臙脂色の恋
今の恋人と出会ったのはもう10年も前のことになる。変わらない毎日に飽き飽きし、そしてこのまま平凡な人生を送るんだろう。そう思っていた。
そんな時に「さようなら渓谷」という本を片手にコーヒーを飲む美しい君に出会った。ページをめくる綺麗な指先。そして綺麗な横顔。その全てが私の心を奪い去った。最初は憧れの念だったのかもしれない。だが時間を重ねるごとに次第に気持ちが募りどうしようもなくなった。私は自分の溢れ出る恋心を止めることは出来なかったのだ。笑ってくれたって構わない。恋という名の手錠をつけられた私は君だけしか見れなくなってしまったんだ。
そして君と近づくために様々なことをやった。偶然を装って近づき、話すようになった。話すごとに君への想いは強くなっていった。今ではいい思い出だ。
そして今日私は君にプロポーズをする。場所は初めてデートした場所だ。やっと君が来た。今から私は君に言いたいことがあるんだ。勇気をだして...。
エピローグ
私の下に臙脂色の水がたまっている。ただの肉塊となった君を見て涙があふれる。ふと「君が代」のメロディが流れてきた。どこかで卒業式でもやっているのだろうか...。私もすぐそっちにいくね。臙脂色にそまった刃を首に当て、君の最後の言葉を噛み砕くように反芻する。「女同士なんだから結婚出来るわけないじゃないの。そもそも友達でしょ私達」
大学の課題で書いた小説です。
三題噺で小説を書く
キーワード「手錠、君が代、渓谷」