ってね?」


花音の問い掛けに母親はそう言うと、浴衣を探すために外に出した荷物を片付け始める。花音もケースを置いて片付けを手伝おうとすると、母親が手を突き出して待ったを掛ける。


「花音!こういうのはお母さんに任せて、貴女は高坂君とのデートプランを考えときなさい!」


そう言うと彼女は再び片付けを再開し、待ったを掛けられた花音はどういう理由で待ったを掛けられたのかを思い返すと、小さく溜め息をついた。


「だから、私と高坂はそんなんじゃないって。それに、タキネ祭りもデートじゃなくて部活よ部活」


あくまで光とは付き合いの長いクラスメイト、今回のタキネ祭りで巡るのも部活だと言う。特にタキネ祭りでは別に光と花音が二人っきりで巡る訳ではない。

けれど母親はそんな事を耳を貸さずに片付けを行う手を止め、花音の肩を掴むと顔を近づけて口を開く。


「そんなんじゃ高坂君盗られるわよ!ただでさえ新しい子が近くに来たんだから!」


母親が言う新しい子が久遠の事を指しているのは既に知っている。前に彼女が光と久遠の二人が買い出しに行っているのを目撃し、その事について問い詰められた事を花音は思い出しながら首を振る。


「滝音さんはそういう人じゃないわよ。何処か私達とは一線を引いてるし、あんまり人と関わる様な人じゃないもの」

「でも、高坂君やあと一人の男の子とは仲良さそうにしてたじゃない。もしかして、サークルクラッシャーってやつ?」

「そんなんじゃないわよ!」


花音の言葉を光と縁の二人とのやり取りを元に母親が訝しみ、久遠に対してとんでもない評価を下したのを聞いて花音は思わず怒鳴ってしまう。


「じゃあ、どうしてあの三人は仲が良さそうなの?一線引いてるって割にはあの子も普通に混ざってるし」

「それは……」


一線を引くと言った久遠が普通に混じっている事に首を傾げる母親に、花音は思わず言葉に詰まる。

三人はフォトングラストに乗って戦う仲間であるが故の繋がりなのだが、それは一般には明かしてはいけない情報だった。


「……その反応からして、あの三人には何かあるのね」

「っ!……でも、それは疚しいものじゃないの!」


花音の反応からして何か言えない事情があると察した母親がそう言うと、バレたと気付いた花音がフォローを入れるがそれに母親は頷く。


「それは判ってるわよ、そうじゃなきゃ貴女は庇おうとしないもの。でもね……」


そこで母親は言葉を区切ると花音の肩に手を乗せて目線を合わせ、話を再開する。


「何も出来ないまま置いていかれるよりは、思いっ切りぶつかった方が気が楽なのよ」

「お母さん……」


母親の話を聞いた花音はそうとしか呟けなかった。二人の間を気まずい空気が流れる中、表情を崩した母親が花音の肩から手を離すと、改めて散らばる荷物へと目を向けた。


「さ!後はお母さんに任せて、貴女は貴女がやりたい事に関して考えなさい!」

「お母さん……うん、ありがとう」


そう花音に言うや母親は片付けを再開する。その背に目を向けた花音は小さく微笑んで頷くと、自らの部屋へと戻って行った。







各々がタキネ祭りに備えて準備をして日にちが過ぎ、タキネ祭りが翌日に控えられると、常磐高校ではタキネ祭りの話題で持ちきりとなっていた。

光達のクラスでも話題となっており、教室内のあちこちで誰と行くのかを話しては女子達からは黄色い悲鳴があがり、男子達からは肩を組む様なやり取りをしていれば怨嗟を込めて幸せそうに笑っていた男子を囲んで叩く等青春の一幕が繰り広げられている。

そんな中で光がホームルームの準備をしていると縁と久遠、花音の三人が教室へと入って来た。


「水代、縁、久遠、おはようさん」

「おはよう、高坂」

「光、おはよう」


挨拶を行った光に対して花音と縁の二人はちゃんと返事を返すが、久遠のみ何故か返事を返さない。


「久遠……?久遠ー?」

「……はっ!?……お、おはよう、光……」


半分寝掛かっていた久遠に光が顔を近付けて呼び掛けると、目が覚めた久遠は眼前にあった光の顔から飛び退き、どんな状態なのかすぐに察して挨拶を返す。


「どうしたんだお前?」

「済まない……少し、寝不足でな……ふぁ……」


光がどうしたのか聞くと、寝不足と答えて久遠は小さく欠伸をする。昨日の事を思い出すも、特に何も無かったと思うと改めて光は久遠へと聞く。


「寝不足って、一体何やってんだよ。少なくともあれは明日まで休みの筈だろ?」


フォトンガードナーとしての職務は、タキネ祭りが終わるまで休みをもらっていると本人の口から語られている。それ以外に何か寝不足になる要素があったのか首を傾げていると、欠伸で目尻に涙を浮かべたままの久遠がそれに答える。


「タキネ祭りに着て行く服の事を話したらな……昨日は届いた服の着せ替え人形にされてた……」


げっそりとした様子でそう言う久遠に、光達は頬をひきつらせる。光と花音は何かしら変な事を久遠がしないか光平が前もって教えてくれなかい考えていたら予想以上の事をやっていたと知り、縁は光平の久遠に対する猫可愛がりに思わず顔をひきつらせてしまう。

四人がそんなやり取りをしていると、教室内で話していたクラスメイト達の視線が四人へと集まって行く。視線に気付いた光と縁が周りを見回すと、クラスメイト達が一斉に四人へと──正確には光と縁へと──押し寄せて来た。


「うわっ!?」

「おわっ!?何だ!?」


突然の人混みに驚きの声をあげる二人。そんな二人に畳み掛ける様にクラスメイト達は口を開く。


「次の勝負、絶対見に行くからな!」「有沢君、また勝ってよね!」「今度は勝つんだぞ!高坂!」


それは明日行われる五番勝負に関する言葉だった。一人は勝負の場に行くといい、もう一人は縁の勝利を願い、もう一人は光の勝利を願うという、二人が勝負を行う際によく見られる光景が目の前にあった。


「ちょ、ちょっとこれって……!」

「五番勝負について、だろうな……」

「おかしいわよ、私達それに関しては何も言ってないのに……!」


人混みに弾き飛ばされた花音と久遠はこの騒ぎの原因について考察すると、何処からこの話が漏れたのかを考える。この件は事前告知しておらず、昨日までは一切バレていなかったのだ。それが急にこんな事になってしまい、花音は思わず自分達よりも先に教室へと来ていたジャナ部の人間である光に向かって呼び掛けた。


「高坂!もしかして漏らした!?」

「漏らしてねぇよ!だから混乱してんだろ!むしろ誰だ嗅ぎ付けた奴!」


五番勝負の情報を光が漏らしたのかと問うと、光はも揉みくちゃにされながらも反論し、この事態を引き起こした元凶を探さんと声をあげる。

するとそれに、人混みから離れた位置で様子を見ていた男子が手をあげた。


「俺の親父が屋台出すんだけど、その時に射的ですげぇ腕前を見せた奴が居るって言われて、常磐高の制服を着てたって言うからもしかして……って思ってさ」

「お、お前───っ!」


出店者の子供という予想外の経路でバレた事に光は思わず声をあげ、そのままクラスメイト達に縁諸とも揉みくちゃにされて行く。

その騒ぎはホームルームの予鈴が鳴っても続き、担任の教師がやって来るまで続いた。

今更の話なんですけどこういうスーパーロボット物のジャンルって空想科学〔SF〕でよかったんでしょうかね?


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