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目が覚めた。
見れば崖が目の前にそびえている。
俺は崖下で倒れていたのだ。
――あそこから落ちたのか?
覚えがない。
とにかく起き上がろうと上半身を起こすと、後頭部に激痛がはしった。
――!
恐る恐る触ると、俺の後頭部はじっとりと濡れている。
手を見ると赤く染まっていた。
どうやら俺は崖から落ちて、頭を打ったらしい。
――まったく……。
起き上がり、そこで気がついた。
ここはどこだ?
そして一体俺は誰なんだ?
わからない。
なにも思い出せない。
しばらく戸惑ったが、こんな崖下にいつまでも留まっているわけにもいかない。
俺は歩き出した。
しばらく歩くと、上に登る細道があった。
自然にできたものではなく、人の手で創られたものだ。
俺はそこを登った。
崖の上に出ると、崖に沿って舗装された曲がりくねった道があり、崖の反対側には家が建っている。
どうやらこの道沿いにある小さな集落のようだ。
――どうしたものか……。