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超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第6節・守るべき日々
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第4話

前回のあらすじ


国連からの使者、シュリウスにより持ち込まれた残骸がフォトンファイターの格納庫へと運び込まれる。

光は帰る最中に久遠の口からシュリウスとフォトンファイターの因縁を説明され、自分達が共に戦う機体の恐ろしさを実感した。

国連から残骸の解析を承った翌日の放課後、光達はタキネ祭りの行われる滝音中央公園に集まっていた。


「よーし!会場に着いたぞ!」

「去年も見て思ったけど、祭り前にしては人は多いもんだな」

「滝音市一番のお祭りだからね。皆準備に夢中なのよ」


公園について共に来た四人の方を振り返る白部を他所に光は周囲に居る準備している人達を目にして感嘆の声をあげ、花音がそれに同意する。

その二人の横では久遠が携帯を耳に宛てて誰かと電話しており、唯一白部の事を見ていた縁だけが苦笑いを返す。


「むぅ……ノリが悪いな……」

「多分反応に慣れたんですよ……久遠、電話はどう?」


いまいち予想と違った反応に不貞腐れる白部をフォローしつつ、久遠の電話に耳を傾ける縁。そんな彼に久遠が何度か頷くと携帯を切る。


「どうだった?外出許可は貰えたかね?」


久遠が先程から掛けていた電話が、光平にタキネ祭りの取材を行うための休みを貰えるかどうかの電話だと知っている白部は結果がどうなったのかを問い掛ける。

その問い掛けに久遠は携帯をポッケへと仕舞い改めて白部へと向き直ると、困惑した表情だったがはっきりと頷いた。


「ああ、休みは貰えた……が、それ所かタキネ祭りが終わるまで休みが貰えてしまった……」

「なんと!」


予想以上の休みを貰えた事を困惑する久遠に対し、白部は朗報だと言わんばかりに目を輝かせて手を叩く。

そんな二人のやり取りを耳にしていた三人も、久遠に対して言葉を掛けて来る。


「滝音さん、よかったじゃない!」

「そうだよ、これで此方の事に集中できるね」

「働き詰めだから休めってことだろ」


花音は休みが取れた事を純粋に喜び、縁はジャナ部の活動に注力出来ると言い放つ。対する光は久遠のフォトンガードナーでの働き振りを思い返し、少し位は休ませたいと思っていた光平の気遣いだと思い小さく頷く。

そんな三人の反応に久遠は更に困惑した表情を浮かべると、光と縁の方へと視線を向けて口を開いた。


「しかも私だけでなく光と縁の分の休みも出すとの事だ……ここまで来ると不安になるのだが……」

「マジで!?」


久遠の口から光達も休みが出されていた事を知り光は思わず目を丸くし、そんな彼とは反対に縁は苦笑いを浮かべながらも推測を口にする。


「僕達も働き詰めだったから、纏めて出したのかな?」

「あー……そう考えるとちょっと納得」


縁の推測を聞いて驚いていた光が、納得のいったと言わんばかりに腕を組んで頷く。

少なくとも光がフォトンガードナーに入って以来、毎日トレーニングや座学を行っている。職員達は時折姿を見ない日がある以上休んでいると考えると、光達はブラック企業も真っ青な日数働いている事となる(先の光来島でのバカンスは息抜きか仕事かどちらに含まれるのか判らないが……)


「まあ、どの様な理由であれ休みを貰えたのは事実だ!よし、行くぞ!有沢部員!滝音部員!」

「あ、はい!」

「はぁ……了解」


理由はともかく取材を行えると聞いた白部はそう二人へと声を掛けると、自分達が担当する区画の方に向かって歩いて行き、その後を二人が追い掛けて行く。

残された光と花音はその背中を見送りながら、互いに顔を見合せて苦笑いを浮かべた。


「相変わらず勢いの人だな」

「そこが部長らしいんだけどね」

「そうだな……さて、俺達も行くか!」

「ええ!」


白部達を見送った二人はそう頷き合うと、彼等とは反対側へと向かって歩き始める。

公園を出た先には道路一帯に骨組みだけの屋台や既にシートも掛けた屋台が立ち並んでおり、タキネ祭りに向かって準備を行っているのが窺える。


「そういや、こっち側にはどんな店があるんだっけ?」

「ええっと……ちょっと待って……」


光の問いに花音は白部の持って来た屋台の地図をコピーしたものを取り出し、自分達が担当する区画内にある屋台を調べる。


「こっちは食べ物関係が多いわね……あ、でも遊べるやつも幾つかあるわ」

「どんなのだ?」

「ええっと……くじ引き、掴み取り、射的……後はヨーヨーすくい」

「意外と少ないな……そん中で今回の企画に使えそうなのは射的とヨーヨーすくいか?」


花音が口にした屋台の中から、縁との勝負に使えそうな屋台を光があげると花音も頷く。

運によって左右されるくじ引きや余り競技性の無い掴み取りと比べたら、光があげた二つが今回の企画では適役だった。


「それじゃあ許可取りにいきましょ。近いのは射的屋ね……こっち!」

「おう!」


企画に使えるであろう屋台を決めた花音は頷くと、許可を取るために屋台に向かって光の手を取って歩き始める。

手を引かれる光はすぐに花音の前へと出て人避けとなり、花音の案内の元に射的の屋台の元までたどり着いた。


「すいませーん!」

「あー?まだうちは準備中……って、お前は常磐高校の坊主か。また新聞関係か?」


光が屋台へと呼び掛けると、出店する人間以外から声を掛けられた事に訝しげな表情を浮かべた男が現れるが、男は光の顔を見てピンと来たのかそう言い光もそれに頷く。彼は去年も光からの取材を受けており、その時の記憶が残っていたらしい。


