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超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第4節・野々原白部は暴きたい
28/150

第1話

この話より第4節が始まります。

今後とも超光戦機フォトングラストをよろしくお願いします。


前回のあらすじ


高機動型のクロノギアスを連携で撃破した三人。

その後クロノギアスの去って行った場所を白部は一人写真に撮り、花音は光が何処に居るのかを探していた。

クロノギアスからの襲撃からしばらく経ち、再び滝音市に日常が戻り始める中ジャナ部もその活動を行っていた。


「……という訳で、次の新聞のネタは『亡命して来たクロノイドは何処に居るのか!?』だ!」

「いや何でまたギリギリのネタを出すんですか!」


黒板の前に立ちチョークで大きく議題を書き上げ、黒板を叩いてそう宣言した白部に向かって花音が机を叩いて立ち上がり抗議する。

彼女の脳裏にはクロノイドやフォトングラスト関係をネタを取り扱って幾度となくボツを受けている白部の姿がしっかりと残っており、そんな状況でも諦めずにその手のネタを取り扱おうとする白部に対して苛立ちが溜まっていたのだ。


「あの部長……流石にそれは俺もまずいと思いますよ……」

「知らない方が幸せってのも、世の中にはあるんですよ……」


基本的に二人の喧嘩に巻き込まれない様に離れる光や、基本的に部活動では選択にとやかく言わない縁も思わず白部のネタに対して苦言を言う。

クロノイドからの侵攻を受けている現在では、いくら亡命してフォトングラストの開発に携わったとはいっても侵略者として差別的な扱いをされると気付いているからだ。むしろ縁の言う様に誰がクロノイドなのか一部の人間しか知らずに平穏に過ごせるならそれで越した事は無いのだが、そういった停滞の考えを白部は否定する。


「諸君!君達は知りたくないのか!?彼等がどの様な想いで自らの世界を裏切りこの世界についたのか!そして地球での暮らしはどうなのか!」

「いや、知らなくていいです……」

「むしろ亡命して来てるのが答えなんだよなぁ……」


白部の二人に対して好奇心を煽らす様な発言は、既にクロノシアスの状況を知っている二人には響かず縁は拒否し、光は公表されている情報からある程度考察出来ると言う。久遠に至っては一人離れた場所で今までジャナ部が出してきた新聞を見ながらクッキーを食べており、話すら聞いていない。


「むぅ……君達は男子だろう、この手の話は大好物だと思うのだが……」

「流石に現実にも食い付けるほど図太くはねぇっす」

「そもそも僕はロボットアニメの類いは観てませんし……」

「そうか……」


白部は二人に向かって口を尖らすも、二人が自身に対して脈なしだと知ると肩を落として花音へと目を向けた。


「俺の負けだ。次の新聞も君がメインで書くといい」

「え……えっ!?本当ですか!?」

「え、えぇ……」

「……おい、何だその反応は?」


何時もであれば何だかんだ理由をつけてごねる筈の白部の敗北宣言に花音は驚きの声をあげ、光は何か恐ろしいものを見る様な視線を白部に向けて白部の機嫌が一気に悪くなる。

そんな彼の元に縁が一人歩いて行くと、彼の額に手を宛てて自らの額にも手を宛てた。


「う~ん……熱は無いみたいですけど……」

「うおぉい!!君もか有沢部員!?」


まさかの縁からも不調を疑われた事に、逆に白部が困惑の声をあげてしまう。

そんな風に部室内が騒がしくなっているとアラームの音が鳴り始め、四人がアラームの発生源──久遠の方を見ると彼女は携帯を取り出してアラームを切り、新聞と食べていたクッキーのゴミを片付け始める。


