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超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第4節・野々原白部は暴きたい
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第7話

前回のあらすじ


光達の秘密を暴くために結託した白部と花音。

三人に怪しまれつつも二人は着々と準備を続け、光が第三倉庫に入って行くのを見て彼等も忍び込んでその中を調査した。

フォトンガードナー基地内のトレーニングルームにて、三機のシュミレーターが稼働している。

その前で博士がシュミレーターの状態をパソコンでチェックしていると、シュミレーターが稼働を止めてハッチが開き中から縁と光、そして久遠の三人が現れ、博士の元へと歩いて行く。


「ほれ、これが今回の結果じゃ」


博士はパソコンからプリントアウトした書類を縁に渡し、書類を受け取った縁はそれを広げると横から二人が覗き込んで来る。

そしてそこに書かれていた自分の評価と縁の評価を見比べた光は、大きく息をついて床へと腰を落とした。


「だぁ──っ!また負けた──っ!」

「勝ったと言っても、僕も二番手なんだけどね」

「っても一点差じゃねぇか!」


縁に評価で下回った事に声をあげる光に対し、縁は苦笑いを浮かべながらそう言い、久遠は一人スポーツドリンクを呷る。彼等がシュミレーターで行っていた射撃訓練で、久遠が一番の成績をおさめていた。

なお久遠に続く二番手は縁で久遠とは一点差、最下位の光は十点差だった。


「一応的は全部当ててるから、そこは誇っても言いと思うな。候補生でも全弾命中出来てたの、僕と久遠だけだったから」

「それじゃあ意味ねぇんだよ……」


縁から的に全弾当てる事が出来た時点で十分凄いと言われるが、あくまで縁に勝ちたい光からすれば縁に負けてる時点でその評価は慰めにはならない。


「じゃが、的が出て来てからの早撃ちでは一番の成績じゃよ」


そんな光を慰める様に博士が詳しい成績を出したタブレットを三人に差し出す。そこには先程行われた射撃訓練の評価が、書類以上に詳しく記されており、出現から破壊までのタイムは確かに光が二人を上回っていた。


「けれど今回の訓練は精密性がメインだろ?確かに早撃ちで勝てたのはいいけど、それってこいつ等が的を狙う間に撃ってたって事だから今一喜べねぇ……」


けれど光は今回の射撃訓練が精密射撃の精度を測るものだと前々から聞いており、早撃ちは暗に狙いをまともにつけずに撃っていると言われている様で、縁に勝ってはいるも今一喜べない。


「だったら次は早撃ちの訓練でもするかの?」

「いや、それはちゃんとした時にするわ。今は射撃訓練で疲れてるし……」


博士から告げられた射撃訓練の誘いを、光は万全の状態で挑みたいと言って拒否すると、久遠と同じ様に自分の分のスポーツドリンクを呷り始める。

光のその言い分に首を傾げた博士は縁へと視線を向けると、彼も困った様な笑みを浮かべ返して改めて射撃訓練の評価へと目を落とす。その瞬間──


「っ!!」

「な、何だぁ!?」

「これは……!」

「警報じゃと!?」


突如として鳴り響いた警報に、トレーニングルームに居た全員がその身を固まらす。彼等が主に聞くクロノギアス襲来時とは、明らかに違う警報に四人は何事かと辺りを見回す。するとスピーカーより基地内放送が流れ始めた。


『外部より侵入者を確認しました。警備員は直ちに確保に赴いてください。繰り返します、外部より侵入者を確認しました。警備員は直ちに確保に赴いてください』

「侵入者……!?」

「マジかよ!?」


放送から告げられた侵入者の存在に光と縁は目を丸くし、久遠は表情を険しくする。


「ひとまず博士を司令部に連れて行くぞ。そこなら侵入者が何者なのかも解るかも知れない」

「お、おう。博士、俺が運びます」

「うむ、頼んだぞ」


久遠に博士を司令部に連れて行き、そこで侵入者の情報について聞こうとする久遠に光は頷き、博士に背を向けてしゃがみこむと博士は光の背に背負われる。

博士を背負った光は余り揺らさない様に動いて先に二人が出た廊下へと出ると、辺りよりバタバタとした音が鳴り響く。


「侵入者は何処だ!!」「C区域にてカメラに映ったらしい、急げ!!」「何処から入って来たのか、再確認しろ!!」


慌ただしい様子で職員達が駆け回るのを見て、先の放送が真実なのだと実感する。それと同時に嫌な予感が光の脳裏を過った。


「これ……もしかして敵の侵入じゃ……!?」

「いいや、それはない」


クロノイド制圧軍の兵士によるフォトンガードナー基地への強襲と考えて顔を青くする光に対し、久遠は首を振って冷静に告げる。


「もしクロノイド制圧軍による強襲なら、放送の段階でそう告げている」

「た、確かにそうだな……」

「じゃが、侵入者の素性が解らぬのも事実じゃ。儂等も急いで司令部に向かうぞい」


クロノイド制圧軍なら先にそう言われていると言われた光は納得して頷くと、博士から早く司令部に向かうよう急かされて三人は職員達の間を縫って司令部に向かって走って行く。


