001 このパーティは理不尽です
鳥のさえずり
川のせせらぎ
木々の間から降り注ぐ太陽の光
猛烈な速度で走る大亀
「阿月!今の見た!?亀よ亀!あの鈍足な亀が某100m走の選手より速いわよ!」
俺の隣ではそんな素早い亀を見ながら子供のようにはしゃいでいた
……少し状況を整理しよう
俺は学校の登校中、レイラの持ってきた謎の封印された古い本により、今ここにいるわけだが…
先程見たあの亀。大きさは1mくらいだろうか
見た目は俺の知っている亀だ。何の変哲もない普通の亀
なのに時速80km程は出ている
俺の知っている日本にあんな亀はいない
さらに言えば見たこともない植物
聞いたこともない鳥のさえずり
つまり、これらから導き出される答えは……!
「レイラ」
「?何かしらああああああああああああああああ!」
俺はレイラに全力で目潰しをした
「目があああ!いきなり何すんのよ!」
レイラは目を押さえながらのたうち回っている
「夢じゃないかと思ってな。どうやら違うようだ」
「私で試す必要は無かったんじゃないかしら!?」
涙を流しながら俺に掴みかかってくる
「お陰で目が覚めたからいいじゃないか…お、おい引っ張るんじゃない!」
「覚ますべき目が見えないのよぉぉおおお!」
俺たちはどうやら異世界に転移したようだ
「阿月、これからどうするつもりなの?」
俺たちはとりあえず太陽の方角は歩いていた
森の中で遭難なんて勘弁だ
一刻でも早く人の集落やら街に行きたい
「お前がこの状況を作ったんだから、お前もちゃんと考えろよ」
こんな奴が幼馴染だなんて本当に勘弁して欲しい
「私は考えたわよ?大声で叫びながら音の出るものを使って人を呼ぶの!」
「わかった。ありがとう。お前はもう何もするな」
そんな変なことをしていたら人ではなくさっきの亀みたいなモンスターが来てしまう
念の為頑丈そうな木の棒の先を削って尖らせ、武器として持ってはいるが、期待しない方がいいだろう
「というか異世界なんだから魔法とかスキルとかそういうの無いのかよ」
「阿月って意外とバカなのね?そういうのはレベルを上げてからやっと初めて使え痛あああああああああ!頭が割れる!」
俺はレイラの頭にアイアンクローをしていた
「とても幼馴染の女の子相手にやることではないと思うの!こんな美少女に暴力を振るうなんてとんだ不良少年って感じやめてください!力を込めないでください!」
俺を異世界に巻き込んだこいつに殺意が湧いてくる