「それでは失礼します」


片付け終えた久遠はそう一礼して部室を出て行き、三人が会釈する中、その様子を白部は訝しそうに見つめていた。


「むぅ……」

「どうしたんですか部長?」

「いや……彼女は何時もアラームを合図に帰宅するよな?」

「そうですね、けどそれが何か?」

「彼女は一体何故アラームで帰る時間を定めているのかと思ってな……」

「そんな事……ほら、滝音さん社長令嬢って言ってたじゃないですか。その分門限が厳しいんじゃないですか?」

「むぅ……何かしら理由があると思ったのだが……」

「……部長、流石に度が過ぎるとプライバシーの侵害で訴えられますよ……」


久遠がアラームで帰る理由を訝しむ白部に対し、花音が呆れながらそこまで深い理由は無いと言うが、白部は納得いかない様子で花音は呆れた様に釘を刺す。

二人がそんなやり取りをしている傍らで、光は縁の元へこっそりと耳打ちして問い掛けた。


「なあ……所で本当に深い意味は無い訳?」

「あはは……あのアラームはね、久遠が自分で決めたんだよ」

「決めたって……何を?」

「司令が久遠を常磐高校(ここ)に通わせた際に、トレーニングのために戻る時間としてね」

「そうかよ……本当に何も無かったんだな……」

「司令はもう少し長く居ても問題無いって言ってるんだけどね……っと、僕達も向かわないと久遠が拗ねちゃう」


縁は光にそう言うと席から立ち上がり帰る準備を始め、光もその後に続いて帰る準備を行う。

二人が帰る準備を始めたのに気付いた白部と花音は話すのを止め二人の方へと視線を向けると、ちょうど準備を終えた二人が部室の入口前に立って振り返り一礼した。


「それでは、僕も帰らせてもらいます」

「俺も事情があるんで、あがらせてもらいますわ」


そう言うと二人は部室から出て行き、部室には白部と花音の二人だけが残される。

二人が去って行った入口を最初の内は見つめていたがしばらくして花音は自らの記事の作成に取り掛かったが、白部は訝しげな様子で入口を見つめ、ポツリと呟いた。


「……怪しい……」

「え?」

「怪しいと言ったんだ……」

「部長、何を言ってるんですか?」


突然そんな事を言い出した白部に花音が呆れた様にそう返す。しかし、白部はそれを気にせずに言葉を続ける。


「滝音部員がアラームを合図に帰宅するのは、入部してからずっと行われていた事だ。例外があるとすればクロノギアスの襲撃があって避難していた時だな」

「……そうですけど、それが一体?」

「有沢部員も、基本的には滝音部員が帰宅してから部室を出る……しかも今までデータを集めた結果全て五分以内には出ている」

「そこまで測ったんですか……でも、言われてみればそうですね……」


縁の帰宅時間を測る白部に花音は若干引きながらも、白部の言う通り久遠が帰ってすぐに縁が帰る準備を行っていたのを思い出す。けれど、花音にはそれを行う理由に一つ心当たりがあった。


「先生から滝音さんのサポートを頼まれてたから、当然じゃないですか?」

「それだったら同じく隣の席の高坂部員も共に帰らなければおかしいだろう?現にある時期までは彼は最後まで部室に残っていた」

「む……」


白部からの反論に花音は口をつぐむ。白部の言った通り久遠のサポートは縁と光の二人に対して出された指示だった。けれど基本的には縁が行い光は多少の手助けをする程度で、帰る時間まで合わしてサポートはしていない。


「しかし、ある時期から高坂部員が有沢部員や滝音部員とつるみ始め、先程の様にほとんど帰るのに誤差が無くなりつつあった……」

「……もしかして、滝音さんのサポートを元にした勝負でもしてるんじゃ無いでしょうか?」

「いいや、それはない。滝音部員の性格からするに、自分が勝負の出汁に使われたら怒りで説教するタイプだ。そんな人間のサポートを勝負に出来ると思うか?」

「……思いません」

「それに彼女が常磐高校に来てから既に一ヶ月は過ぎているんだ。多少は学校に慣れた以上サポートはそろそろ無くなる筈だろう」


花音は久遠のサポートを元にした勝負を思い付くも、久遠の性格からそれは無いと断言されて自身もそう考える様になる。


「それに、何かしら常に競い合っていたあの二人が共に居る事自体、実際に目にするまで俺は想像できなかったからな」

「競い合ってたっていうより、高坂が有沢君に噛み付いていただけなんじゃ……でも、確かにそうですね……」


サポート勝負を出した所で、花音は光が縁の事を不倶戴天の敵と認識していた事を思い出す。

何度も挑み掛かっていた彼が、そう簡単に距離が詰められるとは考えられずどうしてあそこまで距離が近くなったのかを二人して考えていると、何か思い付いた様に白部が口を開いた。


「きっと鍵になるのは滝音部員に違いない。だとしたら……」

「だとしたら……何ですか」

「一度彼女の周りを徹底的に調べる必要がありそうだな……!」

「だからそれはプライバシーの侵害ですって!!」

「のごおっ!?」


二人の距離が縮まった理由として久遠が切っ掛けとなったと考えた白部は彼女の周りを調べようと画策するが、話を聞いていた花音によって顔面に菓子を入れた器を投げつけられ顔面に命中する。