「へぇ、それで今回はどんな企画を……っと、まさかの女連れか。中々隅に置けねぇじゃねぇか」

「そういのじゃないですよ、グループで別れた際に一緒になったんです。それよりも企画なんですが……」


店主の男は光にどんな企画かを聞こうとした際に花音の姿が目に入り、ニヤリとした笑みを浮かべて二人をからかおうとするが、光はどうってこと無い風に返し花音も頷く。

予想とは違った反応が来た事に店主は首を傾げる間に光は企画の内容──自分ともう一人による競争出来る屋台での勝負──を告げ、それに使わせてもらってもいいかを確認する。

それを聞いた店主はしばし考える素振りをした後、一つの条件を着けてそれを許してくれた。


「条件は一つ、お前達が落とした景品は持ち帰れないってのだ」

「それ、射的として成り立つんですかね……」

「そりゃあ勝負の間は儲けが出ないんだ。それで目玉商品掻っ払われたら大損だろ?代わりに料金は取らねぇからよ、デモンストレーションって奴だ」


商品を獲得出来ないという条件に花音は首を傾げるが、店主は光達の勝負をデモンストレーションとして扱う事で売り上げの上昇を見込んでいる様だ。

それを聞いた花音は考える様に腕を組むと店主の言い分に一理あると考え、頷いてその条件を受け入れた。


「判りました、部長にはそう伝えておきます」

「おうよ!……っと、あと一つ頼まれてくれねぇか?」


白部に条件付きで許可がもらえた事を報告しようとした瞬間、店主が光達を呼び止める。唐突に呼び止められた光達は首を傾げながら店主の方へと振り返る。


「えっと、一体何の様で?」

「ちいとばっかし、試し撃ちを願いたいんだよ」


そう言うと店主は屋台の下より二挺のコルク銃を取り出し二人へと渡し、コルクが二十個入った小皿を屋台の上に置く。


「一応点検はしているけど、こういうのは実際に撃ってみないと解らねぇからな」


そう言いながら店主は屋台奥の台に、大中小様々な大きさの箱を並べて行く。当日の景品に見立てた仮の的だった。


「そうだな……水代、せっかくタダで遊べるんだし、やってくか?」

「う~ん……そうね、要望も聞いてもらったし……」

「よし!決まり!」


光は乗り気で頷くと、隣の花音も巻き込んで試し撃ちに参加し、光は手慣れた手付きでコルクを銃に込めるが、花音は四苦八苦しながらコルクを詰めると銃を脇に抱えて的を狙い始める。

緊張した表情を浮かべたまま引き金を引くとコルク弾が発射され、景品と景品の間をすり抜けて奥のビニールシートの壁にぶつかった。


「む……っ」

「残念!弾はあと九発あるから気負わずにな!」


狙った所に飛ばずにムッとする花音に、励ますのか煽るのか解らない声を掛ける店主。光が見守る横で花音は再び弾を込めると、さっき以上に力んだ状態で銃を構えて引き金を引く。

そんな状態で撃たれた弾が狙い通りの場所に行く筈も無く、狙った的の斜め上へと飛んで行った。


「~~~~~っ!」


ムキになった花音が乱暴に弾を込めては撃ち、当たらないとなるやすぐに次の弾を込め始める。

ポンポンポンポンコルク銃が撃たれる音が響く中、最後の一発が偶然上段の大物に命中して僅かにずれるという結果で花音の分は終わった。


「残念だったな!半ば途中から自棄になってなかったか?」

「あー……水代、大丈夫か?」


店主から掛けられる慰めとも煽りとも取られる言葉を聞いた花音は顔を真っ赤にして肩を震わし、キッとした目で慰めて来た光を睨み付ける。

光は仇を討てと言わんばかりに睨み付けられ、花音が撃ち始める前の乗り気が何処へ行ったのやら溜め息をつきながら片腕でコルク銃を構えた。


「そんなんで狙えるの?」

「此方の方が俺にはやり易いの」


片手でコルク銃を構える光を見て口笛を吹く店主とは反対に、両腕で構えていたのに全く当てる事の出来なかった花音が訝しげな目を向ける。

そんな視線をものともせず光は片腕で狙いをつけると引き金を引き、ポンッという軽い音を立てて放たれたコルクは下段の小箱──本来だったらキャラメルが置かれている──に命中し、後ろに倒して床に落とした。