「失礼します!!そちらの様子はどうなっていますか!!」


司令部へとたどり着くと縁が勢いよく扉を開け、そう言いながら部屋へと入って光平に現状を問い掛ける。

モニターを注視していた光平は、縁達が気が付くとモニターを見ていた鋭い目を止めて振り返り、現在の状況を説明し始めた。


「ああ、侵入者は発見された後C地区を駆け回り、D地区に向かおうとしている。D地区はフォトンシリーズの格納庫がある、余りそこには居られたく無いんだがな……」

「マジかよ……」


眉間に皺を寄せ苦虫を噛み潰した表情でそう言う光平に、光は思わず言葉を漏らす。

フォトンシリーズはフォトンガードナーの持つ一級の秘密だ。それがある場所に不審者が居るだなんて考えたくもない。

現に光だけでなく縁や久遠も厳しい表情を浮かべて事の推移を見守っている。


「っ!監査カメラに映りました!!」

「映像、すぐに回せ!!」

「はい!!」


そんな状況をぶち破る様に監視カメラに侵入者の姿が映ったと報告が上がり、光平はその映像をすぐに司令部のモニターに映すよう指示を出す。

そしてオペレーターが手早くコンソールを操作し、監視カメラの映像をモニターへと映し出す。すると──


「は……?」

「え……?」

「ぶはあっ!?」


監視カメラの映像を映し出したモニターに現れた二人、その姿を見た瞬間縁と久遠は呆気に取られ、光は思いっ切り噴き出してしまう。

そんな三人の反応にただ事では無いと思った光平は、一番大きなリアクションをした光へと問い詰めた。


「光君、君は知っているのか!?あの少年達(・・・)が何者なのか!!」


そうモニターに映る二人の少年少女(・・・・)を指差して問い詰める光平に光は思わず目を逸らす。


『………………………………』


けれどその反応こそが確実に知っていると判断され、周囲からの視線が全て光に集まって来る。光は縁と久遠に助けを求める様に目を向けるが、縁は光からそっと目を逸らし、久遠に至っては我関せずを貫いている。助力は見込めず、とうとう限界が来た光はボソリと二人との関係を口にする。


「…………俺の部活の部長と同級生です……」


光のカミングアウトに縁も目を逸らし、次の瞬間司令部が阿鼻叫喚となった。







「居たぞ!!此方だ!!」

「おおおおおっ!!」


第三倉庫内にあったエレベーターに乗り、そのまま終着点へとたどり着いた白部と花音だったが、見たことの無い建物内に居る事に気付き、白部は光達の秘密を探るため、花音はエレベーターの先に消えた光を探すために建物内を探索し始めたが、すぐに監視カメラに映ってしまい職員と思われる人々と必死のおいかけっこを行っていた。


「部長!!何時まで逃げるんですか!?」

「何時までもに決まっているだろう!!」


職員に追いかけ回され続けて息が荒くなり始める花音の叫びに白部は喜色満面の笑みを浮かべてそう答える。学校から通じていた謎の施設への道、そしてそこに消えた部活のメンバー、そして侵入した事によって追われる現状は、まるでドラマや映画のワンシーンの様で白部を昂らせていた。


「いいか水代部員!!次の十字路右に曲がるぞ!!」


走りながら次に逃げる場所を後に続く花音へと伝えた白部は走る速度を上げ、それに追い掛ける花音や職員達が追従して行く。


「侵入者は次の通路を右に曲がる。そこで迎え撃て!」


白部が花音に言った逃走経路は後ろを追い掛ける職員達にも聞こえており、職員はすぐさまインカムで逃走方向を伝達し、自分達も曲がり角に備えて右側に寄りながらいよいよ十字路に差し掛かろうとする。


「右だあぁぁぁぁぁっ!!」

「──っなあっ!?」


十字路に差し掛かった瞬間、そう叫びながら体を()へと傾けて左へと曲がり、その後を同様に何の迷いも無く左に曲がって行った花音が続く。

しかし二人が右に曲がると信じていた職員達は体を右側に寄せていた分、大回りで左の通路へと入ってしまう。その僅かな間に二人は一気に距離を引き離して行った。


「はぁ……!はぁ……!……ああもう!!高坂は何処なの!?」

「それを今探しているのだろうが!!……それにしてもこの謎の施設……そりゃあ秘密になる訳だ……!」


走り続けて息が荒くなる花音は見つからない光に対して文句を言い、白部はその文句に応えつつも現状に凄まじい高揚感を感じてながら走り続ける。

そうして二人は走り続けてひとまず追っ手を撒き、壁に寄り掛かって呼吸を整えていた。


「はぁ……!はぁ……!もう!何なのここ……!」

「ぜぇ……!ぜぇ……!エレベーターの進んでいた方向から算出すると、山岳部方面か……そこ位しかこれだけの施設を建造する余裕も無いだろうがな……」


休憩の最中に白部はこの建物がどの辺りに建てられているのかを想像し、同時にこの施設の用途について考え始める。


「……それにしても、この建物の用途……一体何なのだろうな……」

「知りませんよ……判ってるのは高坂が此処の何処かに居るって事だけですよね……!」

「それは今は置いておこう…………むぅ…………もしかすると……」

「?……部長、何か気が付いたんですか……?」


話の最中で眉間に皺を寄せ始めた白部の反応に、彼が何かに気が付いたのでは無いかと思った花音が声を掛ける。それに白部は言っていいのか困惑しながらも、表情を引き締めて説明し始めた。