床に散らばる菓子に囲まれ鼻先を抑える白部に、菓子を広い集める花音に呆れた声で注意される。鼻先を抑えながら立ち上がった白部は、器を投げつけてきた花音を睨み付けるも、自業自得だと言わんばかりの視線を向けられて目線を逸らす。

席に座り直した白部は何か他に無いかと考えていると、花音が菓子を器に入れ直して机に置いたと同時にあることを思い付いて手を叩いた。


「そうだ!!その手があったじゃないか!!」

「その手って……一体何ですか……」


何かを思い付いた様子の白部に花音は冷ややかな目を向ける。先の発言で積み重なった前科によりそんな視線を向けられた白部は咳払いをすると、人差し指を立てて説明し始める。


「簡単な事だ、よく知りもしない他人から聞き出そうとするから文句を言うんだろう?」

「貴方のやろうとしてたのは文句以前の問題ですけど……」

「ならばよく知ってる人物から問いただせばいい」

「聞いてないし……それにしても、よく知ってる人ですか……」


知人から問いただそうとする白部の言葉を聞いて、間に挟んだ突っ込みを無視された事に溜め息をつくも彼の言うよく知っている人が誰なのかを花音も考える。

久遠は論外、むしろ久遠に問いただそうとするなら花音がそれこそ止めに掛かる。ならば縁かとも考えたが、白部にとって縁は学校一の優等生で光の不倶戴天の敵だったという関係の方が長く、よく知る人としてあげるなら首を傾げるだろう。

そこで他に居ないかと考えていると一人に行き当たり、花音は思わず目を見開いて白部を見る。


「まさか、高坂に聞くつもりなんですか!?」

「それしか無いだろう」


まさかの光から問いただそうとする白部に対して、花音は思わず息を呑む。確かに光とは一年間の付き合いがあり、彼の行いに何かしらの変化がある事を聞けばその理由を答えてくれそうな性格もしている。

だからと言って直接その事について聞くのは花音は気か引けていたが、白部はお構い無しと言わんばかりに携帯を取り出すと光の携帯に電話を掛けてしまった。


「あ!部長!」

「さあ……洗いざらい吐いてもらおうか高坂部員……!」


意地の悪い笑みを浮かべて携帯を耳に宛てる白部を花音は止めようとするも、先の器の件で警戒されたためか白部は彼女と距離を取りながら目を話さずに電話を待つ。

その後しばらくコール音が鳴り続け光が出るのを白部は待ちわびていたが、何回かコール音がなると音声が切り替わった。


『お掛けになった電話をお呼びしましたが、お出になりません。お掛けになった電話を──』


電話に出る事が出来ない時に流れるメッセージを耳にした途端、白部はすぐに電話を切りそのまま固まる。


「ぶ……部長……そんな時もありますって……」


スピーカーになっていたためメッセージを耳にした花音が、固まったままの白部へと恐る恐る声を掛けるも反応が帰って来ない。

不気味な沈黙を保つ白部に花音が一歩退くと、彼は小さな声を出しながら肩を震わせ始めた。


「…………」

「ぶ、部長……?」

「……フフフフフ……ハーッハッハッハッハッハッ!!!!」


肩を震わせる白部に花音が声を掛けると、小さく笑っていた白部が突然大声で笑い始める。

余りの異様さに花音が思わず引き下がると、満面の笑み──但し目が笑っていない──を浮かべ、白部は携帯を懐に戻した。


「そうかそうか、そこまで否定するか……」

「あの……声が怖いんですけど……」

「いいだろう!!徹底抗戦だ!!君の秘密を丸裸にしてやるからな高坂部員──っ!!」

「ちょ!?部長一体何を!?」


白部はそう叫ぶと、花音の制止を振り切って部室を飛び出しバタバタと足音を立て廊下を走り抜ける。

一人残された花音は制止させるために手を伸ばしたまま固まり、しばらくして溜め息と共に腕を下ろす。


「はぁ……全く部長も……」


再び溜め息をついた花音は白部を連れ戻すのを諦め、勝ち取った自分の記事を書くためにパソコンの前へと腰を下ろして編集ソフトを立ち上げる。

そのまま花音は帰宅時間まで何か新聞で使えるネタを探すが、帰宅時間になっても白部は帰って来ず溜め息をついた花音は入口に鍵を職員室に返した旨を記した札を引っ掛け、部室の鍵を閉めて職員室へと鍵を返しに向かった。


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