「お見事!相変わらずやるねぇ!」

「…………」


的を落とした光を見て手を叩く店主とは対照的に、花音は軽々と命中させた光を見てポカンと口をあける。

そんな彼女を置いといて、光は立て続けに三発コルク銃を撃ち、中段にある的の両端と真ん中を落とす。光の成した所業に店主は更に拍手を大きくし、ポカンとする花音の他にも店主の拍手を聞き付けた周りの店の人達が光の挑戦を見守っていた。


「残り六発、これで上段はいけるかい?」


下段、中段と落としていった光に店主はニヤリとしながらそう挑発する。光もそれにニヤリとしながら、花音の方へと振り向いた。


「ちょっと借りるぞ」

「え?」


借りると言われ、抱えていたコルク銃を取られた花音が呆けた声をあげる。光は花音から勝手に取ったコルク銃を片手で器用に立てると皿の中からコルクを一つ手にして込め、先んじて弾込めしていた自分のコルク銃を右手に、もう一方を左手に握って構える。


「おおっ!」


周りから声があがる中、光は上段の中央にある的へと狙いをつけると両方の引き金を同時に引く。僅かな差で立て続けに放たれた二つのコルクは、狙われていた的の上端に当り的を後ろへと下げさせた。


「残り四発でいけるかねぇ?」

「やってやるさ」


落ちていない的を見てニヤリとした笑みを浮かべて光に挑発する店主だが、光も気負わずにニヤリと笑みを浮かべて次弾を装填して構える。

再び繰り出された二発のコルク弾は一寸の狂いも無く先程当たった場所へとそれぞれ命中し、後は後ろに下がらせれば自重で落ちる程に後ろへと下げられた。


「あとちょっとだ、やれるかい?」


追い込まれたというのに店主は表情を崩さず、光もそのタネに感付いている様に浮かべていた笑みを引っ込める。

的が置かれている台は店長が廃棄された業務用長机を改造して作ったもので、その名残として天板を囲う様に縁取りが成されている。その縁取りが引っ掛かりになっており、一方に弾を当てて擦らして後ろへと落とすという事が出来なくなっていた。

周囲で観客達が見守る中光は最後の二発をコルク銃に込め、真剣な表情で的へと構える。

全員が息を呑んだその瞬間、コルク銃から破裂音が鳴り弾が放たれた。

放たれたコルクが一直線に狙いの的──その上側の中央目指して飛翔する最中、もう一発の破裂音が耳に入る。時間差で放たれたコルクは一発目で的を後ろへと倒し掛け、二発目で止めを刺して大物の的を更に後ろへと倒す。

重心が後ろに下がり中に浮いた的はそのまま後ろへと倒れ、台の上より地面に落ちる。その瞬間、光達を取り囲んでいた人々より歓声があがった。


「ざっとこんなもんだ」

「かーっ!やってくれるねぇ!」

「高坂、貴方……」

「おう水代、その目は流石に心外だぞ」


器用に両手のコルク銃を一回転させて決めポーズを取る光に、店主はしてやられたと言わんばかりに大袈裟に目を覆い花音は変態を見る様な目で見られ、光は花音に不服の眼差しを向ける。


「っと、それじゃあ当日はよろしく頼みますよ」

「おう!いい勝負を期待してっからな!」


本来の目的を思い出した光が店主にコルク銃を返却しながらそう言うと、店主は笑みを浮かべて頷き返す。そんな二人の会話が聞こえていたのか、周囲の屋台を出す人達からざわめきが起きた。


「勝負って事は、もう一人誰かとやるってのか?」「きっとこの坊主と同じ位すげぇ奴に違いねぇ!」「くっそー!うちもこんなん出してればなぁー!」「うちのヨーヨーすくいでも勝負してくんねぇかなー」


ざわめきは光が誰かと勝負すると聞いて、いい勝負が宣伝になったのではないかという後悔の声に満たされていたが、その中で光と花音はある言葉を聞き逃さなかった。


「すみません!誰かヨーヨーすくいを出す人居ませんでしたか!?」


花音がすぐさま声をあげる。二人の耳はヨーヨーすくいの屋台の店主が来ている事をしっかりと捉えていた。


「お、おう、俺がそうだが……っ!もしかして、うちの屋台でも!?」


突然声を掛けられたヨーヨーすくいの屋台の店主は困惑するも、もしかして自分の店でも勝負してくれるのかと目を輝かせて二人へと近付いて来る。


「ええ。それで当日に少しの間屋台を使わせてもらっても──」

「好きに使え!まあ、射的と同じ様に勝負で取ったものは景品として渡せないけどな!」

「あ、ありがとうございます」


花音が近付いてきた店主に許可を取ろうとすると、射的と同じ条件で快く受け入れてくれる。勢いに圧されて若干仰け反るも店主にお礼を言うと、花音は光の方を振り向いて小さく頷く。


「光、これで……」

「ああ、こっち側の許可は取り終えた事だし、一旦中央公園に戻るか」

「うん」


企画に使う屋台を二つ確保出来た事に二人は笑みを浮かべ、その事を白部達に報告するために人混みの中を抜けて中央公園へと戻って行った。

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