「もしや此処は、クロノイドと関係のある施設なのかも知れん」

「え……!?」


クロノイドと関係のある施設と聞き、花音は思わず息を呑む。彼女にとってクロノイドは地球に対してクロノギアスによる破壊行為を行う侵略者だ。地球に亡命して来た者達の技術によって守られているとはいえ、攻められている一般人としては嫌悪感が先立ってくる。

それと同時に光達がこの施設に出入りしているという事実を彼女は信じられず、否定する気持ちを込めて白部の胸ぐらに掴み掛かった。


「出鱈目言わないでくださいよ!!」

「だが、そう考えればある事に辻褄が合うんだ」

「辻褄……ですか?」

「ああ。地球侵略を目的としている割に、滝音市にしか現れていない事だ。クロノイドによる侵攻があればニュースになるだろうに、そんな話は滝音市以外では一つも聞いてないからな」


クロノイドによる侵攻が滝音市にしか行われていないという情報は、白部が一人で調べ上げた情報だ。クロノイドによる侵攻が行われるとその事は全国ニュースで報道されている事は既に調べがついており、そんな状態だというのに滝音市以外でクロノイド侵攻のニュースがあったのは一つも無かった。ネットニュースにも滝音市にしかクロノイドは現れていないと書かれており、それ以来白部は滝音市にクロノイドが侵攻して来る何かがあると目をつけていた。


「この施設が何のためにあるのか……その正体が判れば、滝音市に襲って来る理由も「居たぞ!!」──っ!!走るぞ!!」


この施設の正体を暴く事が、滝音市にクロノイドが襲い来る理由を知る手立てだと白部は言おうとするも、その最中に職員に見つかってしまい二人は再び逃げ始める。

そうして二人が職員達を相手に逃走劇を繰り広げていると、やがて片方の壁がガラス張りの廊下にて二人は挟み撃ちにあった。


「部長……!」


花音は追い詰められた状況に顔を青くして白部へと弱々しい視線を向け、白部はどうにか打開策を探そうと目で辺りを見回す。

そして自分達の背後に謎のスイッチがある事に気が付いた白部は、花音に何の声かけもしないままスイッチの元へと駆け寄った。


「っ!!スイッチを押させるな!!」


白部がスイッチを押そうとしているのに気が付いた職員達は、それを阻止しようと二人の元へと駆け寄って行く。しかし、それよりも早く白部がスイッチの前へとたどり着いた。


「ええい!!南無三!!」


押した所で何が起きるか解らないスイッチ、白部はそれを気合いを入れて力強く押すと、床が突然斜面となって二人や確保しようと走って来ていた職員達が纏めて転げ落ちていった。


「おわあぁぁぁぁぁぁっ!?」

「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!?」


スロープと化した廊下を転げ落ち、二人と職員達は通路の下の部屋へと入ってしまう。真っ暗闇の空間の中、ぼんやりと互いを見つけた二人はゆっくりと立ち上がる。


「いつつ……無事か?水代部員……」

「あいたた……は、はい……」

「そうか、よかった……しかし、此処は一体……?」


見知らぬ空間へと入ってしまった二人の回りでは、職員達が慌ただしく話す声が耳に入る。白部がその話に耳を澄ましてどんな事を話しているのか聞き取ろうとした瞬間、突如として部屋に明かりが灯る。

突然の明かりに二人は目を庇い、改めて明るくなった空間を見渡し始めると二人は自分達に影がかかっているのに気が付き、そちらへと振り返った。


「なっ!?」

「え……?」


二人は影の正体を目の当たりにして揃って息を呑んだ。そこには、クロノイドの侵攻に対抗するために作り上げられたマシン──フォトンファイターが彼等を見下ろしていた。


「フォトンファイターだと!?という事は此処は──っ!?」


フォトンファイターの存在からこの施設の正体に気付き、大声で言いそうになった白部を花音諸とも職員達が囲い込み、囲われた白部は花音を庇う様に立つが職員達の包囲の輪は少しずつ小さくなって行く。

追い詰められて行く事に白部が冷や汗を流していると、包囲の外側からドタドタと音の響きは違えど聞き覚えのある足音が聞こえて来て、白部と花音は音の聞こえて来た方向へと顔を向ける。


「その足音!高坂ぶ「なぁにしてくれとんじゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」いがぁぁぁっ!?」


足音の主──光が来たのだと思い顔を向けた白部の眼前に、今まさに直撃せんと迫り来る靴底が映り、そのままドロップキックを顔面に叩き込まれて吹き飛ばされた。

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